秋と言えば夜が長くなる時期でもある。
定番の読書ですら、あらかじめ書籍を用意しておかなければならないのだ。
だが、こおろぎがいれば。
寒い夜風を感じながら静かにこおろぎの鳴き声に耳を傾けていれば、ネットの汚い言葉で汚れた心が浄化されること請け合いである。
目を閉じ、静かに思索に耽っていれば、幸福な家庭人にはなれなくても内面の豊かな哲学者にはきっとなれる。
こおろぎは雑食で食べられるものも多く、野菜くずを適当に与えておくだけでも生存する。
たとえば映画「ラストエンペラー」のラストシーンでもこおろぎは生きているが、
あれは、あまりにも雑食で何でも食べて生き延びるため、古代中国では無限の命を持つとまで思われていたことの反映なのだ。
そこまで何でも食べるような昆虫が飼いにくいわけがないのである。
注意点としても動物性の餌が足りないと共食いしてしまうってことくらいで、それはかつおぶしを与えることで解決する。
いぬやねこといった小動物は一度飼い始めたら最後までその命に責任を持たなければならない。
だが、こおろぎなら、飽きたらそこらへんの畑や草むらに逃がしてしまえばよい。
だいたい弱者男性がモテたい三大女性と言えば、ギャル、黒髪清楚女子、オタク女、と決まっているが、
この全域をカバーできるのは日本ではほぼこおろぎ飼育しかないと言っても過言ではない。
まず、ギャルは意外性に弱い。
こおろぎを飼ってる、などと聞けばテンションもちょ~アゲアゲであろう。
「なにそれーチョーうけるんですけどー、見てみたーい」となって部屋に見に来てくれるかもしれない。
こおろぎ鑑賞は平安時代から伝わる貴族の優雅な趣味であり、古典に造詣が深い黒髪清楚女子ならば必ずや興味を引かれるであろう。
「なんて典雅な趣味を持っているのでしょう、ステキ!」となること必定である。
また、オタク女も増田がこおろぎを飼っていると知れば語らずにはいられないだろう。
「ほほうこおろぎでござるか敢えてスズムシを外しに行くあたりが増田殿は分かってますなぁもちろん日本の三大こおろぎといえばエンマ、オカメ、クロツヤ、ツヅレサセでござるが、そこでツヅレサセをチョイスするセンス感服いたしましたぞそもそもツヅレサセという名前は布を織るって意味のつづれから来ているのでござるがまるで細い糸を丁寧に織り込んでいるかのような繊細な鳴き声はまさに絶品素晴らしいセンスそこに痺れる憧れるぅ~でござるよツヅレサセはこうね他のこおろぎとはひとつ格が違うと言いますか声の奥ゆかしさが心に沁みますなあもちろんエンマの堂々としたギーッギーッという鳴き声も良いでござるがツヅレサセの鳴き声は秋という季節そのものを音にした芸術でござ
貴重な動物性たんぱく。