はてなキーワード: ジョージ・ケナンとは
「ロシア政府によるウクライナ侵攻によるロシア国民のメリットがよくわからない」という声が聞こえてくる。
メリットがあるかないかという質問を受ければ返せる言葉は「ワンチャンある」だ。
現代の日本人は敗戦による反動を伴った戦後教育の影響で地政学的見地に疎く、地球上で国家の位置する座標が互いに影響し合うというのを理解しにくい(※戦後教育を完全に否定しているわけでない。何事も一部は行き過ぎることもあるだろうという考え)。
ある程度、軍事史に詳しい人ならばNATOの設立に大きく関わった米国外交官ジョージ・ケナン氏自身がNATO東方拡大へ不支持を表明していたことをご存じだと思うが、つまり今回のクリミアとウクライナの動乱はそもそもNATO設立時から予測されていたことだったのだ。
もう一度言おう、NATO設立の時点でNATO東方拡大をするとロシアが追い込まれ前へ出てくるのは予測されていた。
ポイントはこの「追い込まれる」という部分なのだ。
正直に言ってロシア経済は上手く行っていない。様々な経済政策を進めてきたし、特に海運は命題の1つであり昨今持ち上げられがちな北極海航路開発の進捗も芳しく無く、唯一の頼み綱は天然ガスだけだ。
軍事に明るくなくとも経済に明るい人、一方のネットワークがダメならは、現在動いているレガシーなネットワークへ依存せざる得ないを理解する情報技術に明るい人は、もうこの時点で気付いただろう。
みなさんもご存知かもしれないが、歴史の長さしか取り柄のない海運へ強依存した蛮族の国があるだろう。
ユーラシア大陸の雄である文明帝国が国際貿易のため制海権を得ようと南下はじめたことへ呼応し政変が起き、神のいたずらか悪魔の仕業か、運悪くも文明帝国は敗戦という憂き目に遭った。
蛮族はそこから調子に乗ってアジアを巻き込み、ついには2度目の大戦の際にABCD包囲網が動き出し、国際連盟を強がりつつも離脱し、あれよあれよと唯一の頼み綱である制海権を消失し敗北した。
なぜ蛮族は前へ出たのか?
後世だから言えるのかもしれないが、あの状況では敗ける可能性が濃厚だ。
しかし単純な話なのだ、実に単純だ。
我々は追い込まれた。制海権を喪失すれば国民が飢える、自らの子が飢える。ならば他国の人がどうなろうとも、他人の子供がどうなろうとも、我々の家族を食わせるために例え間違っているとしても前へ出る!
そういう単純な話なのだ。
NATO東方拡大はロシア唯一の頼み綱である陸路を他国の軍事同盟が掌握下に置くことを意味し、その影響は子々孫々に至るまで残る。
親ならば誰かを愛することのできる者ならば思うはずだ。
お前らがそうするのであれば今このとき今ここで、国を総動員してでも俺たちの世代でケリを付けてやる!
戦争反対だと?あぁ正しいな!お前らは正しい、俺たちは間違っているとも!
それがどうしたっ!?このまま行けば俺の子が飢える、俺の妻が泣く、前へ出なければそんな未来が確実に来る!
言ってみろ!俺たちに間違っていると言ってみろクソどもが!!!
というのがロシア側の意見であって、現代で戦争をするすべての国、国民がこのように同じ主張するってわけだ。
後々に自分の子が飢えるとわかっているのならば、前へ出ることでその可能性を低くできるのであれば、前へ出て先延ばしにできるのであれば、親ならば前へ出るだろうよ。
ちなみにこれは両論併記にはあたらない。
何故ならウクライナもアメリカもNATOも同じことを言ってるからだ。
全員が間違い続けた結果がこれだぞ。