2011-03-28

食品の安心安全デマが怖すぎる

食品から放射性物質が検出されたニュースと「水洗い」の安心デマ

ホウレンソウ 水洗い、煮れば汚染低減:茨城新聞ニュース

日立市の露地ホウレンソウから基準の27倍の放射性ヨウ素同5万4100ベクレルが検出された

(略)

放射線医学総合研究所は「今回の放射能濃度はいずれも通常に摂取しても健康に影響のないレベル野菜から検出される放射性物質は表面に付いただけで、洗う、煮るなどで汚染の低減が期待できる」と説明した

こういう記事を見ると、まるで、ほうれん草ヨウ素131の54100Bq/kgという値が水洗いで落ちるかのように錯覚する。このところ出ずっぱりな池上彰番組でも水で数回すすげば葉物野菜ヨウ素131の値が落ちることをわざわざ実験で説明していたりする。これで安心だ。そう思う人も多いだろう。

しかし実際には検出された値は水洗いした後の検出値。3月18日付けの通知でいきなり変更。

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づく検査における留意事項について http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015ksm.html

野菜等の試料の前処理に際しては、付着している土、埃等に由来する検出を防ぐため、これらを洗浄除去し、検査に供すること。

なお、土、埃等の洗浄除去作業においては、汚染防止の観点から流水で実施するなど十分注意すること。

緊急時における食品の放射能測定マニュアル

3 測定試料の調製

(1) 食品中のI-131、Cs-137 放射能測定のための試料前処理法は、放射能測定法シリーズ24「緊急時におけるガンマ線スペクトロメトリーのための試料前処理法」(平成4 年)*6に準じる。

(略)

*6:試料搬入時の注意点、試料の前処理法(葉菜等については試料相互間の汚染を防止するため水洗いはしない)、試料の保存方法等が記載されている。

放射能測定法シリーズ24「緊急時におけるガンマ線スペクトロメトリーのための試料前処理法」

④前処理を行うにあたり、試料相互間の汚染を防止するため、葉菜類水洗いをしない

原発爆発で放射能拡散が懸念される中、安全の為に厳格に手続きを定め作られたマニュアルがたった一つの通知で骨抜きにされてしまう。おそろしいのは新聞サイトでは全くこのニュースが無い。「水洗いすればいいよ」って安心させる為の情報しか出さない。怖い。未確認だけど、タマネギ皮剥いて検査していいって話もある。

食品衛生法の既定の「放射能暫定限度」を無視した「基準がないから暫定基準値が必要だ」という安心デマ

第6条第2号

第6条 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

(略)

2.有毒な、若しくは有害物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。

放射能汚染された食品の取り扱いについて http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html

食品衛生法の観点から、当分の間、別添の原子力安全委員会により示された指標値を暫定規制値とし、これを上回る食品につ

いては、食品衛生法第6条第2号に当たるものとして食用に供されることがないよう販売その他について十分処置されたい

なお、検査に当たっては、平成14年5月9日付け事務連絡「緊急時における食品放射能測定マニュアルの送付について」を参照し、実施すること。

(略)

放射性ヨウ素 (混合核種の代表核種:131I)

 飲料水 300 Bq/kg 牛乳乳製品 注) 300 Bq/kg

 野菜類 (根菜、芋類を除く。) 2,000 Bq/kg

放射性セシウム

 飲料水 200 Bq/kg 牛乳乳製品 200 Bq/kg

 野菜類 500 Bq/kg 穀類 500 Bq/kg

 肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg

ウラン

 乳幼児食品 20 Bq/kg 飲料水 20 Bq/kg

 牛乳乳製品 20 Bq/kg 野菜類 100 Bq/kg

 穀類 100 Bq/kg 肉・卵・魚・その他 100 Bq/kg

プルトニウム及び超ウラン元素アルファ核種 (238Pu,239Pu, 240Pu, 242Pu, 241Am,242Cm, 243Cm, 244Cm 放射能濃度の 合計)

