「広告代理店と直接やりとりしたことはない」
「知り合いや周囲に広告代理店で働いている人がいない」
だから、今報道されている自殺に関する話題は無関係だと考えていたり、「かわいそうだよな」とだけ思っている人に伝えたいこと。
今年の9月末に過労認定がなされ、10月に報道がなされて以降、このニュースはずっと気になっていた。
私が考える今回の大きな問題は以下の二点。
①過労はもちろんだが何故パワハラがもっと厳しく追及されないのか
労使協定で定めた上限の70時間を大幅に超える残業がなされていたのは、体力的・精神的な疲労を増大させていくのは間違いない。
この報道がなされたとき、多くの「私だって100時間は残業している」という声が出ている。
ではなぜ多くの人が仕事を続けられているのか。
これは「職場環境」が大きいと考えられる。
「無茶ぶり来たクライアントマジ死ね」と思うようなオーダーや無茶ブリが来ても、一緒に「マジ死ね」と思えるような仲間がいて、なんだかんだ一緒に最後までやれるのか。
お給料は問題解決をしていただくお金である、ということはある意味納得だが
この前提には、一緒に働く仲間との意思統一がどうしても必要であり(なくてもできるがマジしんどい)
今回の職場のように「目が充血したまま出勤するな」とか「女子力がない」とか業務の内容に関係のないことをこんなに言われているようじゃ、いつか気持ちの線は切れる。
なぜこの上司はいまだに書類送検なのか。これからもっと厳しく罪を問われる機会はあるのか。
責任を感じているのか。自分の言葉が周りを傷つけた自覚はあるのか。気づいていなかったらマジで引く。
②世の中の大半の人は、この広告の仕組みの川上で問題を流し続ける人か、川べりでそれを眺めている人である
今回の一連の報道では、さすがに業界も少しはざわついた。が、仕事は減らないのでそのままやるしかない人が大半。
なぜ減らないのか。
誰が頼んでくるのか。
日本の大きな企業で広告を出さなかったり広報活動をしていないところはわずかで、
活動をしている限りは広告代理店や制作会社と何らかの付き合いあがる。
「私はない」と思っていても、御社内ではどうだろうか。本当に広告や制作物を一切つくらない会社なんてほとんどない。
TV、新聞、雑誌、WEB、街の中、駅、タクシーのステッカー、駅の改札のタッチする部分だって
それを作る人は、びっくりするくらい苦労している。文字のフォントや大きさや全体的な見栄えやらなんやら。
これを注文した企業から「これはいやだ」「こんな感じ」「もうちょっとこうしてほしい」「っていうか今日中」みたいな無茶ぶりが止まらなくて、
「マジ死ね」みたいな状況になる。
もう一度書く。広告および制作物に関係ない暮らしを送れる人なんていない。
社会人二、三年目は15時間労働、4時間通勤、3時間睡眠、それ以外で食事とお風呂。
自宅のベットにたどり着いたとき、訳もなく涙が流れて、自分でも困ったことは一度や二度ではない。
彼女のTwitterのつぶやきは、私が当時つぶやいていたこととほとんど一緒だった。
「あぁ、あのつぶやきも追い詰められた証拠になるんだ」と思った。
彼女と、彼女と同じように傷ついて自分の命を絶ってしまった方のご冥福をお祈りします。