2021-06-24

閃光のハサウェイで学ぶ恋愛工学

ハサウェイは完全に恋愛工学マスターしたニュータイプと言えるだろう。

冒頭15分

YouTubeで見れるのでぜひみてほしい。

https://www.youtube.com/watch?v=iMAj6ggHEyU

ネス大佐を始め、多くのメンズがギギ・アンダルシア口説くが、美女ギギ・アンダルシアには見向きもされない。

そう、このような女性にこそ恋愛工学有効なのである

恋愛工学がどのような女性にも通用する、というのは完全な誤解で、上位20%程度のSクラス女性しか通用しない。

早速ハサウェイは、テロ集団をバッサバッサとなぎ倒し、機内で圧倒的なプレゼンスを発揮することで、ギギ・アンダルシアへのアピール成功させるのだった。


ハサウェイ's オープナー

ハサウェイが空港ロビーに入ると上品女性握手を求められ、

「皆さんにご紹介させてくださいな」などと言われ、両手に花状態で引っ張っていかれる。

そう、この時点でハサウェイの「モテスパイラル」は始まっている。

もちろん女性モテている男性=魅力のある男性認識するので、

他の女性から連鎖的にどんどんモテ出し、加速度的に魅力が高まっていく。


一人になり、ふと横を見ると、ギギ・アンダルシアフリーだ。

「さっきは、なんで笑ったんだい?」

素晴らしいオープナーである


オープナーとは、第一声のかけ方をかっこよく呼ぶ方法であり、

表参道ヒルズってどっちですか?」という道聞きオープナーや「この辺でこれくらいのペンギン見ませんでした?」と聞くペンギンオープナーなどがある。


しかし、このような凡庸なオープナーでは、

あなたってパターンしかしゃべらないんだ」

と言われてしまうことだろう。


「さっきは、なんで笑ったんだい?」

「笑った?そう?私が?」

「なんでマフティーを騙った連中だと見抜けたんだ?」

この返しには、正直、唸らされた。


美女に対して「かわいいね」「きれいだね」と伝えても、美女はそれに慣れているし、それではきっと、

あなたってパターンしかしゃべらないんだ」

と言われてしまうことだろう。


しろ自分ポジションを下げる行為であり、推奨できない。

しかし、女性は褒められなれていない意外な点を褒めてあげると喜ぶことが多い。

これは質問形式でありながら、相手の素性を見抜く能力があると伝えているわけであり、相当高度な褒めテクニックである

さすが、組織トップは違う。


そしてこの後、ハサウェイは高度な会話テクを駆使し、ハサウェイ=マフティという秘密をギギ・アンダルシアと共有することに成功する。

もちろん、秘密の共有は親密度を高める常套手段である


「人って、自分のことになると馬鹿になるって本当ね」

ここで、少しギギ・アンダルシア側に主導権を握られそうになる。

だが、ハサウェイはこれを許さない。

「だけど、言葉で人を殺すことができるということは覚えておいてほしい」


これは、ハサウェイが「調子に乗るな小娘、俺が格上だ」というメタメッセージを伝えた、ということである

女性は格下の男性には惹かれない。美女さらにその傾向が強い。

ハサウェイの術中にはまり、ギギ・アンダルシア狼狽、無事にどちらが上かを印象付けることに成功した。


冒頭23分でかなり良い試合運びとなっている。


Cフェーズ⇒SフェーズComfort Building⇒Seduction)

