2023-08-05

好きな女の子が困っている

50代のオッサンから見る20代後半の女の子の話だから、そこに食指がわかない奴らはすまないが帰ってくれ。

オッサンは1年ほど前、ある可愛い女の子出会った。

その店は居酒屋バーの半々くらいのところで、カラオケもあって、遅くまで営業しているので、主にカウンターに座るオジサン常連客と、テーブル席に座る次に来るのがいつになるのやらという若い新規客が入り乱れている。もちろんオッサン常連である

その女の子カウンターに座っていて、おやと思った。

そして予約やら先に来ていた客やらであれよあれよという間にオッサンはその女の子の隣に座ることになったのである

の子オッサン会釈をしたあと会話の糸口を見つけられずなんとなく携帯をいじっていると、店主の女の子(32)が、「増田さん!その子ノニちゃん(仮称)って言って、最近よく来てくれるようになったの!ノニちゃん、この人は増田さん。いい人だから乾杯くらいしてみな!」と言うので、オッサンの酒が来たタイミング乾杯をした。

ノニちゃんはどうやらウイスキーが好きで、1ヶ月に1杯、知らないウイスキーを、ストレートロックハイボールの順番で飲んでみるらしい。

「ここのお店は色んなウイスキーがあるので、種類の数がこのままだったら2年は飲めちゃいそうです」

ノニちゃんはそう言って笑った。ほぼ角ハイボールしか嗜まないオッサンにとっては異文化である

オッサンはその時の笑顔ノニちゃんにズキュンとやられた。

ノニちゃんは大変可愛い女の子だったのである

他の人から賛否両論あるらしい。

メガネをかけていると垢抜けないだとか、デブだとか、目がギョロっとしていて怖いだとか。

出会った時のままでも十分すぎるほど可愛くて、でも「デブ」という言葉に対抗して減量したり、メガネを外してカラコンをしてみたり、それに対して「目が強いよね」と言われて結局またメガネに戻したりする姿は、努力家なことを思わせた。

また、ノニちゃんは歌も上手かった。

お店のカラオケジェネレーションギャップを感じながらも、オッサンのわかる歌として歌ってくれたヘッドライト・テールライトオッサンの心を鷲掴みにした。

歌声についても賛否両論あるらしく、「いつか絶対全員に上手いねって言わせてやる」と息巻いていた。オッサンとしてはノニちゃん歌手デビューして、こんなところでは歌えなくなってしまうのが心配である

そしてオッサンノニちゃんはなんとなく会えば話す仲になり、なんならオッサンノニちゃんにハマり、ノニちゃんシャンパンやらワインやらをご馳走したり、オッサンノニちゃんが隣に座った日はノニちゃん会計オッサン持ちになったりしたのである

ここまでがオッサンノニちゃんの仲良くなるまでの話。

ここからが本題で、最近ノニちゃんおかしい。

連絡はしてくれる。飲みにも行ってくれる。オッサンの大好きな笑顔で喋ってもくれる。

ただ、ノニちゃんは自制が効かなくなっているというか、自暴自棄になっているというか、そういう状態が目立つようになった。

ノニちゃんはどうやら仕事を辞めたらしい。ほんの数週間前まで「ほんとに楽しい天職だと思う!」と嬉しそうに語っていた仕事を辞めたのだから、相当のことがあったのだろう。ただ、懲戒免職会社都合退職ではないと本人から聞いた。

店主の女の子:ダイアさん(仮称)は、最近ノニちゃんが危なっかしくて仕方ないから、オッサンがいる時だけでもちょっと気にかけてくれると嬉しいと言っていた。もちろんオッサンノニちゃんが好きなので普段から気にかけているが、より気にかけて見てみた。

すると飲み放題を頼んでいるとはいえ前より圧倒的にスピードが早く、飲んでいるお酒の量は増えていた。

以前ノニちゃんは「私はゆっくり飲まないと長持ちできないから」と言って、飲み放題で元が取れるちょうどの量を飲んでいた。

それがゆっくりなのか疑問に思う人もいるかもしれないが、ノニちゃんスピードは元々それくらいだ。

長持ちできない飲み方をしているのに長居して、結局限界を感じて吐いてしまう前に帰るということがよくあった。

最近さらに危ない事件が起きたらしい。

この日オッサンは飲みに出かけていないのだが、ノニちゃんは1人で飲みに来たという。

そして面倒なタイプのオジサンに絡まれ、断りきれず次のお店に連れていかれた。

そして次のお店でホテルに行かないか提案され、ダイアさんに助けてLINEを送り、ダイアさんはその場から早く逃げるようにアドバイスを返している。

ノニちゃん友達にも連絡して友達危機を装って逃げようとしたが、せめて出された酒は全部飲んでいけと恫喝されて、飲めばこの場から逃げられると思って飲んで店を出たところまでは覚えているらしい。

ノニちゃんの次の記憶は、路上で座り込んでしまってホストのような人に水を渡されたこと。

そしてその次の記憶警察に声をかけられ、救急車に乗り込んだことだった。

これを話したノニちゃんは深刻な顔をしていた。

少なくとも今までの自分なら、そもそもダイアさんのお店から出ていかないし、変なオジサンに連れていかれた変な店で飲むならグラスがあいてないのにトイレに行かないし、トイレに行ったとしても「ちょっと休憩」とでも言って何か別のソフトドリンクを頼むし、と後悔が止まらない様子だった。

仕事を辞める前のノニちゃんが出来ていたことが、出来なくなっているという。

ダイアさんは心配がっているし、ノニちゃんもこのままでは嫌だと言っている。

この変なオジサンの件を詳しく知っているのは、オッサンと、ダイアさんと、ノニちゃんLINEした友達1人だけらしい。

オッサンノニちゃんに出来ることはなんだろう。

オッサンノニちゃんの楽しそうな顔が好きなので、ノニちゃん笑顔でいられるようにしてあげたいのだが。

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