アンチフェミの連中が諸悪の根源だと思うけど、「弱者男性」という概念がモテるモテないの話になっていて、ほんとうにうんざりしている。本来は、「安定した正規雇用の身分を得られなかった場合、女性よりも差別的な視線や扱いを受けることが多い男性」のことを意味しなければならない。例えば弱者男性という概念が指しているのは以下のような現実である。
・同じ「40歳非正規年収150万」で、女性と男性とどっちがいったい「将来大丈夫なの?真面目に人生考えているの?」と親や人から言われる(思われる)確率が高いか。
・同じ「昼間に住宅街を一人で歩いている40歳」「平日昼間に公園を散歩している40歳」の場合、女性と男性でどちらが不審者扱いをされがちか。
・同じ「40歳無職」で、パートやアルバイトで簡単な仕事を得ようとする場合、女性と男性でどちらがより有利で、職場に受け入れられやすいか。非正規男性の多い職種は総じて3K労働であり、非正規の中でも軽度の事務作業的な仕事はほぼ女性が独占している。
・同じ「40歳無職引きこもり」の場合、女性と男性でどちらがより「恥ずかしい」ものとして家族や周囲に扱われてしまうか。周知のように、家族とも会話をしないレベルの引きこもりは、男性の方が圧倒的に多い。女性の方がまだ、「家事手伝い」などのカテゴリーでかろうじて救われている面がある。
女性の政治家の少なさや非正規の比率の高さ、とくにシングルマザーの異常な貧困率など、政治や経済の世界で女性が圧倒的に差別されていることは言うまでもない。夫婦間の家事や育児も女性への負担が偏りすぎていることも明らかである。
ただし年収200万以下の未婚低所得層に限定していうと、女性よりも男性の方が偏見や差別を受ける可能性が高くなる。「男性は生まれただけで下駄をはかされている」というフェミニストは多いが、その下駄が重くて履けなかった男性は、そもそも下駄のなかった女性よりも自己責任論で社会の偏見や差別にさらされやすくなる。また一般論として、女性は低所得でも友人がいることが多いが、男性は低所得と孤立度が完全に比例している。
以上のように本来「弱者男性」というのは、「いい歳をした男」が非正規や無職であることの社会的な偏見・差別の表現するための概念であったはずだし、また、そうした偏見や差別を社会に訴えるための言葉が、依然として貧弱で抑圧されていることを訴えるための概念でもあったはずだ。白饅頭などSNSのアンチフェミ一派が本当に腹立たしいのは、とにかくリベラル派やフェミニスに対して、女性の「わがまま」「ぜいたく」を指摘してマウントをとる快楽に夢中になり、非モテ問題ばかりに熱を入れあげ、弱者男性問題をきわめて歪んだ方向に誘導していることにある。彼らは弱者男性の味方のような顔をしているが、実際は食い物にしているだけである。