小学生の頃から他人に気を使いすぎるタイプで人に意見を言うのが酷く苦手なタイプだった。扁桃体がビクンビクンしてしまうのだ。
中学生になると容姿の事で他人から馬鹿にされる事が多くなり、意見を言えない私の精神は内へ内へと籠りはじめ、次第に人と一緒にいるだけで酷く疲れるようになってしまった。
地頭もよろしくない私は勉強ができず、成績も下から数えた方が早かった。中学卒業後は、徒歩圏内の馬鹿高校へなんとか入学できた。幸いDQN等はおらずいじめもなかったが、人と会話をしているとき人の会話が全く頭に入らなくなっていることに気が付いた。喋っていて相手の言っていることが稀に理解できることがあったが、何を返していいのかわからず、相槌を打つのが関の山だった。
卒業後、やりたいこともなかった私は予備校に二年間通い公務員を目指した。高卒区分で地元の市役所に無事入庁できたものの、仕事の説明どころか市長の挨拶すら頭に全く入らない私は焦燥感や恐怖心だけが募り、自己紹介をするだけでもパニックを抑えるでいっぱいいっぱいだった。そんな調子の私は職場で雑談すら碌にできず、一言喋るだけでも酷く緊張するようになってきた。
研修を受けるだけでも精神的にボロボロになる私が実務を通して経験値を積み業務を遂行していけるようになるはずもなく、経験を積むどころかストレスと恐怖だけが詰みあがっていった。
休みの日にせめて家で勉強をしなければと思ったが、仕事に関しての勉強をしようとすると酷い恐怖と眠気に襲われるようになり、土曜日は食事が喉に通らず寝た切りで、日曜日の昼間だけ食事をとってずっと寝ていた。
通勤中に仕事への恐怖を打ち消すために車の中で発狂の様な大声をあげている事への異常さを客観視した時にもう限界だと思い精神科にいった。
社交不安障害だといわれ、ワイパックスをラムネの様に摂取する日々が続いたが、自分の能力の低さが起因する恐怖が解消されるわけでもなく、1年足らずで仕事を辞めた。
休職を選ばなかったことは正解だったと思う。退職後は家に引きこもっていたが心が少しずつ安定していき、半年ぐらい経った頃、食事が美味しいと感じるようになるまでに回復した。というのが今までの経緯でここからが本題。
今は非正規だが一応働いている。幸い人とほとんど喋らない業務なのでどうにか仕事にはかじりついているが、やはり口語能力の低さが課題となっている。
仕事を探してお金を稼ぎたい意志は強いのだが、口語能力の低さがネックになりどうしても一歩踏み出せないのだ。
自分は人よりワーキングメモリが小さいのだと考えている。相手の言ったことが頭に残らなかったり情報として処理できなかったりする。自分で説明をする時にも、何を言いたかったか、何を言っていたのか、がすぐに頭から消えてしまう。質問をされるとその質問の意味が処理できず、そしてパニックになる。
コールセンターで働いて場数を踏もうかとも考えたが、またキャパオーバーをして振り出しに戻る気がしてできない。
某機関へとある手続き申請のために電話をしたのだが、言葉だけで情報を伝達し使いこなす職員の凄さ(できる人の方が多いのだが)に圧倒されてしまった。
トップレベルの口語能力が欲しいとも言わない。仕事で必要な口語能力が欲しいのだ。