そしてリムジンの中。

窓の外を見つめるハサウェイにギギ・アンダルシアが「何が気になるの?」と問いかけると、

危険になるのはもっと嫌だから…しゃべらない」

と耳元で囁く。


これは、仕草と声色ばかりが注目されがちだが、言葉選びにも注目いただきたい。

「お前を危険にしたくない」という意味合い女性庇護欲をかきたてるし、「おあづけ」プレイも兼ねている。

何者なんだ…ハサウェイ・ノア


そして、ギギ・アンダルシアからの同室オファーをきっぱり断るハサウェイ。

そう、欲望最後の瞬間まで隠し通すことがマナーである

「俺はそんなに簡単に女と寝る男じゃない」と伝えることで、「俺は女に困っていないほどステータスの高い男だ」というアピールができる。

ますます女性は「このステータスの高い男性に抱いてほしい」と思うことだろう。


ギギ・アンダルシアの生足を凝視するハサウェイ。

男性は性欲を喚起させられると、おおよそ70%程度は知能が低下する(要出典)と言われているが、視線に気づいた彼女に対し、ほぼノータイム

「君が元気になってうれしいのさ」

と返せるハサウェイの知能指数はIQ300くらいと推察される。


「君がいるということで、気を遣うということはしたくない」

シャワーを浴びに行くハサウェイ。

これは再度の格上アピール

「同じよ」

攻めあぐねたか。ここでシャワー室でクールタイム

「この事態はどう考えたらいいんだ…」


続いて、問題ラッキースケベシーン。

「失礼ね」に対し、

「よく、そう言える…(中略)…どこ構わず裸でいる女は嫌いだな」

これは決まった…と思いきや、残念、GOALならず。

理想では、「散歩に出るが!?」⇒「一人にしないで」⇒GOALLLL!!!!だったものを…


軽率だったかクェス・パラヤと同じか…」

反省するハサウェイ。

さすが、女性類型化しパターン攻略しようとするのが恋愛工学基本的パラダイムと言える。


その後、ケネス大佐になびいているような素振りでハサウェイの気を引こうとするギギ・アンダルシア

これはまあ、仕事も忙しいのでスルー。同室の優位性は揺らがないのである


午前3:52のベッドシーン

ここからマフティの反撃が始まる。

そう、昼の顔はハサウェイ、夜の顔こそがマフティ

ギギ・アンダルシアの寝室に向かう。


いつ非常停止するかわからないエレベーターに乗り込むかの判断を迫られるハサウェイとギギ・アンダルシア

ここが最も決定的なシーンだった。

「乗るか?」と目で訊くハサウェイ。

大丈夫…乗ろ」と声で応えるギギ・アンダルシア

そう、恋愛工学徒は無理やり行為に及ぶことはない。

必ず相手同意を得て進めなければならない、という啓蒙要素も表現されている。


なお、「大丈夫」の母性的な安心感、「乗ろ」の清純的な少女感。上田麗奈様の表現も素晴らしかった。


「どうして私に訊いたの?」

「君のカンにかけたのさ」

「それなら、さっきのごちゃごちゃした話もすっきりさせてよ」

いいですね。こういうトークで始められるようにしたい。


賢明な読者はすでにお気づきだろうが、このあとハサウェイは「やっぱりコワいことする」(=行為に及ぶ)わけである

ギギ・アンダルシアから見たとき行為は「戦場で逃げ惑う」ようなものに見えているのであり、

ここからの逃げ惑うシーンはもちろん、行為比喩である

行為積極的女性であれば、例えばクェスのように、パイロットとして戦っていたはずだ。

そう考えれば、ギギ・アンダルシア過去にそうした虐待を受けていた可能性がある。


余談だが、ガンダムにおける男性パイロット女性パイロット戦闘行為比喩であることが多い。

直近の好事例としては、ガンダムUCのマリーダとバナージの戦闘シーンがそれだ。

途中まで無我夢中で攻め立てていたバナージが、マリーダの壮絶な過去を聞いて萎えしまったが、

マリーダはそんなバナージに優しさを感じる、というシーンは素晴らしいと思った。


ホテル外に逃げ出した2人の前に現れるエメラルダ。

これは、ベッドで2人のときスマホが鳴り、彼女からLINEが来たような状態意味しているだろう。

そうであれば、ギギ・アンダルシアの「置いていくの?」に対しては、

まさか

しかなりえない。


逃げ惑う2人。

降り注ぐ銃弾火災

ギギ・アンダルシアの恐怖、叫び、声、息遣い

男性女性ほど行為最中快感を感じられないというが、もしかすると、男性にとっては、戦闘行為での興奮が女性のそれに相当するのかもしれない。


そして、閃光。

モビルスーツは大破し、光が溢れ出す。きつく抱き合うふたり

その光は言うまでもなく、射精象徴であった。


行為のあと、大佐のもとに駆け寄るギギ・アンダルシア

ハサウェイはクェスが去るときイメージフラッシュバックし、真っ黒に塗りつぶされる。

そう、これこそが恋愛工学ニュータイプ・ハサウェイの正体である

過去女性に傷つけられたことを引きずり、いつまでたっても非モテインセル呪いは消えない。

それはどんなに良い女、例えばギギ・アンダルシアのような女性を抱いたとしても

消えることのない、本質的な自信のなさ、センシティブな心そのものなのである


それにしても、アジア圏で製作された男ふたり女ひとりの実写映画ってなんだろう?

https://febri.jp/topics/gundam_hathaway_4/


それでは今週もよろしくお願いします。


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  • 恋愛は工学ではなく生物学

    • だから生物学は実際の生物がどういうもんか分析するものであって生物が繁栄するための学問じゃねえって 巷で言われる生物学的に〜みたいなのって実際には優生学と言い換えた方が正...

  • 男性パイロット同士の戦闘は行為の比喩ではないのですか!???

  • わかる。 褒めるのに苦慮するアニメだよなハサウェイって。 クオリティはひたすら高い。 だから褒めたくなるんだけど どこを褒めたらいいのかわからんのよな。 かといって、ここがな...

    • 全体として小綺麗ですげーいいんだけど、ちゃんと褒められるところはやっぱり市街地戦くらいしかない。 そもそもガンダムシリーズの男女関係の描写はイマイチで、女の造形がワンパ...

  • 閃光のハサウェイは男女間の描写が多すぎる

    • ガンダム映画なんかロボット戦がかっこよければそれでいいのに 製作陣はなんか勘違いしてそうだな

  • anond:20210625214508

  • anond:20210625214508

  • いつも不思議なんだけど恋愛工学徒って相手の女への純粋な興味が欠落してて無理やり「オープナー」としての話題を考えないと外見への感想しか出てこないのはなんでなの?

    • その「純粋な興味」ってのは一体何なんですか? 「人間扱い」なんかと一緒で、定義できないものを無理やり棍棒に使っているようにしか思えませんが

      • 外見だけじゃなくてこの人は今何を見て何を感じてるんだろうとか何を心地いいと思うんだろうとかそういうことなんだが スタート地点の発話は友達と変わらなくないか?友達もいない...

  • 面白かった。 俺はお前を評価する。

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