2022-12-07

勘違い喪女マッチングアプリを始めた話

溜まった気持ちを吐き出しただけの駄文です。

小さい頃から小太りで内気で一重の私と、華奢で活発な二重の姉。どちらが人に好かれやすいかなど、言うまでもなかった。

姉はよく笑う愛嬌のある女性で、高校短大合コンなどで知り合った男と付き合っては別れてを繰り返していた。早く結婚したい、いい人が見つかるといいな、そんなことをよく私にこぼしていた。私自身に小さなコンプレックスはあるものの、姉妹での仲は割と良かったし、明るく人気者な姉は私の自慢だった。

そんな姉が先月、24歳の若さ結婚式を挙げた。お相手は3歳年上の笑顔が素敵なスポーツマンアウトドア派な2人にはお似合いだ。私は一人暮らし中の遠方から結婚式に駆けつけ、心から祝福した。酒豪で声の大きい姉の旦那は私には苦手なタイプだったが、姉が選んだ人なのだから、きっといい人なのだろう。

しかし、問題はその後である

結婚式を終えたあと、親戚の集まりで、皆がこぞって私に言ってきた。「次は妹ちゃんの番ね」「妹ちゃん彼氏はどんな人?」「妹ちゃんも早く良い人に出会えるといいわね」

私には、親戚がこう言っている気がしてならなかった。

結婚しない女は罪人だ…と。

私は友達が少ないぶん、青春勉強に充てた人生を送ってきた。生まれ育った田舎高校卒業とともに出て上京し、現在某国立大学の理系学部の4年生。大学院への進学が内定している22歳である

所属する大学研究室基本的に対人関係が乏しい。一人で作業する環境は、私にとっては居心地が良いのだが、異性との出会いが全くないのが難点とも言える。バイト先はオンライン家庭教師で、コロナ禍でのサークル活動自粛も重なり、本当に誰とも出会いがない。合コンなどもちろん行ったことがない処女である

活発な子どもではなかったぶん、勉強を頑張った。すると大人が褒めてくれた……。それだけを糧に今まで生きてきたが、現実はどうも違うらしい。疎い私に現実が突きつけられた。人生における『良い子』とは、クラスで1位の成績を納める子ではなく、早く結婚子どもを産み、孫の顔を見せる子なのだと。

もちろん、そんなのは断じて違うと信じたい。フェミニストになる気はないが、一人で生きていけるだけの知識と職さえ持てれば、結婚なんてしなくてもいいと思っていた。だが、私の育った田舎の慣習が空気が、結婚式の時に無言で訴えかけてきた。そんな考えは間違っている…と。

さて、私には50歳の叔母がいる。叔母は人生を勉学に捧げた女で、今や大学教授にまで上り詰めた強かな人間だ。ただし、独身

私はそんな叔母の人生も素晴らしいと思っていたし、いくつもの論文に名を残す彼女尊敬していた。しかし、結婚式も親戚の集まりもひと段落し、東京に戻るための新幹線ホームにて。見送りに来てくれた叔母の妹、すなわち私の母がこう言ったのだ。「あなたも誰かいい人を見つけないと、叔母みたいに寂しい人生を送る羽目になるわよ」……と。

からそんな言葉は聞きたくなかった。私がテスト高得点を取るたびに褒めてくれて、受験の時は親身に寄り添って相談に乗ってくれた優しい母。今も仕送り大学生活支援をしてくれているし、時々食糧日用品などを送ってきてくれる。そんな母が、まさかそんなことを言うなんて。

私はぎこちない笑顔で「うん」とだけ答え、足早に母と別れ、新幹線に飛び乗った。東京に向かう車内にて、マスクの下を涙と鼻水でぐしょぐしょに濡らしながら、マッチングアプリインストールした。

真面目に出会いたい人が多数登録、と謳う某マッチングアプリでは、私と同じ状況の男性と見事マッチした。彼も理系大学の4年生で、来年は院に進学するのだそう。つい先日、そんな彼と初めて出会った。プロフィール写真の通り、さほど格好良くは無いものの、真面目で物静かな男性だった。互いに卒研が大変だね、だなんて談笑しつつ、イルミネーションの綺麗なデートスポット散歩するという典型的デートをし、そのままお互いに帰宅した。次に会う約束を彼の方から提案してくれた。

多忙大学の授業と貧乏生活による質素自炊あいまって、気付けば私は高校時代より10キロほど痩せていた。ただ痩せるだけでどんな服もある程度は似合うことが分かり、安物を古着屋で掘り出してコーディネートを楽しむ趣味ができた。都会に揉まれて生きてく中で、一重の目など化粧でどうとでもなることを学んだ。

今では姉にそっくりだと言われるようになった私は、幸いにもマッチングアプリ出会たこ男性に好印象を与えられたのだろうか。しかしこの先、どのような関係が発展するのかなど、喪女の私に分かるわけがない。

いずれ私は結婚するのだろうか、しなければいけないのだろうか、できるのだろうか。

最近はそんなことばかりを考えながら、試験管と睨めっこする日々を送っている。

明るい姉が好きだ。優しい母が好きだ。そして田舎ながら自然豊かな地元が好きだ。昔からその気持ちは変わらないはずなのに、今年の年末年始帰省するのだと思うと、どうも憂鬱になる。話のベクトルがまるで違う姉の旦那への挨拶文を考えるのは、データ解析のプログラミングを書くよりも難解である

年末帰省の際に彼氏が出来たとでも言えば、姉や両親は喜ぶのだろうか。そんなことを考えながら、私は今も件の男性と中身の薄いメッセージをやり取りしている。

  • そういうのはちゃんと一発やった後でその感想とともに投稿しないと…

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