2020-05-30

一度だけ死のうとした時、ダウンジャケットに命を救われた

人生で一度だけ死のうとした時がある。

もともと母親には鼻血が出るまで顔を叩かれることも、アザができるまで蹴られることも日常だった

高校生になって体が大きくなると

分かりやす暴力よりも言葉や、陰湿嫌がらせ毎日毎日されるようになった。

制服は毎朝、生ゴミと一緒にゴミ袋に入れられ捨てらて

妹には朝ごはんが用意されていて、私の朝ごはんはいつも前夜の残り物が一緒くたに混ぜて器に盛られていた

学校から帰ってくるとカゴの中から自分洗濯物だけ選別されて捨てられていて

酔って家に帰ってきては、こんなブスに生まれ可哀想ケラケラ笑われた

優しい祖母が買ってくれた洋服は、一週間くらいするとなくなった

最近節約のためにあなたの服を売ったお金コーヒーを飲むことにしてるの!今日は120円で売れた!」と楽しそうに言われた

夜中、怒鳴り声をあげて寝ている部屋に押し入ってくることもあった

首をしめられて、それ以来怖くて毎晩箪笥をドアの前に移動させて寝ていた

そんな毎日だったけど、私は母のことが大好きだった

16歳にとって、ほんの数年前まで優しくて笑顔だった母親が忘れられず

毎日「頼むから死んでくれ」「10秒以内に死んで」と怒鳴り散らす母親

死ねなくてごめんなさい、と土下座して謝っていた

母のことが大好きで

母を幸せにしたかった

母を笑顔にしたいのに、自分が生きているせいで母は不幸なんだと

毎日毎日今日も生きていてごめんなさいと思っていた

その日、箪笥をどけて部屋を出ると

ついに私の朝ごはんは用意されていなかった

「食費の節約」とのことだった

毎日、心が締め付けられるように痛んで苦しかったけど

その日は何も感じなかった

どんよりとした灰色の雲に覆われて、何も感じなかった

そのまま学校に行ってぼんやりと1時間目の授業を受けているとき

「あ、死ねばいいんだ」

と思った瞬間、心の中が晴れ渡り、うきうきして興奮した

そうだ死ねばいいんだ!こんな素敵なアイディア、知ってたはずなのになんでもっと早く思いつかなかったんだろう!

私は私の大好きな母親を喜ばせてあげる方法を知ってる、私は私を苦しみから解放できる方法を知ってる!

そうだ死ねばいいんだ!

興奮して、ものすごく素晴らしいアイディアを思いついた気持ちになって、体は軽やかだった

授業が終わってすぐにうわばきを履いたまま、最近祖母に買ってもらった新品のダウンジャケットを手にとって学校を出た

最寄り駅まで行って、電車に飛び込もう

そうすれば全部楽になる、今日電車に乗ってきたのに

なんでもっと早く死ななかったんだろう!

あぁ、でもこのダウンジャケット

せっかくおばあちゃんが買ってくれたのに、3回しか着なかったな

悲しむかな?

そう思った瞬間、正気に戻った

自分自殺することを悲しむ人がいるのを、その時思い出した

毎日私が死ぬ事を望む母親

私がどんな目に逢おうと見て見ぬふりをする妹と父と

度々電話をしてくれて、ご飯を作って食べさせてくれて、服を買ってくれる祖母が私にはいたのを思い出した

その後は、死のうと学校を飛び出すところまで行動してしまたこととか

色々苦しくなって、学校トイレで泣いていた

心が苦しくて悲しくて涙が出たけど、同時に「死にたくない」とも思った

苦しいはずなのに苦しさを感じなくなった時

死ぬ事がとても素晴らしい救済に思える時

どうか、そうなる前に誰かに助けを求めてほしい

今思い出しても、あれはとても恐ろしい経験だったと思う

脳がバグを起こしてしまうというのか、限界の末に自分を守る方法思考してしまうのか

死ぬことがとても楽しい素晴らしいことに思えて、その目標を達成するのに今まで無気力だった体が突然元気になって、死ぬために走って行動するたびにワクワクして多幸感に包まれ

そこから、手に持っていたダウンジャケットが脳を正常な状態に戻してくれた

あの時、学校に着て行ったのが別のコートだったら、あのまま電車に飛び込んでいたかもしれない

30歳を迎えることも

最愛の人に出会うことも

やりがいある仕事に就くことも

好きな趣味出会うことも

できなかった

から私はダウンジャケットに命を救われた、と思ってる

うそのダウンは羽が抜けてぺしゃんこになってるけど

まだ捨ててない

母は、今はどこに住んでるのかもわからないけど

どこかで別の人の奥さんをやっているらしい

私の場合は、耐え抜いて、大人になって家を出て名前も変わって結果オーライ

でも、負った傷が深すぎて未だに思い出して苦しくなる

もし、今あなたを絶えず傷つけてくる人や環境がいたら

なるべく早くそから逃げてほしい

そして、もし死が暖かくキラキラしたものに感じたら

誰か専門の機関相談に行ってほしい

どうか明日も生きて

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