前回の社長は良かった。サイコパスだけど考え方に同意ができた。決断も早いし行動力もあった。
性格は見た目に出るという自分の中のヤバいやつルールにスマッシュヒットだ。
大企業の部長になれるスキルはあるのだ。それは自分の感想でしかない。
今の社長が着任してまずやった事は1クォータかけて社員全員の面談だった。
この時点でヤバさが増した。100名程度のたかがグループ企業の社員に3か月も経営そっちのけで面談を優先するなんて、ちょっと想像の範囲を超えていた。
しばらくすると若い女性社員とキャッキャしだした。あたまポンポンとかセクハラになりますよ。社長。
そうこうしていると、現管理職向けに研修をしだした。外で講師をしていると自信満々だった。
だがその内容は、市販本を劣化コピーしただけの資料で、講義もただの読み上げだった。
いや読み聞かせてくれたのだろうか。こんな内容で講師をしているのかと背筋が凍った。
一点試しに質問したら、しどろもどろな挙句、最後にはみんなでがんばろうと締めくくられた。
そんなに社長業はヒマじゃないはずだ。口だけだされた現場は、混乱や責任転嫁が横行しはじめ、明らかに効率がおちた。
本社への報告資料が増え、本社の意向に沿ったルールが執行されだした。予定外のビジネスプロセス変更が発生した。
改修ではない。ただのやらなくても良い今の社長が本社からほめてもらえるだけの変更だ。
いや、まだわからない。ひょっとして彼のスーパーメソッドに我々下々の思考が追い付いていないだけなのかもしれない。
業績報告では、彼が本部長である部署のに売り上げが未達なことを、誰に対して叱咤激励しているのか意味不明だった。
みんなが「すごいブーメラン...」と感じていないか少し心が痛んだ。
最近いろんなところで、彼のいろんな噂を聞くようになった。
とにかく二人で話合いになると、その場にいない第三者の陰口を切り出すらしいのだ。
A君がこう言っている。でも口だけだ。数年待ったが効果がない。きみはどう思う。
A君とは私が直属する本部長だ。
「そういう話なら、Aさんと面談すべきでは?Aさんのプランについて、現場としての私の意見を求めるなら3人でミーティングしたほうがコストが低いですよ」
呼びましょうと席を立とうとすると
「いや。自分のほうで調整しますよ。」ありがとうございました、と急に話が終わった。
あまりコロコロ変わられても対面的によろしくないが、こちらとしては傷が修復可能なうちにさっさと変わってほしい。
バレる暗躍とかする社長は、ものすごくかっこ悪いので一緒に仕事をしたくない。
マウントとか無理にとろうとする姿も見てて辛い。