聴く音楽を選ぶときに重要視していることがある。それは曲のストーリー。
歌詞のある曲ならその歌詞がストーリーを形作るし、サントラなら映画なりゲームなりのストーリーがある。
ストーリーの善し悪しがその曲をリピートする回数に繋がることに最近気付き、自分の好きな曲について書かずにはいられなくなったので、増田でオナニーすることにした。結論もなければ考察もない、ただただ好きな曲の好きなストーリーを書き綴るだけの自己満足。これが書けて、しかも不特定多数の人に見てもらえるのが増田のいいところですね。
公園のベンチでうとうとしていたら 母ちゃんに首を絞められる夢を見た 母ちゃんはいつも「いい加減大人になりなさい」と僕に言うけど 安心して下さい 僕はもう彼らの輝きを直視できない ださい大人になれましたよ
今はもう解散してしまった野弧禅という二人組の「少年花火」という曲。野弧禅の曲(のストーリー)の基本プロットは「ろくでもねえ俺だけど頑張ろうと思う、でも頑張れなかったりする。でも頑張るから、、、頑張るから、、、」という感じ。決意表明して、終わり。みたいなダメな野郎の話。「彼ら」とは少年時代の自分たちであったり、暴走族だったりする。「彼ら」のまぶしさを語り、「彼ら」のまぶしさを直視できない自分を語り、
何よりも激しい光で 何よりも激しい爆発音で 何よりも激しいスピードで 何よりも激しく刻み込まれるその一瞬に 少年花火 夏の夜に咲く 少年花火 夏の夜に散る
と続き、曲は終わる。
松本人志が「認められていない才能」として自身の映画に抜擢したのは野弧禅のボーカル。こんな歌詞をかける人間が認められていないのが不思議でもあり、こんな歌詞を書いてしまう人間が認められないのも当たり前か、とも思う。
ここはきっとゴミ箱かな
素人の、あるいは、素人みたいなプロの作った歌詞は一様に陳腐で、よく使われる言葉を並べ替えているものばかりのように思う。母親に感謝しまくりのジャパニーズラップや何かを探しすぎなジャパニーズポップス(洋楽は知らないのでジャパニーズと限定しておく)などが素人みたいなプロの歌詞の代表例。ニコ動であげられている楽曲のほとんどはこれと似た水準で、はいはいよかったね、としか思えないことが多い。よく「歌詞に号泣した」とかの評判のボカロ曲を聴くが、泣いたことはなかった。この泣き虫な俺でも、一度も泣いたことはなかった。
初音ミクの消失も同様で、相当ハードルがあがった状態で聞くことになった。そしていつもの通り陳腐な歌詞が続く。早口で歌わせるのは結構面白いなと思いつつ、まぁいつもの誰でも書ける歌詞だな、と思っていた。
謝らなければなりません。ここはきっとゴミ箱かなという歌詞が、この曲を陳腐でありふれた曲とは明らかに別次元に連れて行っている。不幸にも(?)人格を持ったデータが捨てられていく悲哀をこれほどうまく表現できるのは、作詞者に無二の才能がある証拠だと思う。
僕は夢を描いて 破り捨てては描いて
スガシカオが好きなんだ、というと「歌詞がいいよね」と言われる。もうこれはテンプレみたいにそう言われる。多くの人は「夜空の向こう」を頭に浮かべて、そう言うのだと思う。確かに夜空の向こうは素晴らしい歌詞(ストーリー)を持った名曲だと思う。ただ、スガシカオの紡ぐ優れたストーリーはそれだけではない。彼の楽曲の多くにおいて、優れたストーリーが存在している。
聞いていい? 僕は今 うまくやれていますか?
スガシカオの曲は野弧禅の曲と似たストーリーではあるが、もう少し前向き。後悔もなければ、決意表明もない、ただただ自分が頑張る理由を見つけた、と。夢を描き、それに向かって走っている最中は常に不安と共にある。夢破れても、それでも頑張る理由がある。だから頑張る。そんな曲。
古くからの彼女のファンには残念な現状はさておき、鬼束ちひろも心に残る歌詞を書くことで(僕の中では)定評がある。中でも、わたしとワルツを、は絶対に彼女以外にでは紡げないストーリーではないかと思うくらい、暗く、悲しく、優しい歌だ。
誰にも傷がつかないようにと 一人でなんて踊らないで どうか私とワルツを・・・
この(おそらく)男性は優しいのではないのは明らかだ。少なくとも僕の中で映像化されている「あなた」は優しくない。人に迷惑をかけてしまうかもしれない、という思考から抜け出せない、自信がなく、臆病なだけの男。「わたし」は「あなた」の臆病なところをわかっていて、その弱さに気を遣いつつ、二人でワルツを踊ろうと提案する女性。「わたし」が「あなた」のことを異性として好きなのかどうかはわからないが、好意の有無にかかわらず、「あなた」の弱さに気を遣いつつ、「あなた」の希望を叶えてあげようとする「わたし」の優しさに感動する曲が、「わたしとワルツを」なんだと思う。
書けないよね、この歌詞。
スピッツの歌詞と言えば抽象的なモノが多く、聞き手が勝手なストーリーをこさえる余地を残してくれている。それは嬉しいことでもあり、悲しいことでもある。
この「夏の魔物」が何なのかは諸説あるが、「子供を養うことができない未成年の男女が子供を作ってしまい、中絶しようかとも思ったが、結局生むことにした。でも、流産してしまった」というストーリーにおける「流産してしまった子供」説が最有力。僕もこの説を支持していて、そんなストーリーを想いながら聞くと、泣けてしまう。
会いたかった、が3連呼されている曲は他にもあるが、その奥にある感情の起伏や辛すぎる現実を想起させるこの歌詞は、間違いなく心に残る。
他にも優れた歌詞(ストーリー)をもつ曲はたくさんある。だが今まで聞いてきた曲の数を考えると、やはり希少であることは間違いない。とりあえず、満足したので投稿する。こんな糞文章を読んでくれてありがとうございました。