2016-03-03

地方を途絶えさせたくないのは誰なのか?

少子高齢化の影響で地方を維持することが難しい」という話が出てくる度に、難癖をつけて地方の維持に税金を使わせようとする輩が居るが、それには以下の2種類の人間がいると思う。

  1. 地元住民
  2. 地元」に投資した人間

都市人間が納めた税金地方に回したくないと思う人間が本当に対応するべきは2.である地元住民とは手強さが違う。

地元住民は、できてもせいぜいその選挙区政治家に1票を投じる程度のことしかできない。政治家自分選挙区予算を引きこもうとするだろうが、そもそもパイの大きさが縮小傾向である以上、予算獲得合戦をしたところで引き込める予算の額は減少する一方である。加えて、地方の維持が難しいと言っているのは要するに人口が減少しているということなのだから一票の格差是正するたびに地方議員の数は減少していく。どうあがいても、人口が減っている地域地元住民にかける税金は減少する以外に無いのである。これを避けるためには、住民自身母体を増やす…とまではいかなくても、最低限現状維持はしなければならない。それができるならば「限界集落」などというワードは生まれないはずであり、この名前がついた集落はもはや地元住民だけで問題を解決できない、ある種の限界突破しているのである

おうおうにして、こういう地方住民は諦めモードに入っており、「途絶えさせたくない」とは考えていない。代々続く文化があろうと無かろうと、最後住民がこの世を去れば、必然的地域が静かに役目を終える。住民はみな高齢で、もうすぐ死ぬだろう。今すぐとは言わなくても、いつの日かインフラ整備のために投じる税金を断ち切られても、住民は仕方がないと考えている。ちょろいもんである

一方で、地元投資する人間曲者である。旗振り役は地元出身である場合もあれば、本社東京に置く観光業である場合もある。彼らはだいたい

と言うが、その真意は一部の例外を除けばだいたい

であり、ぶっちゃけ地元人間はいなくてもいい。強いて言うなら「町中を人が歩いていないと廃墟みたいになっちゃって廃墟マニア以外から敬遠されるからとりあえず出歩いてて」要因でしかない。ここでは、彼らの目的が「観光資源として利用して主導権を握るか中間マージン搾取したい」前提で話を進める。

この場合矛盾しているのが、彼ら自身は予め整ったインフラの上に事業を展開するのに、インフラを整備する予算は(地元人間も払っている)税金から出ている点である。したがって彼らが初期投資をしてから回収できないまま税収が減ってインフラの整備が途絶えようともなると、彼らはものすごい勢いで反発する(自前でインフラを整えたり、税金を多く納めようとはしない)。その矛先は地方自治体や、下手をすると地元人間に向く。具体的には、彼らは「景色を残したいのに」「地域に代々伝わる伝統を残したいのに」「この地域産業活性化したいのに」などとそれっぽいことを言い、それに協力しないことが悪いことであるかのように唱え、周辺から徐々に責めていく。地方人間が協力しなくても、周辺の人間が「景色を残すためなら」「地域に代々伝わる伝統を残すためなら」「この地域産業活性化するためなら」と同情し、補助金などの税金を獲得してその場を凌いでしまう。そして投資した分が回収できたところで、景色を残すこともなく、地域に代々伝わる伝統を残すこともなく、地域産業活性化することもなく、「市場原理に基づいて」彼らは補助金という名の税金を返納することもなく退散するのである

ところで「地方が途絶える」とはどういう意味なのだろうか。思うに、地方が存続している条件は「景色が残っている」「地域に代々伝わる伝統が残っている」「この地域産業活性化した状態が存続している」などの状態では無かろうか。上に2つのシナリオ(住民がいなくなって途絶える・地元投資した人間が食い荒らして途絶える)を挙げたが、いずれの場合結果的地方は途絶えている。結果は同じなのだから、投じた税金の少ない1.のシナリオの方がマシとすら言える状況である

まとめると

  1. 限界集落に対して投じる税金の額については、よく考えた方がいい。住民地域の存続を望んでおらず、仮に望んでいても有望なプランが無いのであれば、税金を投じてもサンクコストになるだけである地域に住む人間は、税金を投じている側から「早く最後の1人が途絶えますように!」と祈られながら余生を暮らすことになるが、それでもいいのか?
  2. 本当に地域活性化を願うならば、行うべきは継続可能なインフラ事業を営むか、地方納税することである個人的に「ふるさと納税」は歪んだ制度だと思うので、そういう飛び道具ではなく普通に住民になって住民税を納めればいい。それもせずに地域活性化を唱える奴は例外なくカスであり、それでなくても短い地域の余命が更に短くなるだけである。もちろん、いかなる理由でも投資する奴もカスである
  3. 地方が途絶えることは決して悪いことではない。開拓した地方の個数だけ、途絶える地方がある。柔軟にいこう。

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