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2015-02-22

ポスト東方」の時代 ~艦これ東方に取って代わった理由

長年にわたって二次創作活動同人活動を牽引してきた「東方ジャンルが、ここ1~2年という短期間に信じられないほどの壊滅的な衰退を迎えている。

それに代わるように破竹の勢いで急成長しているジャンルが「艦これ」だ。

今や男性向けの同人活動に携わる者で知らぬものはいないほどの一大ジャンルとなった艦これ

なぜ艦これ東方をかつての地位から引き摺り下ろし、自ら「ポスト東方」の地位に君臨することができたのだろうか。

斜陽著しい東方

Twitterなどを利用して常に最新のトレンドを肌で感じている人には今更説明するまでもないと思うが、かつて東方二次創作が強かった各所コミュニティの現状を簡単に説明したい。

より詳しい情報は、先行する綾瀬なずな氏やありらいおん氏他の実測データ考察を参照してほしい。


pixivの「東方タグ閲覧数は艦これが登場するまでは毎日平均約300万閲覧あったが、2013年10月頃を境に減少に転じ、1年半経過した現在はその半分程度の約150万閲覧まで落ち込んでいる。

イラスト投稿ベースでの落ち込みは更に顕著で、すでに2013年9月を境に投稿数が半減し、一度わずかに復調したものの下落傾向は続く一方である

それでも昨年下半期までは東方投稿ペースは艦これのそれよりも多かったがそれも年明けを境に完全に逆転し、今では一週間当たり約1000件ほど東方艦これを下回っている状態だ。


かつて東方の人気爆発に一役買ったニコ動でもこの傾向は変わらない。

ニコニコにおける東方の衰退は実はもっと早くから始まっており、2010年をピークに投稿数は減少の一途をたどっている。

そこへ「艦これショック」が襲来したことにより東方は壊滅的な打撃を受け、2013年には月に5000件あった投稿数がおよそ2000~3000まで減少するという事態となった。

閲覧数でもこの傾向には変わりなく、直近のMMD杯では東方投稿作品数は艦これの2倍以上あるにも関わらず、再生数を稼いでいるのは艦これ作品ばかりという惨状だ。


同人誌即売会でもやはり衰退の影響は色濃く表れている。

東方同人誌即売会象徴イベントだった例大祭は、艦これの登場を機に参加サークル数が5000→4300→3800と約2割ずつ減少しており、東方集客力が顕著に低下していることが分かる。

コミケもっと悲惨で、かつて2700スペースあった東方も今ではわずかに1800に満たない規模まで減少し最早破滅したも同然だ。

その他、東方を支えた地方オンリー即売会も前同割れや定員割れ、中止などが相次ぎ、かつての繁栄象徴は今や衰退の象徴へと成り下がってしまった。


その他、創作とはあまり縁がないが、2ちゃんねるふたばちゃんねるなどの匿名掲示板でも、東方話題は驚くほど少ない。

東方匿名掲示板の中心であったしたらばも閉鎖となった。

東方を支えたかつてのコミュニティはまさに総崩れという有様だ。

快進撃の艦これ

一方で、東方の衰退に反比例するかのように爆発的に伸びているのが艦これだ。


pixivでは今や投稿数・閲覧数ともに常に東方を上回る状態で、今もまさに増え続けている。

参考までに、ここ1ヶ月の東方艦これ作品投稿数を下に示すと、

  ・1/25週 東方:3291 艦これ:4241(東方艦これ=-950)

  ・2/1週 東方:3579 艦これ:4091(-512)

  ・2/8週 東方:3324 艦これ:4138(-814)

  ・2/15週 東方:3941 艦これ:5214(-1273)

とその差をどんどん広げつつあることが分かる。


ニコ動も同じで、今や艦これ作品は常に総合ランキングの上位に数作品ランクインしている常連となっている。

先ほど述べた直近のMMD杯についても、艦これでは10再生を越える作品10あるのに対し、東方わずか6作品に留まっている。(2/21 20時時点)


