給料少ないだとか自殺者出るとかそんな当たり前のことは置いといて、アニメファンでも意外に知らないんじゃないかな? ってとこを挙げてく。
特に「動画」って工程は日本国内じゃほとんど息してない。あったとしても劇場専用部隊みたいな感じ。日本で放送されてるTVアニメのほぼ全ては海外動仕によって成り立っている。別の言い方をするなら、画面に出るTVアニメの線はほぼ全て海外のアニメーターの線である。海外動仕はアニメ業界発展の原因でもあり衰退の原因でもある。「アニメの本数を減らせばブラックじゃなくなる」という論を最近良く見るが、海外動仕を禁止すれば必然的にアニメの本数は減るだろう。
これは今でも信じられないが、作品のクオリティに直結するはずのアニメーター選別はだいたいの場合制作進行の人脈に一任である。(もちろんアニメーターを指定されることもあるが、まれ。)たま〜に見る作画アニメは監督や作監なんかがデキるアニメーターを引っ張って来ているか、制作進行の人脈が広かったかのどちらか。
厳密に表現するなら、アニメーターが集団で特定のアニメにつきっきりになることはない。なにぶん単価が安いので、複数作品の掛け持ちが一般的に行われている。そのため「この話数だけ参加」みたいなことが普通にある。毎話毎話制作進行がアニメーターを集めている。
・アニメーターになりたいならTwitterのプロフ欄に「アニメーター」と書くだけで仕事が来る
制作進行はアニメーターを日々探し回っている。それはTwitterに於いても然り。そこそこのイラストを投稿しているアカウントに片っ端からDMを送る進行だっている。というか最近の若くてうまいアニメーターはデジタル作画が多いので制作進行も仕事用SNSアカウントを持っていることが多々ある。言うまでもないがこういった人脈の構築は自己判断でやったもん勝ちなところがある。(個人的にはこの「やったもん勝ち」が制作進行としての実力に直結してしまう部分は問題でもあると思っている。)ただし身元のはっきりしないアニメーターは失踪もしやすい。ちなみに現場は未だ大部分が紙ベースなので、デジタル作画に統一されれば要らないような(無駄な)仕事のオンパレードである。
・1話あたりにかかる費用は最低でも2000万円くらい
アニメファン界隈に流れている情報だと1000万~1300万くらいと書かれていたりするが、それはもう昔の話。
腰を抜かすほどテキトーに描いたレイアウトを出すアニメーターはいる。一時期話題になった「山賊アニメーター」は本当にいる。そのぶん後の工程の人たちが頑張っている。
最後に、
離職率9割はある。つまり普通の人は辞める。これを読んでいるあなたは普通の人である。よって、もしあなたがアニメ業界に入ったとしても辞める。現場すでに崩壊している。「崩壊しつつある」ではない。あと10年もしないうちにアニメバブルは弾けるだろう。コンテンツ業界に興味があるのならアニメ以外をおすすめする。それでもアニメ業界に携わりたいのなら、アニプレみたいな「お金を出す側」の会社に入るのが良い。間違っても制作会社に入ってはいけない。
でも、
・どんなアニメでも作ってる人たちはホントにいい作品を作ろうと思って頑張っている
ことを忘れないでほしい。
あなたは・・・アニメ業界辞めたの?