昔、中学受験をやった
当時の担任に「勉強だけできてもろくな人間にならない」と怒られたのを覚えている
だったら親に言ってくれよと、そればかり願っていた
家にいれば勉強しないといけない
こんなどうしようもないジレンマからも、暴力と監視の日々からも
「第一志望に合格すれば今後はゲームをして良い、学習塾も強制しない」という約束を親と交していた
やった!自由だ!
放課後、自習に使おうと思っていた時間を、身の丈に合わない高レベルな授業に費やされた
サボって連絡でも行くと後が怖い
嫌々通った
自由が遠かった
しかし実際は、努力をして更に自分を苦しめる状況に身を置いただけだった
勉強させるために親が使う文句が「ゲームを壊す」から「学校を退学させる」になった
学校は学校でクソみたいな校則と精神論で溢れた受験少年院だった
手に入れたものがゴミだったのに、ただただプライドからそれに縋った
死にたかった
いとも簡単に約束を破る親の元に生まれた自分から解放されたかった
努力が実を結んでも、それが自分を救う結果にならない星の元に生まれた自分から解放されたかった
好きな物を作らなかった
好きな物は母親にバレると、自分を勉強させるための脅迫材料になる
ならば何も趣味を持たなければよかった
趣味で脅せないなら、次は自分を捨てると言い出すだろうなと思った
それならそれでよかった
死んでやろうと思っていた
どうせ生きていても、生きていたいという気持ちを利用されるだけなら死んだ方が幸福だった
これは死ねると思った
自分が死んだら事故物件になるマンションの、その管理人があまりにいい人だった
その人を困らせる真似はしたくなかった
他にいい場所もなかった
自堕落に生きた
派手さも名誉もないが、自分のやりたかったゲームに埋もれた幸せな日々を送れた
こうやって一生、努力を避けて生きていくんだろうなあと思った
毎日好きなゲームをして、最低単位で卒業して、目先の幸せだけ齧って生きていく生活だった
これからもきっと、子供時代の幸せの追求と最低限度の努力だけで生きていくんだろう
それから涙が出た
どりょくしてねえじゃん
たしかにな もっかい努力するかぁ