2015-12-17

氏は職業に関連付けられるものなのにね

夫婦同姓の強制合憲だという、にわかに信じられないような最高裁判決が出ました。

夫婦同姓」という制度は、江戸時代武家文化が、とりわけ明治期以降に広められたものであり、古来の文化ではありません。氏は職業の家柄を表しているわけで、武士ならば武家の氏、商家ならば屋号職人師弟で名を世襲し、農家はその土地を表していたものです。江戸時代は、公的には氏を名乗ることは武士特権でしたが、既に姓の通称一般的には広まっていたようだと思われます

江戸時代の段階でも武家特権に憧れる人々は多かったでしょうが明治維新で「四民平等」が施行されたのを機に、皆が「武家並み」を目指したものであることは想像に容易いでしょう。

江戸時代政治社会統制は、武家一般の信仰である儒教に基づいて行われてきました。儒教では、男尊女卑ですし、年長者を敬えだとか、先祖を尊べだとか、そういった「道徳」があります。こうした儒教教義も、江戸時代以降には社会に浸透させられ、それが未だに「日本文化」だと信じこまれしまっています

氏は職業柄を表しているものです。ですから現代の、「夫婦共働き」や、職業のいわば個人主義化の時代にあっては、夫婦同姓の強制というのは江戸時代から儒教信仰帰結しかなく、合理性を欠いています。また言うまでもなく、「信仰自由」に反しています日本の、いわゆる「ガラパゴス」「鎖国」、閉じ籠り根性の表れだといえましょう。

女性活躍」などと誰かさんが言っていますけれど、まったくもって口ばっかりで、言行不一致ですよね。これからはとくに、労働者の実人口の減少を少しでも抑える必要があるはずなのに、結婚妊娠出産といったできごとのたびに就労から疎外されるような社会慣行が根強いのが現実です。

日本古来の文化」と声高に叫ぶ人がいるようですが、そのほとんどは信仰です。しか江戸時代以降の、ながくて数百年程度のものしかありません。誇りが無いから、こうしたプロパガンダ信仰にすがるのでしょうね。到底目覚めそうにないようですから、私は哀しいし、絶望的です。

形式的には「妻の姓にも合わせられる」といっても、それは養子婿のような形態に合わせた制度です。実際にはほとんどの事例で、夫の姓に合わせられています

氏名というのは根源的なアイデンティティですが、そのアイデンティティを奪うということが未だに正当化されているわけです。そして、奪う側に「差別している」「加害している」という自覚が無いことがほとんどですし、さらには奪われる側にまで喜んで差別される人がいるというのも残念ながら事実です。

「選択的夫婦別姓」という案は極めて light な案です。「奪いたくない」「奪われたくない」という意思のある人だけが改姓を避けるのですから

たかがそんなことも許さないのだから日本というのは極めて尊厳破壊的な国家だといえます

  • 武家は別姓だよ? 武家のほうが儒教の影響が強かったからな 同姓になったのは、欧米の影響と、明治政府が別姓にしようとしたのに庶民の慣習が変わらなかったことが原因でしょ

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