羨ましいぜ!!
元の自然に戻るだけだろ? 何言ってるんだ?
そもそも周囲に女が居るのか疑問
俺だけでいいよな
靴の選び方の話からつながっての話だった。
体重を足の親指、小指、かかとに均等にかけるべきだというのが彼のアドバイスだった。
なるほどと思って、その場で立ち上がって自分の足の裏に気を向けてみると、親指にあまり体重がかかっていないような気がしてきた。
そのことを彼に伝えると答えが見えたなと彼は言った。
僕の靴のかかとの外側がひどく磨り減るのも、がに股を何度指摘されても上手く直せないのもこれが原因だったのだ。
足の裏が少しくすぐったいような感覚と、理由は分からないけれど満ち足りた気持ちがわいてくる。
彼にお礼を言って、なぜか退職後に一日一時間は体を動かすという言質をとられて通話を終えた。
(国や地域でひとくくりにするつもりはないが、彼は健康に対して意識が高い気がする。…と思っていたが、その後おいしそうなパスタの写真が撮れたので送りつけたら"Why you eating grasses"とチャットが返ってきて食生活については無頓着らしいということが分かった)
それから、歩くことが少し楽しくなった。ちょうどミラーレス一眼を買ったのも理由のひとつだが、週末に散歩がてらカメラを持ち出して、一時間ほど地面を踏みしめながら歩くのが習慣になった。
古い町だし、たくさん被写体があるわけでもない。でも、ここを離れる前に写真に収めておきたいと思ったものをファインダーを通して覗き込む。
浜辺に流れ着いた集魚灯や風に揺られてボケたナズナの写真を家で整理しながら、考える。そこまで好きになれなかったこの町も、いつか今日撮った写真を見ながら懐かしむことができるだろうか。
彼に仕事をやめる相談をしたとき、彼は人生は目的地のある旅ではなく曲のようなものだと言った。いいたとえだと思いながら、どこかで僕の人生は、自分の足で歩く旅であっても欲しいなと思う。
ワイは君のことだーい好きやでチュッチュ