freeeがマネーフォワードを訴えた事で、その特許自体を批判するコメントが多く見られる。
これは、ニュース記事などでも「文字列を元に自動仕分けする技術なんて世の中的にはもう何十年も前から存在するでしょ…」
といったように発明でもなんでもないとする論調が多い為だと思う。
http://cards.hateblo.jp/entry/freee-moneyfoward-saiban/
しかし、本当にこれが当たり前の技術なのか、特許審査官は当たり前の事に簡単に特許を認めるのか。
そもそも、「文字列を元に自動仕訳する特許」という広範囲に権利が及ぶ基本特許が取れたというのは正しい認識なのか。
http://astamuse.com/ja/granted/JP/No/5503795
請求項1
クラウドコンピューティングによる会計処理を行うための会計処理装置であって、ユーザーにクラウドコンピューティングを提供するウェブサーバを備え、前記ウェブサーバは、ウェブ明細データを取引ごとに識別し、各取引を、前記各取引の取引内容の記載に基づいて、前記取引内容の記載に含まれうるキーワードと勘定科目との対応づけを保持する対応テーブルを参照して、特定の勘定科目に自動的に仕訳し、日付、取引内容、金額及び勘定科目を少なくとも含む仕訳データを作成し、作成された前記仕訳データは、ユーザーが前記ウェブサーバにアクセスするコンピュータに送信され、前記コンピュータのウェブブラウザに、仕訳処理画面として表示され、前記仕訳処理画面は、勘定科目を変更するためのメニューを有し、前記対応テーブルを参照した自動仕訳は、前記各取引の取引内容の記載に対して、複数のキーワードが含まれる場合にキーワードの優先ルールを適用し、優先順位の最も高いキーワードにより、前記対応テーブルの参照を行うことを特徴とする会計処理装置。
この請求項を見ればこの特許が権利を主張している範囲がざっくり分かる。
特許の仕組みは、請求項に記載されている事が全て満たされた場合のみ自分の特許範囲だと権利主張できる。
これだけ特許範囲が限定されると、「文字列を元に自動仕訳する」仕組みがあればどんなシステムにでも権利主張できるものではない。
つまり、これはfreeeがコア事業としているクラウド型会計サービスが最大の強みとする「自動仕分け機能」に特化して特許取得したものと言える。
そして、この特許が出願されたのは「2013年10月17日」。
この時点で、クラウド型会計サービスで自動仕分けを行うという事が当たり前の仕組みだったのか、前例があったのかという事になる。
当然、審査官はその出願日を起点として過去に同一または類似の公知文献が無いかを調査している。
まだクラウドで会計処理をするという事が一般化されていない時期に、ベンチャー企業がクラウド型会計サービスで最もメリットとなりえる
「自動仕分」を知財化し、後追いサービスを牽制する戦略を取るのは当然とも言える。
むしろ、もしこの特許が国際出願されており、海外に対しても権利化できるのであれば、今後海外展開した時に海外のクラウド型会計サービスと
クロスライセンスを契約する際のカードにもなると思うので、取れる範囲はどんどん取っておくべきだと思う。
が大きいと思う。
もしこの特許が当たり前だというのであれば、出願日時点より前に公知となっていた文献やサービス・システムを明示し訴える事で
特許を無効化できる手続き手段も用意されている。取得できた特許の権利は絶対ではない。
何十年も前からある当たり前の技術だと言う人は、是非出願日以前に遡ってこの特許範囲と同一または類似する文献を明示してみて欲しい
原文精査お疲れさま。 個人的な考えとしては、あんまサーバー関連の仕組みは興味ないかな。 「現金」「小切手」「買掛金」「売掛金」と言った勘定科目が、借方と貸方にどう仕分けら...
特許に関しての素人意見なんですが私見を。 この件に関して反発が多いのは、自動仕訳機能とクラウドシステムとは直接的には関係がなく、さらに本特許と似たような自動仕訳機能はパ...
コメントありがとうございます。 正直私は、2013年時点でオンプレミスの会計ソフトが既に自動仕分けに対応していたのか、それともクラウド会計が自動仕分けを強みに勢力を延ばして...