2015-11-16

ナッシュ均衡ワルラス的均衡

  ※ 最後に「訂正」あり。

 

この二つが話題になっていた。

 

元ページ

 http://hatena.aaafrog.com/entry/2015/11/14/104818

 http://hatena.aaafrog.com/entry/2015/11/15/142831

 

はてブ

 http://b.hatena.ne.jp/entry/hatena.aaafrog.com/entry/2015/11/14/104818

 http://b.hatena.ne.jp/entry/hatena.aaafrog.com/entry/2015/11/15/142831

 

勘違いしている初心者が多いようなので、解説しておこう。

 


 

ナッシュ均衡は、理系概念なので、理解している人が多いようだ。ここでは特に解説しないが、次の点を理解しよう。

 

  1. これはゲーム理論概念である
  2. 通常、2名のゲームである
  3. 変数は、戦略である。(戦略選択肢となる。)
  4. 均衡点は、特異点である。(連続的にそこへ移行できない。)

 

一方、ワルラス均衡は、文系概念なので、理解してない人が多いようだ。次のページでちゃんと勉強してほしい。(簡単だ。中学で習ったはずだ。)

 http://chu.benesse.co.jp/qat/3519_s.html

 http://homepage1.nifty.com/gujyo-economic-res/micro.files/w-antei.htm

 

ここでは、次の点を理解しよう。

 

  1. これは経済学概念である特に市場原理概念である
  2. 通常、供給者と需要者は多数存在する。(無限と見なしてもよい。)
  3. 変数は、(商品の)価格と数量である
  4. 均衡点は、なだらかに到達できる点である。(特異点ではない。)


 

ここで、元のページに戻ろう。

お互いが自分利益のために値下げして、それ以上下げられないところで止まる

これは、明らかにワルラス均衡だ。どこでも普通に見られる現象である。「それ以上下げられないところ」とは、「それ以上下げられない価格」のことだ。こうして価格一定の水準に安定するのは、前述のワルラス均衡そのものだ。(ワルラス的調整過程という。)

  ※ このことを理解できなければ、上の中学生向けのページを読んでほしい。

    それでもまだわからなければ、近所の中学生に教わるといい。

 

具体的な例で示そう。

たとえば、イオンは徹底的に価格を下げるので、利益率が1%ぐらいになる。これよる高くしてもいいのだが、そうすると、客が逃げるので、価格を下げざるを得ない。「これ以上下げたら利益ゼロ同然になって困るから、これ以上は下げようがない」という水準が「利益率 1%」という水準であるわけだ。

一方、セブンイレブンは、価格をあまり下げなくても、客が来る。利益率が 10%ぐらいになる。「これ以上下げたら儲けが減って悔しいから、下げてたまるか」という水準が「利益10%」という水準であるわけだ。

どっちにしても、ある程度まで、価格が下がる。これはワルラス的調整過程だ。

 

一方、全員でカルテルまたは談合をすれば、大幅に高値に設定することができる。普通市場でのカルテルは困難だが、官庁の入札では、参加者が少数だから談合によって大幅に高値を設定できる。

このような高値設定は、連続的に到達できる点ではなく、懸け離れた特異点である。したがって、談合による価格は、「ナッシュ均衡」と見なせる。ここでは、戦略によって、特異点に移行するわけだ。

 


 

以上によって、説明ができたことになる。

経済学理論と、ゲーム理論とは、まったく別のことなので、きちんと区別しよう。

特に中学で習ったはずの「需給曲線」については、きちんと理解しよう。これは決してナッシュ均衡と対比されるようなものではなく、ナッシュ均衡とは全然無関係で別の話だ。

 

 

 

p.s.

ブコメで、「ゲーム理論経済学区別する必要性は感じない」というのがあったが、それは、「戦略と、価格・数量を区別する必要はない」というのと同じで、狂人の発想だ。

 

例。

社員 「この新製品価格と数量は、どのくらいが見込めますか? 10万円で 1000台ぐらいでしょうか? もっと安くして、数量を多くしましょうか?」

社長 「ナッシュ均衡になるように、カルテルを結ぼう。それが正しい戦略だ」

 

これじゃ、会話にならないし、論理にもならない。気違い錯乱論理だ。

 

 ────────

 根本的に勘違いしている例も見られる。

ワルラス均衡は企業消費者プレイヤー生産計画と消費計画を戦略集合、利潤と効用を利得とするゲームナッシュ均衡に過ぎない

そんな発想では、プレイヤーの数が無限になり、選択肢の数も無限となり、意味不明になる、という矛盾はさておき。

ナッシュ均衡で得られるのは「戦略の均衡」であり、ワルラス均衡で得られるのは「価格と数量の均衡である」という点を理解できてないね中学校教科書を学び直すといい。

なお、「価格と数量は、戦略一種だ」と思う人もいるかもしれないが、違う。戦略は、個々のプレイヤーレベルで決まるのであり、いくらでも個別戦略の変更は可能だ。一方、市場価格と数量は、市場の全体によって決まるのであって、個別プレイヤーレベルでは決定できない。たとえば、どこかの誰かが、特別に高い価格戦略的に決定しても、その価格は、市場価格には影響せず、市場価格となるだけだ。

