2018-05-16

好きだった先輩の話

8年経った今も忘れられない先輩がいる。

私は高校卒業してすぐ、地元の小さい商社営業事務として入社した。女性社員は私を含めて7人、男性社員は30人ほど、同期はおらず、新入社員は私だけだった。

その先輩は経理をやっていた。3歳年上の彼女は色白で少しぽっちゃりした体型、背は私よりも少し低いけれど顔立ちはキリッとしていて美人女性だった。

出会った瞬間「好き」と思った。私は昔からかっこいい女性が好きで、先輩の容姿雰囲気ドンピシャに好みだった。私より背が低かったのも逆に愛おしいと思った。

同期がいなかったこともあり先輩たちと話す機会がどんどん増え、先輩、先輩の同期の女性、私の3人で食事に行ったり遊んだりするようになった。年が近かったこと、

私も先輩もアニメ漫画が好きないわゆるオタクだったことが良かったみたいだ。先輩も先輩の同期の女性もとても気さくに話しかけてくれた。すごく嬉しかった。

先輩の恋愛対象が“普通に男性であることも知った。

入社してから初めての秋、3連休を使って長崎に行く予定があると先輩が話していた。一人旅が好きでよく行くらしい。私は「へ~いいですね~」なんて相槌を打っていた。

増田さん、長崎行ったことある?」

「いえ、ないです」

「そっか…じゃあ一緒に行く?」

願ってもいないチャンスだった。意中の先輩と2人きり、しかも泊まり旅行だなんて。

しかった。嬉しいどころの騒ぎじゃなかった。楽しみで楽しみで、2人で旅行会社へ行くときには「新婚旅行みたい」と思うほどに浮かれていた。

夢見る10代だった私は少しだけ馬鹿だったのだ。いや少しじゃないかもしれないが。

そんなこんなで旅行の日がやってきた。観光スケジュール電車時間などを、私のスケジュール帳のフリースペースに先輩が手書きで記してくれた。

(ちなみに今もそれは捨てずにとっておいてある。たまに引っ張り出しては眺めて、ノスタルジックな気分に浸っている。)

先輩と温泉に行ったりおいしいご飯を食べたり教会を巡ったりした。可愛い雑貨屋さんもたくさん覘いた。先輩は歴女に片足を突っ込んだオタクだったのでそういう所にも行った。

ホテルで寝る際、先輩は学生の頃のジャージを持参しており、上着をズボンの中に入れていたのがちょっとダサくて可愛かった。

先輩とよく話すようになったといっても、端から見たら2人で泊まり旅行をするような仲には見えなかっただろうし、正直私もそう思う。

知り合ってからまだ半年ほど、2人きりで出かけたことは一度もない。だけど旅行では気まずくなることもなく、相性がいいのかな、なんて考えていた。

むこうも同じことを感じていてくれたのかもしれない、この旅行を境に、2人だけで遊ぶことが増えた。小旅行もどんどんした。

共通ジャンルオタクイベントに行ったり、おいしいものを食べに行ったり、休みの日に意味もなく集まったり、先輩の車でよくドライブにも行った。

ギアチェンジ時の男性の腕に惚れる」とよく聞いたけど、私は先輩の細くて綺麗な白い手がギアチェンジする様に見惚れていた。

仕事中は勝気で、少し無愛想で舌打ちが多く、一見怖そうに見えるのに、プライベートではちょっと抜けたところがあるひとだった。

例えばBBQに行ったときなんて白いシャツで参加していて驚いた。絶対汚れるだろうに。案の定汚していてなんだか可愛かった。「何やってるんですか~」って2人で笑いあった。

入社して2年が経った頃、先輩が転職されることを聞いた。

から少し悩んでいる様子を見ていたのでそこまで驚くことはなく、ついに来たか、と思った。当たり前だけれど寂しさのほうが大きい。

先輩が退職する日は一緒に帰った。

帰り道で先輩が「増田さんのこと、後輩としてというより…人間として本当に好きだよ。正直私って少しめんどくさい性格だし怖がられることも多かったから、ここまで仲良くなれた友人は増田さんくらいかも」と話してくれた。

しかった。嬉しくて嬉しくて泣きそうだった。でも泣き顔を見せたくなくて、「私も先輩と出会えて本当に嬉しいです」って笑った。

もう告白しようかとも思った。私も先輩のこと好きです、1人の女性として好きですって。でも言えなかった。

あと少しの勇気がどうしてもでなかったのだ。別れた後にたくさん泣いた。

先輩の仕事が落ち着いた頃、1度だけ日帰りの旅行に行った。数ヶ月会わなかっただけなのに、先輩が少し変わってしまったように思えた。

それからはたまにメールで近況を報告しあっていたけれど、だんだん疎遠になってしまっていった。

先輩と話したいなと思うときもあったのに、なんとなく会う気が起きなかった。変わってしまった先輩を見るのが少しいやだったんだと思う。

今でも、あの日告白しなかったことはずっと後悔している。今も好き、というわけではないけれど、なんとなく未練が残っているし、先輩との事を引きずってしまっている。

お久しぶりです、覚えてますか?よかったら今度、ご飯でも行きませんか?」

そんなことをメールしようとしては躊躇し、ためらいながらとうとう8年目に突入してしまった。

10代の恋心と決別するためにも一度どこかで会いたいなと思いつつ、今日今日とてメールの下書きを削除しています

  • よくあることだ

  • LGBT女の糞長文ですよね? メールの下書き消すついでにこちらも消したら? 間違ってたらスマホ 消さんでええわ

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