2017-11-13

うつヌケがお下劣サイテーパロディ漫画より危険理由

話題の「うつヌケ」はお下劣サイテーパロディ漫画より危険だ。

理由はこれを読んだ患者治療拒否する可能性が高いからだ。


うつになった原因は「自分キライになったこと」

うつを克服できたきっかけは「自分を好きになったこと」

科学的根拠が全く見えない言葉とともに、通院や投薬の無意味さを主張する。これがこの漫画の正体といっても過言ではない。

から見ればあの近藤誠医師書籍と同じである


第2話において、うつ病治療を始めたが効果が見えず、薬が増えていくことに恐怖を覚えたこと、そしてドクターショッピングに至ったことが描かれている。

精神医療失望し始めたころに「薬では『うつ』は治らない。なぜなら…」という本に出会い、そこからアファメーション」に傾倒する。


まず「アファメーション」が何なのかをググってみるといい。大半の人が目を覚ますだろう。

このアファメーションは一部で有名な苫米地英人日本に持ち込んだものである詐欺的な自己啓発集団商品化しているケースがあまりにも多い。

ドクターショッピング対象自己啓発ショッピングに切り替わっただけと考えてほぼ間違いないだろう。同じ罠にはまる精神疾患患者はそう珍しくないかである

田中圭一はもちろん医療専門家ではない。それゆえに精神病理について全く無頓着である

脳の器質的な疾患であるとか、そういったことを無視してメンタルヘルスを語っている。

その結果


うつになった原因は「自分キライになったこと」

うつを克服できたきっかけは「自分を好きになったこと」


という非科学的なセリフが登場するのである。いうまでもなく、これらはうつ病の発生原因や回復要因としてまったく因果関係が判明していない。

メンタルヘルス回復の補助としてある程度役に立つかもしれないが、あくま治療のメインは投薬治療である

ストレスで胃に空いた穴は、ストレスを解消するだけではふさがらない。精神疾患もそれと同じだ。


まりこの漫画一見精神病患者の心に寄り添うように見えて、言っていることはマイルド根性論なのだ

うつなんて甘えだ。気合で治せ」というのと

自分キライになったかうつになった。自分を好きになればうつは治る」

というのは、理屈としてはほぼ同じである

うつ病というのは自分の気の持ちようで治る病気なんだ、という、多くの精神科医師が解きたくてたまらない誤解をますます深めているのだ。


うつ病患者をはじめとした精神病患者は、長患いの結果、病院医師に対する信頼を完全に失っている。

そんな折に「薬ではうつは治らない」「アファメーションで治る」と書かれた本を手にしたらどうなるだろうか。

すべてに絶望した末期がん患者が「抗がん剤ではがんは治らない」「手術も抗がん剤も無しでがんは治る」と書かれた本を手にした時と同じことになるのではないだろうか。


最後に。著者も含め、世の中の精神病患者はあまりにも「薬を飲み続ける」ということをネガティブにとらえすぎていないだろうか?

「一生薬漬けの体になってしまった」と嘆く人がいるが、よく考えてほしい。

健康人間でも食べ物を食べ、水を飲み、空気を吸わなければあっという間に干からびて死ぬ

薬がないと生きられない人間と、健康人間には大して差は無い。


まれから生薬を飲まなければいけない人。自分自分注射を打たなければいけない人。

自分意志では歩くことができず、たくさんのチューブにつながれた人…

「生きている人間」のうち、彼らが占める割合はあまりにも大きい。

だが彼らは果たしてみじめなのだろうか。

「一生薬漬けの体になった」と人目もはばからず嘆き、薬を飲まない人生こそを至上とする精神病患者は、彼らの生き方否定している可能性に気付かないのだろうか?


治療のゴールは薬を飲まないことではない。治ったといわれたいために治療放棄するのは絶対に間違っている。

第三者に害を与えかねない病気からこそ、スタンダード治療重要性を常に心に留めてほしい。

  • いつもはそういうのあざ笑ってるはてな民が絶賛してるのにはウケる。 しょせんはてな民もネトウヨと同じ人間、自分の好きな情報は疑うことはしないし嫌いな情報にだけ慎重に調べた...

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