漠然と「英語を使う事務の仕事」を探していて、特許事務というものがあるというこを知った方もいるのではないでしょうか。
私はこの業界未経験で、接客業から特許事務所に転職しました。そしてやはり志望動機は「英語が使いたい」です。TOEICは一時期800ありましたが、今はもっと低いだろうなレベル。
特許事務所といっても100人単位の大規模事務所から弁理士1人でやっている個人事務所まで色々あり、私が働いているのは限りなく個人事務所に近い小規模事務所です。
地味な業界(実際、想像以上)ではありますが、もし興味のある方がいれば少しでも私のこれまでの感想が参考になれば幸いです。
→はい。
うちの事務所は小さいが故に、事務員も私1人、従って国内、外内、内外全てを扱うため、英語を使う頻度は高いです。
といっても読み書きオンリー。話すことは一切ありません。そもそも日本語の会話すらほとんどありません。ひたすらメールやレターの作成、簡単な翻訳の準備などです。
あ、でも何故か時々営業の電話がかかってきて、その度に慌てふためいてます。それと現地代理人が営業や挨拶に来ることもあり、その時は少し話すかなあ。単なるイメージですが、大規模事務所だとその頻度や食事会なども多そう。
ということで総合的に英語を使いたい方は外資系の会社、事務所を目指した方が良さそうです。個人的には会話がないのは残念ですが、何らかの形でほぼ毎日英語に触れるのでそれには満足しています。
そもそもビジネスレターやメールは大学でちらっと習ったレベルなので、今でもなかなかしんどいですが、ほとんどの事務所にはテンプレがあり、メールの文面も定型文でなんとかなるので、そこまでできなくても良いのかなという印象。
あとは専門的な知識はなくても、米国出願の明細書のここが日本の出願と対応してるとか、クレームも日本と米国は違う形式にしなくてはいけなかったりするので、語彙量は多い方がやりやすい。もちろん辞書も沢山使う。グーグル翻訳も結構使ってます。
あと機械翻訳された英語の明細書がきちんと意味が通るのかとかもたまに調べたりします。
これは英語のレベルというよりは慣れもありますが、郵便の宛名の順序とか国によってかなり異なるので結構苦戦しています。
おそらくレベルの高い人は外内案件であれば翻訳したりできるのではないかなぁ。もちろん後で弁理士が確認しますが。あと同じクライアントだと過去の案件がそのまま使えたりしますので、似てるところを探したりもします。
うちの所長は実体的な事以外は基本定型文を用意して、その中で適切な文面を事務員に取捨選択させて、レターや拒絶理由通知書などの翻訳の雛型を作らせています。
→はい。でも極めて地味。
私がこの仕事を好きな理由のひとつにこんなにも地味でありながら国際的である、多くの国の事務所とやりとりがあるということがあります。マドプロを含めると20ヶ国程度でしょうか。お互いに仕事を依頼し合うという関係も面白い。
とはいえビジネスライクなメールだけの関係で、用件以外のことを書くことも一切ないなで、文化を知るとか視野が広がるみたいな体験はごく僅かです。
思い出しながら書いたのでまとまりがないのですが、経験も実力もあり英語を使いたい人は外国の特許事務所の日本支所が良いかもしれません。私のように経験も実力もないけど英語が使いたい人は国内案件と外国案件の区別がないような5人以下の小規模事務所がおすすめです。
「英語を使いたい」って漠然と希望するだけじゃ本当はダメだし、国際的に活躍なんて夢のまた夢です。でも何故かそこから進歩できなかった自分に特許事務の仕事はある程度の具体性を与えてくれたと思います。同じように漠然と考えている人の参考になりますように。
レビューというか、もしかして: 感想文