2014-09-17

[]ゴキブリ退治の新兵器「ゴキトール」

○武部委員 ただいまわかっておる二十五県についてはお出しをいただいて、そのあとは十月でけっこうです。

 もう一つ、通産省公正取引委員会にお尋ねをいたします。時間関係がございますから、できるだけ要点を述べるつもりですが、あなたのほうもそうしていただきたいと思います

 これから私が申し上げますことは、まことに、あるいは取るに足らぬ小さなことかもしれません。取るに足らぬ小さいことかもしれませんが、これをやった企業日本におけるまことに著名な企業であるだけに、私はこういうことは消費者をだまし、まことにけしかぬことだと思うので、まことに小さいことですが、あえてこの席上で明らかにしなければならぬ、こう思うのです。

 私、ここへ現物を持ってきましたが、このゴキトールという器械、このことについてこれから質問をするわけです。

 この器械は東芝がつくって販売したものであります。これは一時たいへんな売れ行きを示したものであります

 私は、どういう宣伝をしておるかと思って、当時のいろいろのチラシを調べてみましたが、なかなかチラシが見当たりませんので、新聞の縮刷版をようやくさがし出して、ここに持ってきました。まことにたいへんよくきくように書いてありまして、これをちょっと読んでみると「ゴキブリ退治の新兵器登場」「電気の力でゴキブリビリリ!」とくる。それで、ここからゴキブリが「アれ-」と逃げる絵がついておりますよ。これは縮刷版ですからもっと大きいのですよ。

 これが新兵器です。これは金額が千七百円。なるほど家庭にはゴキブリがたいへん発生いたしまから、そういうことでこれは大好評のうちに、いろいろ調べてみると十万とか二十万とか、たちどころにこれは売れた。もう夜を日に継いで生産しても間に合わないというくらい売れたということを、会社諸君が言っておる。これも事実です。

 ところが、奇妙なことに、これが発売されて二カ月ほどたった、正確には四十三年七月の二日だと思うのですが、この発売がぴたっとやめになった。わずか二カ月足らずにしてこれはやめになった。これはどういうことかということで、当時も若干あったようですが、あまり目に触れないままに今日にきたわけですね。

 これは十万二十万とたくさんのものが売られておるわけですから、これを買った者は、効用をあげるだろうということは当然期待をして買っているわけです。ところが、さっき言うように、奇妙なことにぴたっととまった。通産省はこれを知っていますか。

関山説明員 御説明申し上げます

 御指摘になりましたゴキブリ退治器は、昭和四十三年の五月から発売されたわけでございます。その後消費者によりまして、あまりきき目がないのではないかというような意見が一部出てまいりましたので、当時、七月でございます新聞にも報道されまして、私たちのほうで製造会社を呼びましてその事情聴取いたしましたところ、確かにまだ、えさの問題その他で一部研究不十分なところがあったということでございまして、製造会社は七月でもって自発的に生産を中止したようないきさつがございます

 なお生産数量は、その間二カ月の間に約十四、五万台というふうに聞いております。そのうち約八万台が出荷、販売されております

○武部委員 きょうは時間がないのでたいへん残念なのですが、いまあなたは、えさのことをおっしゃったわけですね。そうすると、このものは二カ月間に十四、五万台生産されて、八万台近くが出荷をされて市場へ出たということですね。これは苦情があなた方のほうの耳に入ったので、業者を呼んで聞いてわかった、こういうことですか。

関山説明員 私どもといたしましては、新聞報道で苦情があるということを知りまして、業者を呼んだわけでございます

○武部委員 そのとき直ちに業者は、通産省指導どおり、苦情があることを認めて、これは欠陥があるとその場所で認めたわけですか。

関山説明員 七月三日の新聞というふうに聞いておりますが、業者のほうは、七月の五日に生産停止という結論を出しております

○武部委員 そうすると、その生産停止で生産ストップをしたと同時に、市場に出回っておったものについて何か措置をいたしまたか

関山説明員 その点につきましては、実は欠陥という御指摘でございましたが、一部はこれは非常に効果があったというような消費者からの声もあるやにわれわれ、業者から聞いておりますが、製造会社といたしましては、こういう苦情があった場合は、任意に販売店で実費で引き取ったというようなことはございます

 それから、これは有効性、無効性が非常に決断的に決定される段階に至っておりませんので、ただ、ゴキブリの生息の状況によりまして、一般家庭でそれにどんなえさを使ったらよいかという点が、多少使用説明書などに不十分の点もあったようでございますので、そういう点は、業者のほうで販売店を通じて消費者に十分周知させるように、というような話をしております

○武部委員 この器械は誘引剤、えさですね、これがなければ入ってこないのですよ。これは現実に、あなたのほうで実験したわけじゃないのでしょう。これは消費者実験しておる。これは一つも入らない。入らないどころか、ある人は実験して、つかまえたゴキブリをこの中へ入れておいたら、二日ほどたったら逃げてしまった。実験をした者がいるんだ。

 私は、こんなちっちゃいことをここで言いたくなかったけれども、東芝ともあろうものがこんなインチキものをつくって――さっき私はここで言ったが、「ビリリ!」といって、「アれ-」といって死ぬのじゃない、「アれ-」といって逃げてしまう。こういういいかげんな宣伝をして十何万台も売っておいて、そして、これの中に誘引剤も何も入ってないのですよ。一つもきかない、千七百円もして……。この中に電池が入っていますね。これはきかぬじゃないかといったら、電池もないというのですよ。消費者おかしいじゃないかと言って行ったら、実は電池もつくっておりません、こういうふうになった。そこで消費者から苦情がいったところが、それじゃ何かとかえましょう、持ってきてください。これを持っていったら、東芝商事は、二十ワット電球五個と交換するというのですよ。こんなばかげたことがありますか。千七百円で人に売っておいて――全然ききもせぬ、この中で昼寝しておるかもしれない。そういうものを売っておいて、それはききませんでした、悪うございました、二十ワット電球五つとかえますから持ってきてください。――そんなばかげたことがありますか。この宣伝も明らかに不当表示です。そう思いませんか。私は不当表示だと思う。こういうやり方を東芝商事ともあろうものが――また通産省も、どこでどう知ったか知らぬが、あなたのほうは、半分くらいは効果があった――ある人間効果があって、ある人間効果がないなんということがありますか、そんなばかげた。あなた業者から聞いたのでしょう。試験してみてないでしょう。試験してみた者が、はっきりわれわれのところに言ってきておるのですよ。こんなものは、この中に入ったって逃げるんだから。そんなばかげたことは許されませんよ。そうしておいて、苦情を言ってきた消費者には何かものとかえてやるとか、あるいは別なものをやるとか、こういうことをして、黙っておる者には何にもせぬじゃないですか。こんなばかげたことはない。だとするならば、これは当然不当表示です。これは厳重に取り締まるべきです。これは消費者代表公正取引委員会に持ち込んだはずですが、公正取引委員会見解ひとつお伺いしたい。

第063回国会 物価問題等に関する特別委員会 第16号

昭和四十五年七月十日(金曜日

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/063/0650/06307100650016c.html

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