2016年の秋季放映のアニメの一つに、『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ著、一迅社、2013年~)があります。
アニメ化の報には心躍り、楽しみに待っていての放映です。毎週楽しく拝見しています。
その流れに乗って、ここでは、原作コミックスの主な魅力について、特に焦点を当てて述べます。
『バーナード嬢曰く。』(以下、『ド嬢』と略します)の一巻(発行当初は1巻完結の無印)の裏表紙には、
本を読まずに読んだフリをしたいグータラ読書家”バーナード嬢”と
『聖書』『平家物語』『銃・病原菌・鉄』『夏への扉』『船を編む』『フェルマーの最終定理』……、
と、紹介されています。本好きの方々も、本好きのフリをしたい方々(なにせこちらが主人公の高校生)も楽しめる二層構造になっています。
まずは表紙をご覧になって、「ええーっ!」とか「えっ……?」とか「せ、正解って!? 何??」(2巻参照)とか「おおっとぉーーー!」(3巻での私の率直な感想)と、何らかのリアクション、心の想起が起こることを期待しています。そこから本書を楽しんでほしいです。
マンガのジャンルとしては、本著はショートギャグであるので、比較的手軽に読み進めることができます。
作者の施川ユウキ先生が何を考えて本編に至ったのか、垣間見ることができるようで面白いです。コミックスでまとまった活字も読めて、おトクな感じがします。
自身を「バーナード嬢」と自称している主人公の高校生、町田さわ子の態度は天真爛漫そのもので、肩の力が抜けるような思いがします。
一般書では、そもそも「参考文献」リストの存在すら無かったり、あったとしても発行年や出版社名が書かれていないケースが多い中、『ド嬢』では、本編に登場する書籍の基礎データが、『タイトル』(著者名、訳者名、/出版社名/発行年)の順に並び、話数ごとに分かれ、登場順にリスト化されています。これは、「次に未読のこの本を読んでみよう」とする読者にとって、非常に親切なつくりとなっています。整然としたリストを見ると嬉しくなります。
公立図書館に所蔵しても、読書促進の助けとなるのではないでしょうか。
ただ、1巻では、おまけページ(44ページ)の『百年の孤独』について、「参考文献」リストの中に見つけることができなかったのが残念です。私が所有しているのは、初版無印なので、現行とは変わっているかもしれません。
願わくば、『ド嬢』と同様に、『がんばれ酢めし疑獄!!』、『サナギさん』、『もずく、ウォーキング!』、『オンノジ』、『鬱ごはん』そして『少年Y』(原作「ハジメ」名義)もアニメ化されることを願っています。
実は私の頭の中ではもう放映しているのですけれど、やはりそこは、プロの方々に、自分の想像を超える作品を作っていただきたいのです。
施川作品の最大の魅力のうちの2つは、「自力で考えられ得るところまで考え出し、そしてその考えた筋道を明瞭に示しながらもギャグに昇華しているストーリーテリング能力」と「一見簡略化されているようにみえて、実はシンプルで可愛らしい絵柄」にあると、私は評価しています。
『ド嬢』の登場人物、登場書籍、そして本編での個別ストーリーとギャグの感想は、別のエントリを立ててこちら、つまり、ここの匿名日記のスペースをお借りして、少しずつ、その魅力に詳述していきたいです。