2019-10-08

誤解・混同される西成新世界天王寺界隈

ヒプノシスマイクが通天閣とコラボするのに対して「現場の治安はガチでヤバいから気をつけろ」って話 - Togetter

とあるオタクイベント通天閣で開催するということで、現地での注意喚起を促すツイートが注目を集めていた。通天閣へのアクセスルートなど有益情報も含まれる反面、内容としては西成区あいりん地区インパクトが大きいため、あまり知らない人が読めば誤解を招きかねない。ツイートを読んだ人の中には10年以上前の印象で新世界天王寺公園周辺の治安を捉えている人もいるのではないかと思われる。

そこで、半径1kmもない狭い範囲内に収まっているために日頃から誤解・混同されることが多い西成新世界天王寺界隈を、属する行政区ごとに簡単説明したい。ややこしいだろうが、GoogleマップYahoo!地図で構わないので地図を参照しながら区の位置関係を把握して読んでもらいたい。

区の位置関係

大阪市立大学の附属病院阪神高速阿倍野入口天王寺出口の辺りを原点とした平面座標をイメージすると分かりやすい。

第一象限(北東)…天王寺区。大阪市立美術館天王寺動物園を擁する天王寺公園所在

・第二象限(北西)…浪速区通天閣位置する。一般新世界と呼ばれている場所

・第三象限(南西)…西成区あいりん地区(≒釜ヶ崎)、飛田新地などが含まれる一画。

第四象限(南東)…阿倍野区。あべのハルカスやあべのキューズモール位置する、再開発が著しい地域

天王寺

天王寺公園歴史を紐解けば、ホームレスや「青空カラオケ」といった露天対策が行われていた時期があり、その頃の印象が強く残っている人もいるのではないかと思われる。

しか2019年現在では「てんしば」と呼ばれる再開発エリアを筆頭に、治安のことは気にせずに訪れやすい一画となっている。Togetterでも記されている通り、少し距離はあるもの通天閣を訪れる際は天王寺から天王寺公園を通過してアクセスするのが一番安全であろう。

浪速区

通天閣位置しており、国内外観光客が押し寄せている新世界。ここも一時期は観光客数の減少や治安の悪化などの問題を抱えていたが、近年では改善傾向にある。いわゆる繁華街なので、それに応じた危機感は持つべきではあるが。

JR南海新今宮駅地下鉄動物園前駅から新世界アクセスするルートが近くて分かりやすい反面、歩き方によってはパチンコ店の近くや薄暗く圧迫感のある高架下を通ることになり、治安が気になる人もいるかもしれない。

阪堺地下鉄恵美須町駅から新世界アクセスするルートも同様に近いので、そちらから歩く方が良いかもしれない。Togetterではこのルート注意喚起されていたが、駅を降りると通天閣が視界に飛び込んでくるので、回り道や寄り道をしなければ大きな問題はない。

西成区

あいりん地区(≒釜ヶ崎)、飛田新地など、初見では近寄りがたい印象が強いことは否めない。しかし、新開筋商店街飛田本通商店街といった地域に根差して親しまれている商店街存在も忘れてはならない。

あいりん地区に関しては、一時期よりは減少したもの路上公園生活している人もいるため、安宿での宿泊といった明確な目的がある場合を除いて不必要に立ち入らない方が賢明であろう。また、南海萩ノ茶屋駅阪堺今池駅あいりん地区に隣接しているので、慣れないうちは利用を控えた方が良いかもしれない。

飛田新地では、高級料亭写真をみだりに撮影するなどの無作法行為は慎んだ方が良い。

他の地区と比べると注意する点は多い。特に、怖いもの見たさで観光するのは止めた方が良い。ただし、日中であれば過度に怖がる必要はない。物理的にも精神的にも適切な距離間隔で観光することが肝要である

阿倍野

再開発によってこの数十年で大きく変貌した地域あべのハルカスやあべのキューズモールといった商業施設が集積しており、ショッピング観光に適している。

キューズモールの裏手、阿倍野区の西端には大阪市立大学の附属病院や林立したマンション群が閑静な住環境形成している。さらに西に進むと、南北に伸びた上町断層に突き当たる。断層崖の下には歴史を感じさせる飛田新地料亭が広がっている。断層によって地形の高低が生まれ、それによって行政区が分けられ、街の雰囲気も変化する好例である

むすびに代えて

何かと混同されることの多い場所ではあるが、実際に歩いてみることで内実の違い、多様さを体感してみてほしい。これまで抱いていた誤解も解けるのではないかと思う。

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