どうも、上記見解の人は、ゲーム理論ばかりを見て、経済学の知識が中学生ほどもないようだ。まずは、中学校教科書理解するべき。「市場原理とは何か」「需給曲線とは何か」を理解するべき。それがわかっていないから、すべてを個別プレイヤー理論解釈しようとする。

 

トラバにも、同じ誤解が見られる。

市場価格というのは、個別企業問題ではなく、市場全体によって決まる、ということを理解できていない。市場価格というのは、経済学問題であって、ゲーム理論問題ではない、ということを理解できていない。比喩的に言えば、「個人がどうするべきか」ということだけを考えていて、「国レベルでどうなるか」ということを理解できていない。マクロ的な認識ができていない。

  

 ・・・・・・・・・・・

 

しかしまあ、はてなーというのは、ゲーム理論の知識だけたっぷりとあるということは、よくわかったよ。あと、文系の知識は、中学生レベルほどの知識もない、ということも、よくわかったよ。

 

 ────────

 

なお、ゲーム理論理解できていない例も見られる。

通常2名というのはただの思い込み

 

実は、ここでいう2名とは、「自己」と「他者」のことである。「他者」は複数でもいいが、一貫して「1名」と同じふるまいをすることが必要となる。

たとえば、カルテルは、「他者」が1名として同じ行動を取ることが要請される。仮に、「他者」が分裂して、複数の行動を取るなら、カルテルは成立しなくなる。「カルテル破り」が出て、カルテル崩壊するからだ。

この意味で、通常2名という単純化モデル化)が、ゲーム理論では必要となる。一種の前提のようなものだ。

  

 ──────

 

 これだけ説明しても、まだ理解できない人の例も見られる。

選択肢の数が無限であるようなゲームなんかいくらでもあるじゃないか。

 

市場価格決定は、市場によって決まる。個別企業選択肢は、市場価格決定には影響しない。

たとえば、市場価格100円であるときに、120円という価格販売しても、それは、市場には影響しない。その企業がそういう戦略を取ることは可能だが、それは市場価格には影響しない。市場価格は、ワルラス均衡によって決まるのであって、個別企業戦略によっては決まらない。120円という価格で出した企業は、取引が成立しないので、市場外となるだけだ。

ここで論じているのは、市場価格であって、企業戦略ではないのだ。

話題となっているのは、プレイヤー戦略ではなくて、(市場における)価格決定の過程だ、という点を理解するべきだ。(企業における)価格決定の戦略無関係だ。企業価格決定は、決して均衡しない。どのような価格決定もできる。100円でも 120円でも、好き勝手に値付けできる。しかし、市場における価格は、決定される。それが均衡点だ。

価格の均衡点と、戦略の均衡点を、きちんと区別するべきだ。

 

訂正

ごめん。「ナッシュ均衡」という用語意味をよく理解してなかった。

この用語は、私が理解していたよりももっと広くて、一般的な「均衡」のことを意味していた。

私は「パレート最適」でない場合のことだけだと思っていたが、「パレート最適である場合を含んでいた。この点は用語勘違いしていたので、お詫びして訂正します。

 

ただし、「パレート最適である例を「ナッシュ均衡」という用語説明することは、ほとんどない。「パレート最適である均衡は、昔からずっと知られていたし、ナッシュ発見したり解明したりしたわけではない。市場における価格均衡も、ナッシュ以前からずっと知られていたし、ワルラスが解明していた。

したがって、市場における価格均衡を「ナッシュ均衡」と呼ぶことは、間違いではないにせよ、適切ではない。また、ナッシュ均衡の例を示すために、市場における価格均衡を持ち出すことも、適切でない。

市場における価格均衡を説明するには、「ナッシュ均衡」ではなく「ワルラス均衡」または「マーシャル均衡」という概念を出すのが適切だ。

また、ナッシュ均衡の例を示すのならば、市場における価格均衡を持ち出すのは、間違いではなくとも不適切であり、囚人のジレンマのような例を持ち出すのが適切だ。

 

私がこれまで「間違い」と指摘してきたことは、「間違い」と言うより「不適切」と呼ぶべきだった。この点は、お詫びして修正します。

 

参考:

「じゃ、どうすりゃいいのよ」

という質問には、こう答える。

市場における価格均衡を説明するには、中学生教科書のような図で説明するのが最適であり、ナッシュ均衡を持ち出すのは過剰であるナッシュ均衡を持ち出すのはは、紙を切るのに日本刀を持ち出すようなもので、中学生が基本概念理解するには重武装過ぎて、不適切。元の話の例では、ナッシュ均衡という概念は、一切必要ない。(間違いとは言わないが。)」

 

 

 

 

 

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