禁酒というか、毎晩の晩酌を週に1~2回に減らした程度のもの。
晩酌やめようと思った理由は、毎晩飲み始めてからの記憶がほとんど残らないのが怖くなってきたのと、飲みすぎて次の日を無駄に過ごしてしまうことが週に一回くらいのペースで増えてきたから。
依存症は大丈夫だろうと思ってたけど、やめてからの数日はかなりの頭痛に悩まされて、それが離脱症状と呼ばれるものだとわかって少し怖くなった。
確かに今まではその頭痛を和らげるためにお酒を飲むという行為を繰り返していたように思う。
それを離脱症状なのだと自分に言い聞かせて飲まないように我慢したら1週間くらいで頭痛はなくなった。
本当は我慢できなくて飲んでしまったこともあるのだけど、翌日のほうが頭痛がひどくなって飲んだことをひどく後悔した。
そんなこんなを繰り返して、だいたい一ヶ月経った。
・髪が増えた。
これまじワロタ。ここのところ生え際の防衛ラインがガンガン攻め崩されて隙間からの地肌が寒々しくなるばかりだった。
あぁ。40も過ぎれば仕方ないよなと諦めてた。
ところが、お酒をやめて一週間くらいで、ドライヤーするときの抜け毛が減ってきたことに気づいた。
気のせいかな?と思っていたけど、一週間前くらいから明らかに生え際の産毛が増えてきた。
おいおい。季節的には生え変わりの時期じゃないか。って思いながら、防衛ラインにブッシュが作られて防御力が強固になっていく姿をみて少し涙が出た。
・貯金が増えた
それまで飲んでいた量は、だいたい第三のビールを2本、その後焼酎をグラスで2~3杯が平均。
考えてみると、それだけで500円弱飲んでいる計算になる。
それが出ていかなくなった。
試しに飲まなかった日は500円貯金をするようにしたところ、この一ヶ月で1万円以上たまった。
積み重ねてはじめて気がついたことながら、むしろそんなに使っていたのかと思うと少し怖くなった。
なぜかというと、今の所まだ、お酒を我慢するというのはそれなりに精神的コストを使っている状態なので、500円という価値がものすごく重くなったから。
今までは気になるものがあれば2000円までは思考停止でポチってたのに、4日分の我慢と天秤にかけるとおいそれと買えなくなった。
この一ヶ月で貯金箱には1万円ちょっとだけど、現実的にはもっとたまっていると思う。
・本を読む時間が増えた
今までは、飲んでしまえば忘れてしまうという理由で夜に本を読むことはなかった。
逆に飲まないようになると暇な時間が増えてしまったので、本棚から昔読んでいた本を引っ張り出してみることにした。
読み始めてみると楽しくて、3日に1冊のペースで本棚を消化し始めた。
風化した心の地層から忘れていた自分が掘り起こされたような気分だった。
・子供との会話が増えた
お酒を飲んでいるときのほうが楽しい父親なんじゃないかなって思ってたけど、そうではなかった。
子供にしてみると、感情の起伏が激しくて酔っ払った父親には近づきづらかったらしい。
そんなこと考えたこともなかったけど、お酒を飲まないでいると、子供たちが自然に近づいてくることがわかった。
これは素直に反省した。
・妻との会話が増えた
妻がなんでもないことを話しかけてくるようになった。
今まで会話を拒否したつもりはなかったけど、酔っぱらい相手に何を話しても無駄と思っていた部分はあるかもしれない。
とてもなんでもない、他愛のない話。例えばママ友とのやり取りとか、掃除用具をどれを買おうか迷ってる話だとか。
そういうことを話しかけてくるようになった。
でも多分これは、今まで話しかけられていたことに自分が気がつくようになったのだと思う。
これも素直に反省した。
だけど、気がついたら『お酒を飲み始めたら触れてはいけない存在』に、家族の中でなっていた。
それに比べて、お酒を飲まずに居間に座っているときは、自分を含めた『家族の時間』が動いていることに気がついた。
逆か。
それまでは、お酒を飲み始めた時点で、家族の時間から取り残されていたのだと思う。
そこに、戻ることができた。
朝目が覚めて家を出るまでの慌ただしい朝の1時間。仕事から帰ってきてお酒を口にするまでの1時間。
たったそれだけの時間しか家族と過ごしているとは言えなかったのかもしれない。
たまの休みさえ、二日酔いで潰れてしまっていることさえあったのだ。
それを思うと、後悔よりも申し訳ない気持ちがこみ上げて、涙を溢れさせて止まらなくなった。
突然泣き出して子供たちは戸惑っていたけど、妻を見たら何故か涙目ながら微笑んでいた。
妻はとっくに何かに気がついていたのかもしれない。
いつからだろう。多分、バランスを崩したのはコロナが始まってからだと思う。
それを言い訳にして、自分だけが辛いという顔をして、家族にストレスを押し付けていたのだろう。
毎晩飲んだって暴力や暴言がなければいいって思っていたけど、それは間違っていたかもしれない。
軽い気持ちで始めた禁酒だけど、やめてみてわかったことは、飲んでいる間、自分の想像以上の負担を家族に強いていることだった。
多分それは、家族も気が付かないうちに増えていたもので、だからこそ自然とストレスから開放されて笑顔が増えてきたのだと思う。
自分ではうまく付き合えていると思っていた。