同人誌即売会も極めて好調だ。

コミケでは、初登場依頼参加サークル数が1200→2300→2500と爆発的な成長を遂げており、去年の夏にはついに東方サークル数を越えてしまった。

オンリー即売会も数多く開催され、週に一度は全国のどこかで即売会が開催されているという盛況ぶりだ。

直近の東京蒲田で行われた即売会では一般参加者が道路にまで溢れ出るほど参加し、警察が出動するほどの混乱を見せた。


その他、TwitterではNHKつぶやきビッグデータ艦これ話題が何度も登場して取り上げられるなどしており、匿名掲示板ブログでの話題性も非常に大きくなっている。

東方の衰退を尻目に、艦これは今まさに流行最先端を行くジャンルなのだ

なぜ艦これ東方に取って代わることができたのか

このように「ポスト東方」の名を縦にしている艦これだが、なぜ艦これ二次創作東方を蹴落としてここまで発展したのだろうか。


まず真っ先に挙げられるのは、艦これという作品の魅力だ。

艦これブラウザゲームではあるが、総勢100名を越えるキャラがそれぞれに個性を持つという丁寧な作りになっている。

キャラを量産するだけで個性に重きを置かなかった某アイドル育成ゲーム二次創作イマイチ流行らないのが、個性重要である何よりの証左だ。

またキャラごとにボイスがついていることで、キャラへの個性がより把握しやすくなり親近感が湧きやすくなっていることも創作意欲を掻き立てることに一役買っている。

アニメで更にキャラ個性がはっきりしたことから、今後も創作はよりやりやすくなっていくだろう。


二つ目艦これを取り巻く自由さだ。

他の作品とは異なり、運営が明確に「同人活動を許可する」宣言していることで、グレーゾーンというもの存在しない。

「黙認」の影にびくびくと怯えながら創作を行う必要はなく、気楽に好き勝手創作できるのである

また、分かりにくい上にほとんど意味のないような薄っぺらい設定で雁字搦めになっている東方と違って、艦これには大きな枠組みこそあれどストーリーになるような設定はほとんど設けられていない。(一部の東方ファンはこれを「単に設定がないだけ」と罵っているが実に残念だ)

東方にあるような設定の解釈を巡る面倒な争いから解放されて、二次創作者は東方よりもより自由創作を行うことができるのである

加えて艦これには他の作品に顕著な閉鎖性や排他性がなくしがらみが全くない。

よく「東方艦これは似ている」という論調を聞くが、これは誤りで(金剛の服装が霊夢の丸パクリだとかそういう細かい点は除くにしても)東方とは完全に逆方向の作品なのだ


そして、東方がすでに賞味期限を迎えていたということも無視できない。

これは東方の衰退とは反比例して艦これが伸びているという点を見れば分かりやすい。

数年前までは東方に飽きていても二次創作者たちには移動先がなかったことを考えれば、艦これという選択肢が示された途端に移動したのも頷ける。

東方から艦これに移動したサークルは少ないというデータもあるが、これは完全に誤りで実際には東方もまだ気休め程度に触りつつ艦これをメインに活動しているサークルが多いだけである

尚、独自の計測では東方サークルの実に9割以上が艦これとの二足のわらじであった。

東方艦これのこれから

これから東方艦これはどのような運命を辿るだろうか。


大方の予想と一致すると思われるが、東方がこのまま衰退に向かって近い将来に完全消滅するのは間違いない。

東方wikiが毎年実施しているアンケートの結果によれば、10代及び20代前半の東方ファンはほとんどおらず、既存のファンがそのまま歳を食っているだけであることが分かる。

PSVita東方同人ゲームが販売されるという予定はあるが、いずれにせよ話題性に欠け、東方の衰退を引き留めるだけの影響力は全くない。

活発なファンは艦これに移り、新規のファンはおらず、老人だけが残るジャンル未来がないのは歴史証明している。

減少ペースを見るに、早ければあと1~2年で東方ネット上で話題になることすらなくなるだろう。

最早立て直しは不可能であり、平たく言えばオワコンということである


一方で艦これ未来は明るい。

元々の人気が高かったところにアニメ化というキャッチー戦略が功を奏し、ファンは増え続ける一方である

当然、二次創作に流れる層も増えてくる。

おそらくアニメ2期、劇場版も予定されているだろうし、あと数年は話題に事欠かないだろう。

かつて艦これオンリー即売会は振るわないと言われ続けてきたが、その中でじっと耐えてきた艦これサークルの忍耐がついに勝利したのだ。

今なお東方にしがみついているようでは、やがて二次創作というジャンルそれ自身東方に蝕まれしまうだろう。

艦これの今後の発展がますます楽しみだ。

 
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