2018-10-04

「全年齢向けエロ」というジャンル

昨今、エロ要素の拡がりが話題になってきている。

 

エロ普及問題である

 

この問題見方を変えると「エロであっても全年齢向けメディアに載せることは可能」とも取ることができよう。

PSP用のゲームCONCEPTION(コンセプション)俺の子供を産んでくれ!」がCEROレートC(15歳以上向け)でしかなく、第2作体験版3DSで15歳未満でも無料ダウンロードできたり、今期開始のアニメになったり、PS4で新作が出るのも、エロではあるもののその表現を変えているからだ。

まりセックスシーンはNGだが、手をつないで異能を発揮することで子供ができるのならOKだし、ちょっと(手を)強く握りすぎちゃって『あっあっ』と喘ぎ声が出てしまっていてもOK」ということである

 

そもそもエロ問題視されるようになったのは、同じ表現の焼き増ししかしないエロ同人作家のせいである。表現が偏っているので規制もしやすい。

 

しか問題は「どう見せるか」であって、エロ自体問題ではないことが上述のとおり分かってきた。

エロ行為すべてを表現せず、断片だけを見せることで規制回避し、読者が想像力で断片をつなぎ合わせる──それが全年齢向けエロを実現する《鍵》になるだろう。

ネットでのNG表現回避するのと同じやり口ではある。「死ね」ではなく「タヒね」、「ころすぞ」ではなく「56すぞ」と書いても、相手がその表現解釈できれば伝わる。記号を置き換えるだけで規制回避できる。「隠語」というものネット以前からあるではないか法律その他ルールも明文化しなくてはいけない以上、特定表現しか規制できない。しかし、人間想像力規制という網の目を通り抜けた断片的表現からでも、オリジナル復元しうる。

 

例えば「非実在青少年」も「くすぐられているだけならOK」であり、「お前がママになるんだよ!」も「ただくすぐられているだけの状況」では意味をなさないためOKアニメFate/stay night最終話英雄王が「今までずうっと考えていたぞ。嫌がるお前をどう組み伏せ、呪いを飲ませるか。泣き叫ぶ顔を踏みつけその腹が身ごもるほどの泥を飲ませ(略」などと発言するのも大半の視聴者に「なんですか?その『身ごもる』って」と思われる程度に場違いであればOKなのである

「※この作品に登場するキャラクターはすべて18歳以上です」「エロゲーの舞台高校なのはNGだけど、学園ならOK」といったあと付けの言い訳さえ不要

 

逆にエロではない状況を、どう見てもエロ同人の1コマしかない表現で見せる例もある(鳴見なる「ラーメン大好き小泉さん」)。

ちょっと考えてみよう。そもそもエロい」とは性的ではないシチュエーションに贈られる賛辞ではないか性的な場面で「エロい」と言われても「頭痛が痛い」と同じように意味のない二重表現になるだけではないか。そうでないもの性的にすることこそが「エロい」のである

 

というか、冒頭に挙げたようなエロ要素の拡がりを見るに、作り手は狙ってやっているように見える。現実はもうそこまで動いているのではないだろうか。

 

とすれば、残る問題受け手だ。「新しいエロ表現に、読者の想像力が追いついて来るか」である。作り手はエロとして描いているにも関わらず、受け手にはエロだと気付かれていない作品はおそらくある。先の「ラーメン大好き小泉さん」もそのひとつだろう。先のラノベ表紙エロすぎ問題における「作り手の配慮が欠けている」という指摘も、受け手理解不足によるものと思われる。

 

からと言って諦めてはいけない。コミケでは黒く塗りつぶさなければならないような使い古された記号固執する豚よりも、もっと良識のある読者層を対象に「新しい記号」を作り出すほうが建設的ではないか。あえて言えば、それがこれからエロ作家の使命ではなかろうかとさえ、私は思う。

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