2022-03-09

優れた社内システムノルマによってダメになった話

ナレッジマネジメントという言葉がある。

平たく言うと、社内に散逸している知識経験ノウハウ有効活用しましょうねっていう取り組みのことだ。

弊社も最近これに力を入れていて、ナレッジマネジメントのための社内システムを開発した。

この社内システムでは、共有したい情報資料にまとめてアップロードすることで、他の社員がその資料検索したり、閲覧したりできる。

この社内システム、俺はかなり良いと思った。

例えば、ある部署勉強会に使った資料アップロードすれば、他の部署社員もその恩恵が得られる。

例えば、炎上した案件とその後始末に関する資料を読めば、似たような状況に陥ったときに役に立つ。

俺はエンジニアだけど、営業活動案件受注するまでの経緯をまとめた資料を読んで、なるほど営業の人はこういう部分で苦労しているんだな~と思ったりした。

弊社の社内システムはあまりよろしくない(なんせ2022年3月になっても社内サイトIEしかアクセスできない!)けど、このときは凄いじゃん弊社と思った。

そう思っていた。

ある時からシステムを利用していて違和感を覚えるようになった。

謎の資料が多い。

有り体に言えば、他者と共有することを想定していないような資料が目立つようになった。

例えば、プロジェクト使用しているものを、ほぼそのままアップロードした資料

そのプロジェクトにいる人にしかからない専門用語ばかりで、外部の人が読んでもわからない。

例えば、タイトルと表紙は良さげだけど、中身がほぼない資料

(編集中)というカッコ書きがそのまま残っているものもあった。

俺はその理由をすぐ知ることになる。

ノルマ存在だ。

この社内システムにはノルマがあり、社員1人あたり一定数の資料アップロードしないといけないことになっていた。

俺がこのノルマ存在を告げられてから、その期限まで、わずか2週間。

担当しているプロジェクト慢性的にボヤが起きていて、資料作成する時間はあまり取れない。

そもそも他の社員に共有すべき情報すら見つかってない。

じゃあどうするか?

既存の有り合わせの資料ちょっと手直ししてアップロードするしかない。

こうして、俺も謎の資料アップロードする一人になった。

このノルマ問題点は2つある。

第一に、社内システムに対する社員の親しみが薄れることだ。

ノルマ押し付けてくるヤなサイト」という認識を持たれるようになると、積極的システムを利用する社員が減り、本来目的を果たせなくなる。

第二に、資料の質が下がることだ。

よく、Google検索劣化して使い物にならないサイトばかりヒットするようになったと言われているが、それと同じ現象が弊社の社内システムでも起きている。

興味を持ったトピックについて検索しても、あまり役に立たない「謎の資料しか見当たらなくなる。

弊社は比較歴史の長い企業で、社内のポータルサイトに年々「情報」が積み重なっている。

そのため、社内の規則などを調べるためポータルサイトアクセスしても、情報量が多すぎてよくわからないという意見中途採用者を中心に挙がっていた。

ナレッジマネジメントの社内システムは、それと同じ状況になりつつある。

もちろん、ノルマには良い点もある。

ノルマきっかけて社内システムを使い、そのままユーザーになる人も居るだろう。

また、仕方なくアップロードした有り合わせの資料が、実は他の社員にとって価値ある資料かもしれない。

しかし、それらを考慮してもなお、このノルマデメリットメリットを上回っていると俺は思う。

反省点もある。

俺は今まで、他の社員アップロードした資料を読むだけで、自分アップロードすることはない、いわばフリーライダーになっていた。

この手のシステム健全運用していくには、情報享受するだけでなく、自らも提供する必要があると痛感した。

というわけで、俺も「謎の資料」ではない、ちゃんとした資料を作ってアップロードしようと思う。

今のプロジェクトが一段落したら、だけど……。

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