2021-03-04

「俺は悪くない」は強い

職場上司係長)が自殺した。

勤務開始時間になっても出勤せず休む連絡もなく、携帯にかけても出ず、課長が家に電話すると取り乱した奥さんからそう伝えられた。

いつも通り家を出たあと、近くの公園の木で首を吊っていたらしい。

2歳の娘がいて、きれいな家を新築したばかりで職場の皆でお呼ばれして新築披露目・お祝い会をして、ニコニコして幸せそうに見えていたので、まさかだった。

 

その後に職場の皆で家にお悔やみに行ったが、奥さんの沈んだ表情が忘れられない

 

自殺の原因は遺書がなかったのではっきりはわからないのだが、私生活では幸せそうに見えたので(見えただけで、もしかしたら悩みもあったのかもしれないが)、たぶん仕事上の悩みが原因だと思う。おれはそう思ってる。

本人は優秀でやる気にあふれた人で、激務で有名な部署にもいたことがある。

当時の部署はそこそこ忙しく、あまり有能ではない上司と、無能でやる気のない部下(俺だ)に挟まれて、悩んでたのではないかと思う。

らしいというのは、俺は職場では与えられた仕事をなんとか期限内にこなす(期限を過ぎることも多々有る)だけで、職場内の人間関係には関心がないからだ。

それからずっと、事あるごとに、俺のせいで一人自殺させてしまったと心がチクチクしていた。俺の無能さが悩みの元の一つだったのではないか、と。

 

それから10年が経ち、俺も結婚して同じ年頃の子供ができて、こんな愛おしい子供を遺して自ら死ぬなんて考えられず、やはり仕事の悩みだったんだろうなとの思いを強くしてる。

そして俺は反省して仕事で優秀になったかというとそんな事はなく、やる気のなさと無責任さはより強くなってる。

係長自殺したあと、あまりにも普通に職場日常が経過することにショックを受けたんだ。

仕事が原因で自殺したのに、組織最高責任者がそれに言及することなく、俺含め誰か処分を受けることもなく、遺族の一生の面倒を見る事もなく、サラッと流されてしまたことに。

仕事に命をかけるほど打ち込んで悩んで自殺しても、職場はそれに報いることはない。なら、頑張るだけアホらしいじゃないか自殺してしまうより、手を抜いてほどほどに仕事こなしてストレス感じないほうがいいじゃなかと、そんな思考になってしまった。

 

まりにやる気がなさすぎて、こうして仕事中にはてブ増田(間違えたよスマンな)してるし、何の間違いかその後に忙しい部署に異動になったときには、ほどほどに残業してたもの仕事が追いつかずに、やるべき事をやらずに対外文書を発出するという不正行為を繰り返してしまい、内部規則違反減給懲戒処分まで受けて地方新聞の3行記事にもなった。(実名は出てないので、当時の同じ職場人間や人事担当者以外は俺の懲戒処分を知らないだだろうけど)

その際には同僚や上司主幹課の担当者の方々は後始末の奔走に走り、ただでさえ忙しい中で更に余計な仕事を増やして多大な迷惑をかけてしまい、異動した今でもたまに彼ら・彼女らの顔を見えると恥ずかしさと申し訳なさで目を伏せてしまう。

 

当時はとても職場に居づらかったし、悩んでたし、苦しんでたが、自殺だけは考えなかった。反省はしていたが、根本では

共働き子育てしてるのに、こんな忙しい部署に配置した人事担当が悪い」「そもそも残業前提の業務量になってるのがおかしい、人を増やさない組織が悪い」

と、主責任自分にあるとは考えてなかったから。(こんなストレートには言ってないが、懲戒処分前の聴聞でもこれを砕いて主張した)

から俺は他責思考なんだ。子供のころから親に「人のせいにしない」と怒られてたけど、中年になった今でもそのままだ。

周囲の人はたまったもんじゃないと思うが、そのおかげで自殺もせずメンタルを病む事も無く(自殺者に比べると精神疾患持ちは職場で多い)、今では業務怠慢の懲戒経歴持ちとして、出先に配置されて頭を使わない定例業務を繰り返し定時で帰る日々を送っている。(俺の前任者も前前任者もメンタル病んで傷病休暇を繰り返してた人なので、そういう配置なんだろう)

帰りに子供保育園に迎えに行き、しばらく遊んで風呂に入って晩ご飯を作って妻の帰りを待ち、みなで夕食を食べて寝る。とても幸せだ。

これこそ人間暮らしだ、と思う。

 

無責任人間はつよい。それを言いたかった。

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