 乳幼児食品 1 Bq/kg 飲料水 1 Bq/kg

 牛乳乳製品 1 Bq/kg 野菜類 10 Bq/kg

 穀類 10 Bq/kg 肉・卵・魚・その他 10 Bq/kg

これらが設定された経緯はこのように以下のように説明される。

暫定基準値って何? 放射性物質の特性と食品平均摂取量で設定

ただ、今回の厚労省の基準は、食品の安全基準を定めた食品衛生法に、放射能の基準がないために取られた緊急措置。

そっか、今まで無かったけど、今回出来たから安心だ。こう思うかもしれない。だが、少なくとも放射性セシウムについては輸入食品に対して食品衛生法に基づく、放射能暫定限度適用されている。

放射能暫定限度を超える輸入食品の発見について(第34報)

 旧ソビエト連邦チェルノブイリ原子力発電所事故に係る輸入食品中の放射能濃度の暫定限度は、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告、放射性降下物の核種分析結果から、輸入食品中のセシウム134及びセシウム137の放射能濃度を加えた値1kg当たり370Bqとしている。

過去にどんな外国産食品がどれくらいの数値で輸入できなかったかも分かる。

H13.11.8 乾燥ポルチーニヤマドリダケ) イタリア 36.1kg 成田空港 418Bq/kg

しかし、今回飲み物以外の放射性セシウムの基準値は370Bqから500Bqになった。ゆるい基準になってしまっている。「セシウム134及びセシウム137の放射能濃度を加えた」値と単なる「セシウム」という点でもユルくなっている(最大2倍の差?)。当然ながら、ここでも引用される「緊急時における食品放射能測定マニュアルの送付について」は既に「水洗い」通知でユルユルである。なのに、こういうことは何も新聞サイトには書かれない。安全と思わせる為だけの情報が書かれる。

そもそもプルトニウムって東電です検査できてないのに、本当に検査するの?ていうか、体内に入って大丈夫なの?

緊急時の基準なのにもっとも厳しい基準という安心デマ

かいことは分からないが、今回の基準値は「緊急時」の「基準値」らしいしかし、マスコミでは以下の様に説明される。

農作物、規制値超え次々…産地悲鳴「数値厳しすぎる」

この指標は国際放射線防護委員会(ICRP)の最も厳しい基準を基にしている。

放射能拡散しちゃったから、緊急避難的な一時的な基準であるのに、「最も厳しい」とはどういうことなのか?ICRP由来の370からICRP由来の500になって「最も厳しい」とはどういうことなのか?「最も厳しい基準値」とアナウンスすれば安心するかもしれないが、これが緊急避難的なものである説明も、いつまでなら影響無し(どうやら事故後1年限定というものらしいが)という説明も無い。

そもそも今回適用された暫定基準値は平成22年8月原子力安全委員会が定めたもののようだが、以下のような文脈で設けられたもの。

原子力施設等の防災対策について

(3) 飲食物の摂取制限に関する指標

(略)

そして、これらの核種による被ばくを低減するとの観点から実測による放射性物質の濃度として表3のとおり飲食物摂取制限に関する指標を提案する。

なお、この指標は災害対策本部等が飲食物の摂取制限措置を講ずることが適切であるか否かの検討を開始するめやすを示すものである

提案である目安を書いておいたので、検討してくださいね、だ。そのまま決定してしまたから輸入食品の方が安全な基準になってしまっている。プルトニウム食べてもいいよ、になってしまっている。食べ物が入らない被災地はともかくとして、一体全国のどこで餓死しそうな程、食べ物が無い地域があるのか?文字通り腐るほど政府備蓄米があるのに、何故基準緩和してまで危険食品流通させる必要があるのか?

まとめ:水洗いトリック+2種類のセシウムを加算トリック+緊急時を隠したトリック+さらにまだまだ基準値は緩和させますよ?

これだけ怖い基準が決まってしまったのに、新聞テレビはずっと安全安心の厳しい基準を唱えて、更にユルユルにさせるべく「農家がかわいそう」と連呼する

「規制値緩和」を緊急要望 野菜の風評被害で1都7県知事

食品衛生法による暫定基準値は「国際的に見ても非常に厳しい」とし、「食品安全委員会による食品健康影響評価を早急に実施し、この結果を踏まえて(新たな)基準値を定める」

どんだけ下駄を履かせるんだよ!こえーよ!もう何を信じていいのか分からない。笑われてもいいから、安全なものがいい。

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