7月放送予定のドラマ「幸色のワンルーム」を関して、肯定派と否定派で激しいやり取りが行われている。
この件に関しては、Togetterなどで確認できるので、興味があれば確認してほしい。
事前に立場をはっきりさせておかないと非常にややこしくなるため、初めに宣言を行わせてもらうことにする。
・漫画の内容について:非常に考えさせられる、変に批判する前にきちんと読み込んでほしい
・ドラマへの抗議について:不当、どちらかというと後述する理由で放送したうえで社会に訴えるべきである
書籍になる際に若干ストーリーの修正が行われており、かなり考えさせる内容となっていた。
幸色のワンルーム - pixivコミック | 無料連載マンガで公開されている無料分だけ読んでもらってもわかるように、
主人公の幸は親、教師、同級生などから虐待、性的要求、いじめを受けている。
家と学校というのは学生にとって世界の7割近くを占める程依存度が高い空間であるのだが、そこに彼女の居場所はない。
先日、5歳児の虐待死の事件が報道されたが、あれとかなり似通った状態にまで追い込まれていたことになる。
そんな時に、その世界から連れ出してくれる人間が現れたら、幸と同じ選択をする可能性も出るだろう。
作品・ドラマ化の批判者は、「そんな白馬の王子の模倣が出る」或いは「他の誘拐された子供も
実はこのように幸せだったのではないかと錯覚するものが出る」といった的外れな意見を持ったようだ。
流石に誘拐したいとかいう怪しいお兄さんについていって今より状況が好転すると考えるとは思い難い。
もしそんな判断をするような、虐待を受けている児童は自分の置かれた状況がフラッシュバックし、
この話を読む余裕などないだろう。
このドラマについてはもっと話題にするべきだと思われる点は、幸ほどではないにしろ社会から
だが悲しいことに民事不介入などの要因もあり、明らかに虐待の痕跡が見つからない限り児相も
警察も役には立ちにくい。
ましてや学校内の教師からのセクハラ、性的虐待、同級生からのいじめ、性的暴行などはかなり
隠されているものもあると思われる。
物語では誘拐犯によって救われてしまってはいるが、本来は誘拐犯ではなく、しかるべき公的機関が
救ってあげてほしいのだ。
ただ、予算が少なく職員も確保しにくいために稀に救いの手からこぼれてしまうこともあるのがつらい、
もっと動きやすいように職員の数を増やしたり予算を組み込んで取り組むべき問題なのだ。
批判してドラマを取りやめさせ、子供を虐待の檻に閉じ込める人々の言葉など聞く必要はない
きちんと作品もドラマも許容したうえで、「こんなに優しい誘拐犯は現実にはいないけど、
代わりに救ってくれる公的機関はある。だから虐待におびえないできちんと相談してほしい。」
そういうメッセージとして使っていくのがよいのではないだろうか。