『2020年6月30日にまたここで会おう』は、瀧本哲史さんが2012年6月30日に東京大学で講演された内容を1冊の本にまとめたもの。これが期間限定で全文無料公開されたので読んだ。
勉強になるし、考えさせられる面白い文章だったのでぜひ一読をおすすめします。
瀧本さんは20代とかの若者に向けて話していて、いろんなメッセージがあるんだけれど重要だと思う前半からいくつか引用。
>> ・次の日本を支える世代である若者が自由人として生きていくために必要不可欠な「武器としての教養」を配りたい。
・外見だけは人間なんですけど、やってることは人間以下という人が老若男女問わず世の中にはたくさんいる。「自分で考えてない人は、人じゃない」
・「正解」なんてものはない。 自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。
・そのための「思考の枠組み」として、リベラルアーツがある。 自分自身を拠りどころとするために、学ぶ。
・まず「言葉」によって正しい認識にいたり、「言葉」を磨くことでその認識の確度を上げていく。そして「言葉」を使って相手の行動を変えていくことで、仲間を増やし、世の中のルールや空気を変えていくことが可能。
・ 君と君たちが正しい選択をし続ければ、いつか必ず世界は変わる。<<
歴史的なことを散りばめて語られるから、すごく説得力があるなと思った。現代史も含め、歴史は事実に近いことだから、知っていることはものすごく大事だよな。パラダイムシフトについてなんか眼から鱗でした。
で、これを読んで私が考えたこと。
これを「賢い」と言われる人たちに話す意味はすごく大きい。賢い人が世界を動かしていく(はず)だから。だけど、私はそれだけじゃ足りないんじゃないかと思う。
ある程度理解する力がないと、自分の中に噛み砕けなくて受け入れられないのは確かだけど、「賢くない」人の方が多いんだよ、世界。
しかも今は発言権(拡散力)はみんなが持っているし、賢くない人は、数の多い「仲間」=大衆に受けやすい。
けど、賢くない人ほど、こうした話は聞きたくないし、聞けない。受け入れられない(たくない?)。
じゃあどうするかって、もっと早くにこういう考え方をわかりやすく、広く、教えなくちゃじゃない?って思う。中学・高校、それも地方を含めた公立とか、「普通」なところで教えていくべきなんじゃないかと。やっぱり教育って大事と思う。
中学生って大人が思うより、考えられるよ。いろんな空気を読みながら生活してるし、いろんなことに影響されて学んで生きてると思う。だからこそ、そこで思想は固定されてしまいがちなんだよ。どれだけ勉強ができていい大学にいけた人だって、育った場所(家庭・小学・中学・高校)でできた思想ってなかなか変えられない。むしろガチガチな人も多いんじゃないかって思う。
そういうことでいうと、中学生って無垢ではないけど、まだまだ足りなくて、考えがかっちり固定されてないと思うんだ。(まだ変えられる、というか。)
でも既に、変に諦めてる子とか、頑張るのバカじゃん、どうせ自分バカだし、みたいな子も多いだろうと思うんだよね。そのまま行っちゃうと、世の中の、その地域での「普通」の道を辿ることに疑問をもたないまま進んでしまうことになるわけ。これって今の時代の「再生産」的な人間じゃん。
だからさ、できれば中学生とかの内に、せめて高校生のときに、こういう話を聞いて、自分の可能性とかを自分で考えてほしいなと思うわけ。
じゃないと多分、「パラダイムシフト」は起こんないよ。世代交代は必然的に起こるけど、次の世代もおんなじ考えの人が再生産されてたら意味ないんだよ。
パラダイムシフトを起こすためには、賢い・意欲のある20代に話しているだけじゃ足りない。
人の考え方は基本変わらない。歳を取ればとるだけ、変化は期待できない。
で、じゃあ中学生(賢くない)にどうやってこの話を伝えたらいいんだろう?って考えた。
メッセージの大ポイントは「自分で考えることをやめるな」ってことだと思うんだけど……
ってなるじゃん。これ、なんて答えたらいいんだろう……というのがいま見つからない。
だって中学生はまだ社会を知らない。今の社会のなにが未来にとってよくない考え方なのか、その考えがどれほどスタンダードなのか……絶望感を知らないと、「今のままじゃダメだ!自分たちの世代が変えるんだ!」なんて思えないんじゃないかなって。
この「なんで?」に対する答えをちゃんと伝えられる大人になりたい。
誰か手伝って!なんて答えたらいいと思う?