2019-02-03

公的年金制度への誤解を解く

GPIFが損失をだしたというニュースに関連して。

調べたら色々と出てくる。 GPIF、過去最大のマイナス運用14.8兆円 株安響く=18年10─12月期実績 | ロイターとか。

こういうニュースを機に、積立金とかに加えて公的年金制度のものへのよくある誤解に対して何とかしたいなとおもったので簡潔にできるだけわかりやすいように書く。

不正確な点については指摘してください。

「肩車方式」への案外簡単ソリューション(?)

現在日本年金制度賦課方式といって、現役の人が引退した人の給付負担して高齢になったら現役世代から給付を受けるという制度になっている。

この説明は正しい。ただこの説明少子高齢化に伴って、3人の現役で1人を支える騎馬戦方式から一人が一人を支える肩車方式になり、現役世代は高い負担を強いられる一方で、今の現役世代引退するころには現在給付額よりも少ない額しかもらえない…というイメージを我々に与える。

ところが、世の中にはもう一つ、こんなことは起こらない年金のやり方がある。積立方式である。これは、現役の時の掛金を一人一人ずつについて積み立てて、それを運用してある程度増やしたものを老後に給付してもらうという方式である。この方式自分の老後を自分で支えるから騎馬戦だの肩車だのと言った問題は起こらない。解決である

と言いたいところだが、これには落とし穴がある。

積立方式だと何がおこるか

年金はなんのために受給するのか。それは多くの人にとって老後だろうが現役だろうが必要となってくる衣食住に加えて医療などの生産物を手に入れるためであると思う。ではそれは誰が供給するのか?

それはまあ考えなくてもわかると思うが、あなた年金受給するときの現役世代に他ならない。少子高齢化が避けられないなら彼らによる供給量は当然今の水準より小さくなる。当たり前だ。生産者世代自体シュリンクしていくのだから。つまり社会全体が取り合うパイが小さくなっているのだから当然現在より貨幣価値は下がる。ということはお金を積み立てておいて、2,30年前といった時期からお金を蓄えて将来の生産物への請求権を確保したつもりでいてもこれでは全然ダメになるだろうことは予想がつく。結局のところ、年金としていくら支給されようとその時代生産物を確保できなければ意味がないのである(また、このことは現代日本において、“若いうちに老後のための費用を貯蓄して自らの老後に備えるべき”という人口膾炙した考え方も実は誤解である事を示しているのは注意に値する)。

まり年金制度において一番重要となるのはその時代における生産物。これを心に刻んでほしい。

積立金は大丈夫なのか?

積立方式生産物という観点から見ると問題があるのがわかった。現在日本のみならず多くの先進国で行われている賦課方式ではこれは問題にならないことがその制度から明らかだろう。

では冒頭にあげたようなニュースにでてきたような積立金はどうだろう?ちなみに、現在の積立金の総額はおよそ2,3年分(正確な数値は忘れた。別にここではさして重要でない)の給付を賄える額である。そして今後100年において年金給付の1年分になるまで積立金を使う事になっている(厚生労働省公的年金財政検証のページを見てほしい)。今後やっていけなくなるから積立金を切り崩すと言ってたコメントを見た気がしたがそれは単なる知識不足によるものである

ここで重要となるのはこの今後100年分の給付における積立金の割合はたったの10%程度であるという事実である。これは調べればいくらでもエビデンスが出てくる。何を言いたいかというと、年金制度において積立金は貯金ではなく、単なるバッファーとしての役割を持つものなのである。つまり年金制度の維持という観点からみると、積立金の運用成績による短期での増減は全体から見てあまり大きな問題ではなく、一番重要となるのは掛金の増大をもたらす賃金の上昇および、社会生産物を増やす人的な資本の増大なのである

加えて指摘しておきたいのが年金の未納の問題である。これまでの説明からある程度分かるとは思うが、年金貯金ではなくて保険なのである保険では当然ながら掛金を支払わない人には保険金は支払われない。年金でも同様となる。つまり、未納分による保険料の分は当然、バッファー役割を果たす現在の積立金から支払われるが、その未納者が給付を受ける年齢になっても給付分は支払う必要がなく、“浮く”ので結局未納分を取り返せることになるのである。なので未納によって保険料を支払っている人の年金破たんすることはない。から年金を多く支払っているであろうはてなのメインユーザーの皆さん、安心してください

結論:今の年金制度はみんなが思っているよりかは大丈夫。でもみんなちゃん年金は払ってね!

もちろん、今の年金制度完璧なのかと言われれば当然そんなことはないし、課題は山積している。ただ、現在の多くの人々が持っていると感じている年金制度に対する誤解を解きたいと思ってこの文章を書いた。


別にこの文章の些末は忘れてもらっていい。

ただ、一つだけ重要な“年金貯金でない。保険である”ということは覚えていてほしい。

  • 嘘ばっかやん。 まず、未払いのやつが増えたらナマポが増えるだけなんだから結局財政負担。 年金で完結してるような書き方だが一般会計受入分は国債が回らなくなったら終わるんだか...

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