2022-08-22

デトロイト(Detroit Become Human) が原因で破局した話

はじめに。もしDetroit Become Human(以下「デトロイト」)を未プレイのままこの増田を読もうとしている方がいたら、今すぐUターンして本作をプレイして欲しい。自分で話を進めるゲームとはいえ、何も知らない状態でやるのとなんとなく知ってしまっている状態でやるのとでは雲泥の差である。あの感動は初プレイしか味わえないので、ぜひこんなページは見なかったことにして欲しい。

私自身まともに文を書いた経験読書感想文くらいしかないため乱文となってしまうが、多少は大目に見ていただきたい。

私と恋人は、互いにサブカル趣味を持っていたこともありよく漫画の貸し借りをしたり、同じゲームプレイしたりしていた。特にゲームは2人してのめり込む性質だったため、ひどい時は2人して一日中通話を繋げたままひとつクエストを周回したこともある。もう若くないので絶対に出来ないが、たしかに楽しかった思い出の一つでもある。

デトロイトも彼から勧められたゲームの一つである。当時はまだ発売されたばかりで、「詳しいことは敢えて説明しないけど、映画好きなら絶対面白いよ」という彼の言を信じ、数日後にはソフトを購入しプレイをし始めた。このときまさか、これが原因で恋人との関係が悪くなるだなんて思いもしなかった。

デトロイトは、アンドロイドである3人の主人公視点からアンドロイド人間関係性の変化について描いた作品だ。プレイヤーの選んだ選択肢により大きくストーリーが変わったり、ひどい時は死人が出るというこのゲームに、私はすぐ夢中になった。なんて楽しいゲームなんだ。そのとき生活も忙しかったが、毎日少しずつ時間を作り1日2チャプターずつくらいのペースで進めた。もう本当に、超面白かった。

さて、問題はここからであるわたしはこのゲームを始めると彼に伝えた時にある任務を与えられていた。それは「チャプターごとに選択とどういう結末になったのかを教えて欲しい」ということだった。たしかにこういったゲームの進め方はかなり個人差が出る。彼はアニメ漫画を見た後に考察検索したり、わたし感想を聞いてきたりするタイプだったので、その一環かな?と納得しつつ了承した。

そんな訳で私はゲームプレイ後に自分の通ったルートを彼に電話で伝え、私のチャートに対する感想を貰ってから眠るという生活になった。はじめは順調だった。「人質解放成功したんだ!もうゲームに慣れてるね」「なんの絵書いた?アイデンティティ疑念?一緒じゃん!」こんな感じの会話をしたと思う。

そしてその日もいつも通りゲーム後に報告の通話をした。

「おつかれ、今日はどこまでやったの?」

「おつかれ、今日は『夜のあらし』までやったよ、ねーてか!カーラがトッドのこと殺しちゃった!どうしよ〜!!」

本当に、いつも通りの通話のはずだった。通話に出た時の彼もいつも通りだったし、わたしゲーム内のことで多少は動揺していたが、特に変わったところはなく話していたと思う。しかし私が自分プレイ結果を伝えた途端、彼は少し黙り、そして少しして怒り出した。意味がわからなかった。結構時間怒られた気もするが、要約すると「銃を持っていく人がいるなんて思わなかった、最低だ」というようなことだった。もっと訳がわからなかった。

『夜のあらし』は主人公の1人である家政婦アンドロイドのカーラに大きな転機が訪れるチャプターであるプレイヤーは彼女の雇い主の娘であるアリスを救うため、様々な方法を用いることが出来る。その中で私が使ったのが銃だった。

別に珍しい選択でもなかったと思う。その前のチャプターで銃の場所確認していたし、後から世界選択(このゲームでは全世界プレイヤーが1周目でどの選択を取ったのか、パーセンテージで表示することが出来るのだ)をみても、決して少ないパーセンテージではなかったと感じた。

それでも彼は私を糾弾した。いくら私が、相手は1度カーラを破壊しているから、武器がないと勝てない、このままではカーラもアリスも殺されてしまうと思ったから、と説明してもまるで聞く耳を持たなかった。最低だ、同じ人間とは思えないと続けて言われるだけだった。その日は彼が一通り私を罵倒するのを聞き届けた後に、もう寝るからと言って早めに電話を切った。ふだんは穏やかな恋人だったので、私は少なからず動揺し、明日には元に戻っていることを祈り布団に潜った。

その日以降も彼への報告は続けていたが、やれ「なんでカーラを追うんだ、可哀想だと思わないのか」、やれ「館に火を放つなんて信じられない、野蛮だ」などと言われていた。『逃亡(=逃げるカーラをコナー(主人公の1人。警察アンドロイドである。)で追いかけるチャプター)』でのコナーにとってはカーラの事情なんて知ったことではないし、『ズラトコ(=カーラが悪徳おじさんの館から脱出するチャプター)』なんて見つかったら即死のような状態だった。私はそのときそのときの最善を選んでプレイしているつもりだったので、彼から否定に納得ができなかった。というより、人の選択ケチをつけてくる彼の姿勢に少なから嫌悪感を感じ始めていた。

そのうち彼は、ゲーム関係ないところでもそういった話を持ち出すようになった。私がなにかする度に「さすがすぐに銃持ち出すやつは違うな」

「そういう軽率なところ、いつか絶対後悔する日が来るよ」などといつだって私の人格否定するような言い方をしてきた。純粋に腹が立った。それでも私は報告をやめていなかった。

そしてゲーム内で、私が彼に別れを告げることになる決定的な選択が現れた。チャプター『カムスキーである。既プレイの方なら何となく察すると思うが、ある女性アンドロイドを撃つか撃たないか、という選択プレイヤーは強いられることになる。非人道的選択を嫌う彼のことだ、もし私が彼女を撃ったと聞いたらまた怒り出すだろう。しかし私個人気持ちとしてはどうしても撃ちたかった。撃ったら事件解決に繋がる情報をくれるという甘言に従いたかった。でも撃ったら確実にもっと恋人との関係が悪くなる。でも撃たなければ私はこのゲームへの没入感を失ってしまう。

ゲーム内でコナー任務達成と己の感情に揺れるとき、私もゲームとしての面白さと恋人との関係狭間葛藤していた。どちらを取っても自分の中にしこりが残ると思った。どうしてこの選択肢に限って時間制限がないのか、と制作会社一方的に恨んだ。


結果から言うと、私はゲームを取った。


その日は報告の電話をせず、翌日になってからLINEで伝えた。案の定彼は私を詰ったが、文面だと電話や対面より幾分かマシだな、と今更ながらに気づいた。そこから少しずつ、私は恋人距離をとるようになり、ゲームクリア後しばらくして、お互いが納得した上で別れた。どこかスッキリした。

この増田を書いたのは、そろそろ時効だと思ったのと、友人の一人が最近デトロイトプレイし始めた、という話を聞いたからだ。なんとなくこのことを思い出し、供養的な意味合いを込めて書いたが、デトロイトが原因、というよりは純粋に相性が悪かったというだけの話なのだろう。というか、私が自分選択に口出しされるのに我慢ならなかったという話でしかない。

この増田で伝えたかったのは2つ、1つ目は「ゲームに限らず、人の意見全否定するのはやめよう」ということ。2つ目は「デトロイトカムヒューマンは最高だ」ということ。

君もデトロイトカムヒューマンプレイして最高の体験をしよう!

  • 別れてよかったと思う。ゲームでした選択を現実でまでひっぱられるのはしんどいよね。お疲れ様でした。

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