2018-10-19

釧路市の発展の要因をさぐる

本稿では、下記ブログで軽妙に紹介される釧路市の停滞について歴史的経緯から振り返ってみようと思う。

https://www.kansou-blog.jp/entry/2018/10/18/173838

http://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.kansou-blog.jp/entry/2018/10/18/173838

漁業築港

近世期には、釧路は「クスリ場所」という漁場が設定され、松前藩から委託された業者がそこから利益を独占していた。

そこでは鮭や昆布、鰊などの海産物のほか、内陸やその他獣の毛皮が収集されていた。

釧路には港がある。というか、大きな港を構築できた。これが大きかった。

函館から太平洋側に航路をとると、日高の小さな諸港を数えるばかりで、大きな築港ができない地形が続く。

例えば十勝国広尾港の小港を除けばずっと遠浅の地形が続く。内陸に続く十勝川河口も例外ではなく、ついに十勝では大規模な漁港を構築しえないまま現在に至っている。

苫小牧港は、実は昭和の初めから計画されたもので、陸地を魔改造した港。自然にできたものではない。

立地

釧路道東地域に程良く近い。厚岸にもいけるし、白糠にも近いし、内陸を通って今の北見国にも通ずる。

港を基点に色々なところに行ける。

採炭地と鉄道敷設

近世末~近代初期にかけて、釧路では石炭が取れることがわかってきた。

こうなると船舶だけでなく、鉄道敷設が期待されるようになる。

そもそも北海道鉄道濫觴は、採炭メインで三笠市小樽市とを接続したものファンが多い分野だからあえてここでは雑に触れる)。

っつーことで、明治34年釧路駅ができる。そこから十勝方面鉄路が伸びて、日高山脈と言うでかい山脈越えるのが明治40年

これで札幌小樽函館本州方面鉄路でモノを送れるようになる。

明治40年にここまで行けたのは結構重要結果的に、大正3年~の第一次世界大戦好景気に間に合う形になり、色々な階層を潤わせた。

林産と製紙工場

鉄道ができると、海産物石炭以外にも物資を運べるわけだ。

となりの十勝の連中は昔から今まで農畜産物本州輸送し続けてやがる。

釧路は何を集散したかというと、木材だ。

北海道森林資源豊富だが、でっかいどう過ぎて、山奥から運べないし、そもそも北海道から運べない。

鉄道ができたことで、山奥から何とか駅まで運べば何とかなることになった。

で、木材を運んだ先の釧路製紙工場ができる。

製紙業が発展するのが大正時代第一次世界大戦好景気後に「なんだ? 釧路工場作って船や鉄道で運べば産業になるじゃん」と本州資本が本腰入れ始めるわけだ。

王子製紙富士製紙なんかの巨大企業木材の切り出しか工場生産まで取り仕切るようになる。つまり、カネを投下してゴリゴリ生産し始める。まぁ切出しは下請けに任せるんだが。

また、水産加工業もまた、この時期にこうした大規模化がはかられる。ビートでんぷん工場も本格化する。

観光

昭和の初めになると、全国的観光ブームになる。すごいねJTB(の前身)。

そうなると、阿寒ですよ。成熟した鉄道路線の観光利用が始まる。

こうした中で、食品釧路ブランド化の萌芽が見られる。最近B級グルメブームまで尾を引いている。

まとめ 全て去ってゆく

さて、読んでいてわかる通り、釧路を支えてきた要因が全て転換期を迎えている。あるいは既に転換してしまっている。

魚は食が多様化してしまったし、石炭は使わねえし、紙はIT化で打撃を受けた。阿寒に行きたい? ちょっと一回くらい行きたいかなぁーーーくらいでしょう?

唯一の望みは工場敷設。釧路には、近隣の農水産物を加工する工場があるわけだが、そこも絶対的に振るっているかというとそうでもない。

輸送技術輸送ルート多様化して、釧路固有性が薄れてしまった。この辺りは正直詳しくない。

最近日本製紙釧路工場が規模縮小するというニュースがあった。また人口が減るねえ。

https://www.fukeiki.com/2018/05/nippon-paper-stop-production.html

ただし、釧路が栄えるにも衰えるにも、こうした地勢と歴史的要因にヒントがある。すべては地理とそこでの人の営みだ。

誰かがこうした地勢と歴史的経緯を持つ「クシロ」に、新たなビジネスの種を見出すことがあるかもしれない。

  • anond:20181019060214

    おもしろい

  • anond:20181019060214

    今社会の変革期だし良くも悪くも日本の景気が停滞から抜け出そうとしているので、釧路で出来るビジネスってのはあると思うんだよ。でも、問題はそんなところじゃなくて、その釧路...

    • anond:20181019075643

      白い恋人の釧路モデル売ればええやん。 むしろ北海道全体で白い恋人の地域限定版売ればええやん 儲かるで

    • anond:20181019075643

      釧路に限らず地方都市レベルでそこまで意欲と能力のある奴なんかいるわけないだろう 大昔に一億円ばらまいていったいどうなったよ うまくいくのなんてレア中のレアケースでしかない

      • anond:20181019081654

        だから沈没してくって話でしょ。 それが嫌なら突出した才能がなくても前に進むように仕組みづくりやノウハウの共有を進めていかなきゃならないんだけどそういう動きもないわけで、...

        • anond:20181019082904

          仕組みづくりやノウハウを積み重ねるのはわかるけど、共有まではできるかどうか。酒のつまみ程度にあんなことがあってーぐらいなら行けるかもしれませんが。 だって、すごい泥臭い...

    • anond:20181019075643

      「釧路でなくてもいい」と言いだしたらほぼすべての事業が潰れてしまうわけだが

    • anond:20181019075643

      イノベーションのにおいての変革者という話ですよね。まあ、イノベーション自体「死体投げ込んで祈ったら世界が良くなる治水の人柱」という感じすらするので、僕自身は嫌いな言葉...

    • anond:20181019075643

      観光まで含めて否定するなら「その場所でしかできないビジネス」なんてこの世に何もなくなってしまうでしょうが。 「東京でしかできないビジネス」なんてのも1つもないですよ。それ...

  • anond:20181019060214

    斜陽の釧路を横目に順調に人口を伸ばし続ける十勝の首府・帯広

  • anond:20181019060214

    いい記事。 他にも衰退した町があるだろうから、併せて考えると面白そう。

  • anond:20181019060214

    釧路は年間を通して冷涼な気候で、真夏でも夜にはウィンドブレーカーを羽織らないと肌寒いくらいだ。 そこでデータセンターです。エアコンでガンガン冷やすデータセンターには冷涼...

    • anond:20181019145637

      雪氷熱利用/雪氷冷房だな。青森と新潟にある。雪国だと冬に雪を貯めて、夏までに冷房代わりに徐々に溶かすという。

  • anond:20181019060214

    ロシア脅威論と石炭産業が低迷した今、釧路市は無理だよ

記事への反応(ブックマークコメント)

アーカイブ ヘルプ
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん