仁藤夢乃氏が安倍晋三氏の事件について以下の発言を行い、それがよろず~ニュースに【活動家・仁藤夢乃氏、射殺された安倍晋三氏は”自業自得”と主張 参院選での「女性の権利」軽視にも怒り】というタイトルで取り上げられた、というのが経緯になっています。以下のリンクはkoo-sokzoeshkyさんの投稿からコピペしたものです。
発端ツイート: https://twitter.com/colabo_yumeno/status/1545410438724079618
報道への抗議ツイート: https://twitter.com/colabo_yumeno/status/1545658398632357888
上記のブクマ: https://b.hatena.ne.jp/entry/s/twitter.com/colabo_yumeno/status/1545658398632357888
「普通に要約すると自業自得と言っているようなもんだと思うが…」というコメントがあったりしたので、ちょっと自分の意見を整理して伝えることができればと思いここに書くことにしました。端的に言えば、言葉には内容とニュアンスの二つの要素があり、後者はどうでもいいというわけではないし、このようなやり方を正当化してしまうと、社会の分断を深めることになるだけではないか、ということを説明していこうと思います。
言葉には実質的な内容と、それをどう表現するかというニュアンスがあるわけです。例えば
という二つの発言があるとします。どちらもBさんの知性に疑問を投げかけるものですが、そのニュアンスは全く異なるわけです。前者の発言を第三者が”要約”して、後者のように書いたとしたら、それは言葉にあるニュアンスを完全に無視していると言えるでしょう。
昨日今日で見つけた例をあげて説明できればと思います。これは元警視総監が今回の事件を受けて、警察の警備体制にしてコメントしたものです。タイトルは【安倍元首相銃撃 元警視総監「警察の失態とも言える」】となっています。
記事へのリンク: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220710/k10013710221000.html
中身を読んでいると、米村敏朗元警視総監は最初の段落で文字にすると119字になる発言で「無事に警護を終えられれば100点だが、失敗であれば0点という結果がすべての世界だけに、今回の結果は警察の失態とも言える」と述べています。記事の見出しは最後の言葉を取ったものになっているわけですね。ではここで発言を引用する代わりに”要約”してみましょうか。
などはどうでしょう?これは米村氏の発言の要約として間違っていないと思います。しかしこれは元警視総監のニュアンスとは大きく異なるものです。前者の見出しで記事にしたら、少なくとも彼は警察関係者からは顰蹙を買うでしょうね。彼は立場上、そこまで強い発言はしたくないし、記者はそういうことをくみ取って刺激的ではない言葉を選んできているわけです。このように、仮にそれが内容の要約としてはアリだとしても、それがニュアンスを正しく伝えているか、また見出しとして適切なのかは全く異なるわけです。
少なくとも僕にとっては”自業自得”という言葉のニュアンスは原文とは大きくずれたものであると思います。一般的に”自業自得”だという言葉は非常に断罪的で、攻撃的なニュアンスがあります。仁藤夢乃氏は安倍氏の事件に安倍政治が何らかの役割を果たした、ということは間違いなく主張していますが、それと”自業自得”という言葉には大きく距離があると思います。このようなニュアンスを無視した要約はアクセス数を稼ぐにはいいでしょうが、野党の議員(塩村あやか氏)に「おまえが撃たれればよかったのに。テロリストは撃つ相手を間違えた」というようなメールが届くような現状においては、次なる暴力を招きかねない釣り見出しで、限りなく不適切だと思います。
左右の立場に関わらず、私たちがニュースに求めるのは発言の内容とニュアンスを正しく残した中立的な見出しのはずです。よろず~ニュース側がすぐに記事を消したことからしても、彼らは自身がしたことをわかっていると思います。このような釣り見出しを正当化することは、どの立場においても憎悪を煽り、分断を広げることになります。発言に対して真摯な批判を行うためにも、メディアにおいてなるべく正確な見出しが出てくることを望みます。
お?言論弾圧か?
安倍政権に原因があると書いてるんだから自業自得というのはニュアンスとして間違ってはいないと思うんだが