2015-02-12

http://anond.hatelabo.jp/20150211201344

http://anond.hatelabo.jp/20150211225021 とは別の編集者です。興味深かったので自分お話も。

編集者って一体何の仕事をする人なのか?」→売れる本を作ることと、制作/出版に関われる各所との調整が仕事です。

より具体的に言うと、「企画」「制作進行」の2つのフェーズがあります。企画はその名のとおり、どのような本が売れるかを調べ、内容の方向性やページ数、判型、大まかなページデザイン、大まかな発売時期、価格、部数、仮タイトルなどを決めます。それに合わせて著者やデザイナーを探したり、発注を行ったりもします(もちろん著者が先に決まっていて内容を詰める、というケースもあります)。著者が決まって発注を行う時点で、価格や大体の部数、予想収益などもある程度シミュレーションしておきます

発注完了したら、続いては制作進行に入ります。内容については発注段階で確定させておくのが原則ですが、当然ながら執筆を進めるに従って変わってくることもあるのでその辺りを著者と調整したり、進捗の確認をしたり、といった辺りが原稿を受け取る前の作業になります。並行して、デザイナー相談して細かいデザインや表紙を詰めてもらいます

原稿を受け取ったら、今度はそれをチェックしてデザイナーに送り、DTP作業を行ってもらいますDTPレイアウトが終わった段階で校正に入り、校正専門家にチェックしてもらい、その後チェック済みのものを著者に再チェックしてもらって適宜修正問題なければそのまま印刷所に送られて印刷後取り次ぎに納品されて書店に並ぶ、という流れです。

ちなみに、これらの作業は大体3〜6本くらい並行して回します。1つのタイトルにずっとつきっきり、ということは(少なくとも弊社では)ないです。

元増田発言についてのコメント

・直してくれるのは基本的てにをはのみ。それ以外も時々直してくれるがだいたい見当違いも甚だしい

書籍に挿入する画像著作権等の確認はこちらでする

執筆内容の信憑性裏付けるためにいろいろな人に確認してくれるなんてことはなかった

文章を直すと怒る人もいるので、自分場合修正は最小限にしています日本語として間違っている場合は除く)。内容については基本的に著者を信頼しますが、気になったところは自分調査する/専門家に問い合わせる場合もあります。とはいえ、原則として(監修を付ける場合を除いて)すべての部分を検証する、ということはありません。著作権等の確認も同様です。基本的には、著者が著作権を持たないものは使わない、が原則です。

著者が権利を持たないコンテンツ(主に画像など)を使いたい場合相談していただければ可能な限り編集部で手配します。だいたいのものは(よほど法外なコストがかかるものでなければ)意外と使えたりします。

インタビューなどに行く場合は、私が相手とコンタクトをとり日程を取り決める。出版社からは私と相手ふたりあわせて1000円のみ支給

著者が執筆を行うに当たって必要判断して行う(取材の一環としての)インタビューについては、そのセッティングも著者の仕事、それにかかるコスト原稿料/印税に含まれる、という考え方が多いと思います。もちろん編集部主導でやる場合もありますが、その場合場所代などを編集者が出すケースは多いですし、編集部から直接相手に謝礼を出す場合もあります

スケジュール概要は教えてくれるが、タイトルデザインをいつまでに決定すればよいかなどの詳しいスケジュールは教えてくれない

うちの場合は先にタイトルや大まかなデザインを決めてから発注しますが、ここらへんはケースバイケースでしょう。ただ、スケジュールをきっちり決めてもそれ通り動くことはほぼないので、曖昧な形でのスケジュール引きになります

・書き終わってないのに出版日を次の月に勝手に設定されていた。こういうのは書き終わってから設定するものじゃないのか

締め切りを設定しないと作業を進めてくれない著者もいるので、先に決めてしまうことが多いです。

・了承のないタイトル変更をされた

・表紙のデザインも提案した物とはかけはなれたもので決定された

タイトルデザインについては、基本的に著者には権限ほとんどないと思ってください(もちろん相談しますが)。かといって担当編集者独断的に決められるわけでもありません。営業担当者編集者上司やそのほか謎の要因などに影響されることが多々あります

そのほか編集者という仕事に関するツッコミ

記事への反応 -
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    • http://anond.hatelabo.jp/20150211225021 とは別の編集者です。興味深かったので自分のお話も。 「編集者って一体何の仕事をする人なのか?」→売れる本を作ることと、制作/出版に関われる各所...

    • 編集者の話なのか出版社の話なのか

    • 元編集者です。専門書の出版社にいました。出版業界はジャンルや規模によって全然状況が違うから、あくまで自分のケースということで。 ・一番の仕事は企画を立てること、その先...

      • ありがとうございます。他の編集者さんたちがどういうことしていたかなどが具体的に分かり、大変参考になりました。 編集者も関わる人が多いし仕事がどこまでか明確でないしで大変...

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      • これ http://anond.hatelabo.jp/20150211225021 を書いた増田だけど、編集者諸氏からきちんとした説明が続々出てきて恥ずかしい。 しかし、不十分な内容でも真っ先に書いたことで売れる(大量の...

    • 著者も編集もやる立場から。 まず、この世界は基本決まった仕事の方法ってあんまりない。著者の数だけ仕事の進め方があるし、本の種類によっても全然違う。 で、基本的に読んでると...

    • 実用書、学術書、翻訳書、自費出版、ウェブ、モバイル、電子書籍 あたりの編集経験あるんですけど 「編集者って一体何の仕事をする人なのか?」 について、共通して言えるとすれば ...

    • お疲れ様です。 最近、自分も書き終わって似たようで別の意味で残念な編集者だったので、追記がてらに書いてみます。 >・直してくれるのは基本的にてにをはのみ。それ以外も時々...

      • ・1Pまるごと読者にわかりにくいです。 ・コツの記述が多すぎです。 とか修正の方向が見えにくいコメントばかりで、打ち合わせの場でもあまり的を射てくれなかった。 「なんか違...

    • 編集者って何の仕事をする人なんだ。 http://anond.hatelabo.jp/20150211201344 「編集者」とひと口に言ってもいろいろなタイプがいて、雑誌社で記者をやっている人が編集者を名乗っていること...

    • 重版出来ってマンガ読めばマンガの編集者についてだいたいわかったきになれるお

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