どうしても根本のゲーム性として単調になりがちなので、作業ゲーが苦手な人は向いてないと思う。農作業で能力を高める→ダンジョン探索する、という流れを繰り返す。
ダンジョン探索部分は羽衣を使ったワイヤーアクションや敵をぶつけて吹っ飛ばすアクションなんかは楽しい。技のカスタマイズやコンボ繋げる部分とかも結構凝って作られている。ただしインフレが激しくて、相手の能力値が高いとまるでダメージが通らないし自分の能力が高いとほとんど一撃で倒せるような調整になっている。この大味なバランスを雑にどっかーんってできて楽しいと捉えるか実力が混ざる要素が減ってつまらないと捉えるかは微妙なところ。個人的には(後述のように)稲作を適当にやってれば適当に強くなれる仕様との噛み合わせはよくないよなあと思う。
米を収穫するたびにサクナの能力が上がるハクスラ要素。かなり細かく作られている。雑に肥料をガンガン与えて栄養を増やすだけではよくないらしい(トライフォース農法という言葉が有名になった)。土壌の様子を見ながら肥料に気を使ったり欲しいステータスに応じて稲作の方針を変えたり、本気でいい米を作ろうとするとなかなか沼の世界になる。肥料を最低限に抑えて雑草を減らすとか、農薬をドバドバ入れるとか、わざと防虫のパラメータをマイナスにして蜘蛛を養殖するとか、手段も様々。ストーリーを進めるごとに設備が整い、どんどん便利になっていくのも牧場系ゲームの定番って感じで快適。
ただ、ぶっちゃけ年数を重ねる方が大事。どんなに雑に稲作してもステータスは増えていくし、マイナスになることはない。ほどほどにこなして収穫するだけでかなりのステータス上昇になるし、十分に気を使って稲作した場合と上昇幅に大差がない。じゃあ適当にこなして回数を重ねればいいよねってなってしまう。食事効果なんかもあるんだけど、凝った料理を作ろうと思うと素材管理が大変なのとやっぱり稲作の上昇幅にはかなわないという都合上、どんどん雑な扱いになってくる。
ここもまた捉え方次第だと思う。余計に難易度が高くても大変だし、農作業の雰囲気だけでも楽しいし。稲作難易度(!?)の設定を変えればまた違った感想になるかも。
とてもよかった。稲作してハクスラするゲームねハイハイ、って思ってたところから異常なまでに濃い世界観と胸熱なストーリーに魅せられた。
3~4分ほどの長時間、"サクナたちが歌いながら田植えするだけ"という異常なムービーシーンがある。そこに至るまでの過程もある。なぜ農民は歌うのか?文化は、信仰はどのように作られるのか?"文化としての稲作"というものまで正面から向かい合った作品であることを象徴するシーンだった。
新鮮さも薄れてきて、延々と死んだ目で稲作とダンジョン探索を繰り返す作業ゲーの先を乗り越えた頃。ゲーム終盤に入る頃。
農作業を繰り返して心まで農民に染まりきったプレイヤーに、ラスボスの登場によって(以下ネタバレにつき反転)
という衝撃の鬱展開が襲う。
それに伴ってサクナの力も失われ、全てがなくなり、絶望を味わうことになる。
それでも立ち上がって一つ一つ取り戻していく。その過程が本当涙腺に来た。農民は負けないのだ。プレイヤーも負けないぞ。作業ゲー?そんなもん知るか、俺は稲作に忙しいんだ。さあ今日も仕事だ。
「また美味い米を作るぞー!!」
全てが終わり、サクナが歩いて家に帰るところでスタッフロール。今まで費やしてきた思いと映るヒノエ島の風景が合わさり、心に残るエンディングになった。
・適当な稲作を回数繰り返してステータスを上げる以外の選択肢がないバランス。明らかな格上の敵相手にプレイングスキルで勝つことはほぼできない(ダメージが通らない)し、稲作に気を使っても大してステータスは変わらないのでひたすら繰り返すしかない。
・ラスボス戦で唐突に別ゲーを強いられる。今までの快適アクションはどこに!?
・一部ダンジョンの探索条件が鬼畜。宝のために隠し通路なんかを探す作業は割と好きだけど、ランダム素材を集めることが条件になっていたりすると苦行になる。ちなみにダンジョンの探索条件はゲーム攻略の間接的なヒントになってたりして、弱点属性を教えてくれたり食事効果の大切さを教えてくれたりする部分もある。
とてもいいゲームでした。
結局いつものえーでるわいすだな あと稲作はハクスラじゃなくてただの育成な ハクスラっていうのは敵をなぎ倒す過程のことをハクスラって呼んでる 最近の若者はなんでもハクスラっ...