2014-05-31

俺たちは同じものを見ても同じことを考えない



腐女子姉貴の批判を完全論破した淫夢UC

http://www.nicovideo.jp/watch/sm23667238

例えば上の動画なんかを見て欲しいんだけどさ、これなんかも当事者以外が見てもチンプンカンプンなんだよね。

「ホラ!俺は喧嘩で勝ったぞ!」とかいきなり提示されても、第三者としては「わけわからん。こいつは何を言ってるんだ・・・?」としかならないわけ。


それは当たり前の話であって、だって投稿者視聴者は文脈を共有してないから

この投稿者腐女子喧嘩してたことなんか、視聴者は全く知らないのよ。

それをいきなり「さぁさぁみなさんご存知の俺と腐女子喧嘩の結末は・・・!」とか言われても、視聴者は「いや知らねぇよ」としかならない。


からまず、この動画投稿者がやるべきなのは、どういう経緯があって淫夢厨と腐女子が激突したのかをきちんと提示することだと思う。

淫夢厨は何を言って、腐女子は何を言ったのか。

でもそれだけじゃほんとは不十分で、そこでこの記事が出てくる。

houyhnhmとkurahitoがバトっている理由

http://anond.hatelabo.jp/20140530212427

上の記事の投稿者はhouyhnhmとkurahitoがバトっている理由をみんなに説明したいみたいだけど、あんまり上手く行ってない。

「houyhnhmはこう言ってるよ、houyhnhmはこうみたいだよ」とだけ言われても、読み手は「フーン、そうなんだ」という感想以外は持てない。

だって私たちはこの記事を読んでも、houyhnhmの発言に別に問題を感じないんだもの。問題を感じているのは、どうもこの記事の書き手とkurahitoくらいなんだよね。

だったら、「じゃあ何が問題なのか」を読み手に説明してくれないと、問題意識の共有ができない。


houyhnhmのコメントを列挙して、「な、こいつオカシイだろ?」と言われても、読み手としては「どこかオカシイの?kurahitoは何を怒ってるの?」としか返せないわけである

そりゃあなたは、houyhnhmのコメントの文脈を知っていたり、またそれを自由に解釈する材料も持っているのかもしれないが、

読み手はhouyhnhmのコメントの文脈を知らないし、またそれを読み込んで解釈する必要性も無いのだから、そこで大きな断絶が生まれるのは当たり前である


からいきなり「な、こいつオカシイだろ?」と言われても、私としては

「ううん、現時点ではわからない。だからあなたは彼のコメントをどう解釈してそこにどんな問題を感じたのか教えて」

という返答をするしかないのだ。


こういったことはゼロ年代が終わってから頻繁に起こっており、つまり「俺が知ってるならお前も知ってるよな?」という前提で情報提示する健康人間が増えており、

これがインターネット公共性を損なっていることは間違いない。第三者が見てもスムーズに参加できないようなもの提示しておいて、「参加して!」「読み込んで!」

他者に乞う姿勢人間が増えており、そういった姿勢集大成アニメメカクシティアクターズ』であろう。


私がそういう人間たちに言いたいことは、「あなたが見たものを俺は見てないし、あなた感想と俺の感想は違う」ということである

まずそれをしっかり認識しておかないと、他者に何かを説明する必要性に迫られたときに、適切な説明ができなくなる。

何かをフワリと提示して、「ね?ね?俺が何が言いたいかわかるでしょ?俺の気持ちわかるでしょ?」とアピールすることしかできなくなる。

しかし私に言わせてもらえばそんなものはそもそもアピールにもなっていないし、それを読み込むことや解釈するコストをこちらが負担させられているようで、不愉快な気分になる。

「お前が何を感じているのかハッキリ言え!」と怒りたくなる。


ゼロ年代が終わり、インターネットは様々なものを失ったが、情報提示方法技術も失われつつある。

「他人は他人でしょ」という健康人間論理ネット世界では悪い方向に進み、「知らない奴には情報提示しなくていい」もしくは「知らない奴には情報提示しちゃダメ

という風潮が蔓延し、けっきょく人々はネット他者第三者に何かを伝えたいのなら「ほのめかし」をするしかなくなってしまったのだ。

「ほのめかし」という攻撃方法LINE世界にはあると聞いて私は笑ってしまったが、笑い事ではなかった。既にそのやり方はネットを覆いつくしていたのだ。

そういう意味では、メカクシティアクターズの作者や、わけのわからない動画投稿した淫夢キッズ、またhouyhnhmとkurahitoのバトル解説を試みた記事主も、

そういった「ほのめかし」の風潮に毒されてしまった犠牲者なのかもしれない。


だがインターネットでほのめかしをする必要など無い。何かを言いたいのならハッキリと言えば良いのである。なぜなら私とあなたは全く同じものを見ても全く違うことを考えるのだから

そのあなた感想をしっかり教えてもらわないと、相互理解ができないではないか。健康人間はここがわかっていないのである


と、私がこんなことを言ったところで、彼らはほのめかしを止めないだろうし、メカクシティアクターズのような作品は増える一方であろう

(9話まで見ても話の全貌がわからない作品が今後増えたりね)。

それは、ゼロ年代が終わり、SNSが前提となった今のインターネットでは、生き残る術がそれしかないからだ。

私たち相互不干渉を貫いて「ほのめかし」て行くしかないのだ。そういった意味では、インターネットは既に終わっているのである

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