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2020-02-09

テスラの遠隔書き換え事件解説する

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/japanese.engadget.com/jp-2020-02-08-ota.html

ブコメでも「販売店がインフォテインメントを初期化し忘れたのかな?」なんて牧歌的コメントが見られるので解説しておく。もっと邪悪なことが行われている。

三行で

テスラネット接続のナビにログインしないと使えない。

ナビの機能で車の動作や性能を遠隔で動作、追加、削除、ロックできる。

それを利用して中古車市場価値を落とす行為が行われた。

構造はどうなっているのか

ドライバーが車に近寄って、カードキーリモコンキーで車を開錠する(機械的な鍵穴は一切無い)と、普通の車なら車のセキュリティ装置キー相互認証して終わりだが、テスラ場合は、そこから車がマイテスラアカウントログインする。全てのテスラ車はマイテスラアカウントに紐づけられていて、必ずSIMカード入りのLTE無線が搭載されていて、ちょうどMDMプロビジョニングされた携帯のようにテスラによって集中管理されている。販売店は全て直営で、中古車譲渡する際は必ずテスラへの申請とマイテスラアカウントの紐付け変更が必要になる。これを行わないといつまでも前の持ち主が所有していることになる。そして、テスラは全ての車の構成ファイルサーバー上に持っていて、自動運転や加速性能の購入その他アップデートがあると、車がログインした際に変更通知を受け取り、必要ファイルダウンロードしたりリミッター設定を変えたりする。

現在では一般自動車でもSIMカード入りの無線機能が搭載されていることが多いが、利用者と紐付けたり車の他の機能連携させるようなことは常識的にはやらない。

これら全ての仕組みはセンターコンソールの巨大なナビ(前期型ではTegra 3、現行はIntel Atom)で実行される海賊版Ubuntu Linux管理されている。

何が起こったのか

カリフォルニア州の欠陥車返品制度(保証間内保証修理が繰り返されると、法律上の欠陥車として強制返品できる)で返品された車がテスラから再販売され、それを中古車販売店が購入し再販売した。

その後、いつの間にか構成が変更され、テスラが「搭載済み」として販売した以下の三点が遠隔で「削除」された。後の二つは対外的に「物理的に機械装置が異なる」と説明されてきたもので、前例がない。

・「完全自動運転機能(レベル2の車線維持・自動車線変更機能)

パフォーマンスアップグレード(通常型と仕様の異なる大型モーター)

ルーディクラスアップグレード(通常型と仕様の異なる配線変更、リミッターソフト解除)

なぜ?

おそらく、テスラは旧型のモデルS、モデルXの売り上げを新型のモデル3に食われている。モデル3は表向きモデルSの下位互換とされているが、ソフト的なリミッターを全て外すと0-100km/h加速が2秒デッドという噂も立っているほどで、パネルの浮き、シワも少なく、特に中国生産分は日本車韓国車と比較できるほど仕上がりがよいと言われ、全体にテスラの中で最も出来が良い。でありながら戦略的価格設定のため旧型に比べ最大4倍安く、マージン存在しない。このような状況で、表向きは上位互換である必要があるモデルSやモデルXのパフォーマンスモデル中古車が出回ることは避けたかったのだと思われる。問題の車体は自動運転のためのカメラコンピュータ類が古く、テスラは最新型への無償交換を既に度々確約している。テスラ最近自動運転ソフトの全面刷新に何度目かの再挑戦を進めているので、その過程で「安く手に入れたパフォーマンスモデル自動運転も改良してもらった」という評判が立つことを避けたいと思わせる知見があった可能性もある。

販売店はどうすればいい? 何を初期化すればいい?

上に書いたように、テスラの性能や構成は車台番号で決まり、マイテスラアカウントと紐付いていて、テスラ社の判断サーバーから勝手に書き換えることができる。

嫌ならポルシェタイカンアウディEトロン日産リーフなど他にもっと新しい電気自動車がある。そっちを買え。

2019-02-06

テスラアーキテクチャ

テスラの車は、トヨタメルセデスの古いプラットフォームから派生した純電気自動車だ。まあ、旧型カムリだ。各ECUインパネ(IC)間がCANバスで結ばれ、ゲートウェイを通して車内インフォテインメント(カーナビ)が接続できる。そして、ゲートウェイにはセンターコンソール(MCU)、自動運転モジュール(APE)が接続されている。まあマツコネみたいなものだ。ただし、通常のカーナビと違い、このMCUTegra 3(旧世代)または超高速なIntel Atomプロセッサ(現行)が採用されている(マジ)。そして、海賊版Ubuntu GNU/Linuxを実行している(マジ)。そしてLTE回線に直結し、テスラ本社サーバ(mothership.tesla.com)にOpenVPN接続している。

機能

LTE接続

古いモデル3G、新しいモデルLTEモジュールを標準搭載している。明示的に特別注文しない限り無効化や取り外しは行われない。本社Mothershipは各車の動作状況を監視操作するほか、オートパイロット起動通知を受け取り、またssh接続のためのパスワードを保持する。これによりファームウェアrootが取られた場合オーナーを蹴り出したり、あるいは事故発生時に「オートパイロットは(直前でエラーを吐いて運転をぶん投げたため)使用されておりませんでした」と発表するなどいち早くメディア対策を行うことができる。

アップデート

更新パッケージは前述のOpenVPN経由でダウンロードされ、その中にAPEファームウェアのほかにもドアハンドルブレーキインバータECUなどのファームウェアが含まれていれば、MCU更新処理を行う。これまでに配信されたアップデートには、Linux Kernelを含むMCUOS更新インバータ出力アップ(設計の三倍程度)、緊急制動距離の延長と短縮、自動緊急ブレーキの追加、自動運転の警告間隔延長・短縮(事故報道の頻度に応じて調整)、自動運転機能のものの搭載や根本的な入れ替えなどがある。現在仕様ではファームウェアバージョン表記はYYYY.WW.x.y.zで、GitコミットIDが末尾に付き、平均して月2回程度のローリングリリースが行われる。つまりリポジトリのheadがざっと社内検証を通るとLTEで降ってくる。非常にまれなケースでは社長(@elonmusk)の「やりましょう」ツイートから時間バージョンが上がる。

駆動

電気自動車なので、エンジンは搭載しない。代わりに車体下面にリチウムイオン電池パック(ノミナル電圧480Vまたは400V)を搭載する。パックは火薬ヒューズを含む高電圧コンタクタ(リレー)を介してモータおよびインバータ接続され、インバータモータ進角を監視しながらスロットル指示に合わせて三相交流電源を供給する。この辺りはCPUファンと変わりない。

https://anond.hatelabo.jp/20190206135710

 
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