2024-01-14

山崎元氏追悼: まだ一般には受け入れられていない主張まとめ

「ほったらかし投資」をはじめ山崎元氏の活動は多くの個人投資家ガイドになったが、数々の主張の中にはまだ一般的には受け入れられているとは言い難いものもある。

これらを列挙して追悼したい。順番は個人投資家意思決定に影響を与えそうな順。

1. 低成長の国だからといって株式のリターンも低いわけではない

理屈上、株式には、低成長でもリスクフリー金利よりもかなり高いリターンがあっておかしくないし、マイナス成長でもそれは同じなのだ

(中略)

将来の低成長自体はその予想が株価に十分織り込まれたなら、後のリターンにとって問題ではない。

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/4007

直観的にはかなり受け入れがたい主張の筆頭。行動ファイナンス的には、その直観に抗って合理的に考えられる投資家が得をするのだろう。

2. 外国債券は、国内債券と比べて期待リターンが高いとは言えない

外国為替市場では、通貨の交換比率と金利がセットで取引されているので、高金利通貨をロング(買い持ち)しても、低金利通貨をロングしても、母国通貨ベースで期待される利回りは基本的にはどちらが高いとも言えない

(中略)

外国債券は、国内債券と比べて期待リターンが高いとは言えないのに、そこそこの大きさの為替リスクがあるので、リスクに対するリターンの割が悪いから持たなくていい

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/14921

10年債利回りが4%という2024年投資環境に刺さる主張。ただ為替理論から本当に理解しようと思うと難しすぎて私は諦めた...

3. 株式インフレ中立

長期的には株式のリターンに対してインフレは「中立」だと考えられる

(中略)

インフレから」あるいは「インフレに備えて」何か特別なことをしなければならないとか、何か有効なことが出来ると思わないようにしよう。

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/39905

投資業界の作るマーケティングストーリーに踊らされることに山崎氏警鐘を鳴らされていた。

4. ドルコスト平均法は気休め

ドルコスト平均法投資として有効リスク・リターンの関係改善している(たとえば分散投資のように)と考えているとすると、それは「勘違い」なので、正しく理解しておきたい。

(中略)

ドルコスト平均法が、「ゆっくりリスクを取っているだけだ」ということと、「買った後のリスクは縮まないし、積み立て後半には、リスクが過大になっていないか注意が必要だ」という2点を押さえておいてほしい

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/24299?page=5

ドルコスト平均法に説得されて積立投資を始めてみようと思った人にはショッキングな主張。ただ害もあまり大きくないと感じたのか、晩年山崎氏ドルコスト平均法に対する態度をいくぶん軟化されていた印象。

5.「ハイリスクハイリターン」の原則為替取引コモディティなどのゼロサムゲームには通用しない

ハイリスクハイリターンの原則」と呼ばれるのは、リスクが大きな資産は平均的なリターンが大きくなるよう市場価格形成されるということなのだが、この対象になるのは、株式債券不動産への投資のように、生産活動お金(≒資本)を提供する際の価格だ。

(中略)

市場で売り手と買い手が「ゼロサム・ゲーム的」に将来の価格を当てる競争をする構造マーケットでは、「ハイリスクハイリターンの原則」は働かない。

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/32090?page=3

山崎氏プラスサムゲームを「投資」、ゼロサムゲームを「投機」と呼んで区別されていた。常々おっしゃっていた「投資リスクプレミアムのコレクションである」という主張とも通じる本質的な教え。

  • ドルコスト平均法については、共著者の主張に妥協したんでしょう。

  • かつての山崎元は、インデックスファンドすら攻撃してた時期がある。 https://plaza.rakuten.co.jp/isyamazaki/diary/200601060002/?scid=wi_blg_amp_diary_next たしか、当時の山崎元のおすすめは、大型株をい...

    • そういやしょっちゅう外してたね、本筋の記事の方 読んでると納得してしまいそうになるのが厄介なんだこれが

    • 昔は手数料が高かったねん。あと、トラッキングが不完全だし、なんならインデックスの手数料も加味しないといけないから、自前でできるひとならインデックス投資しなくても良いの...

      • 当時の山崎元にしてみれば、リスクプレミアムだけなので、どの指数でも期待リターンは同じで、入れ替えというコスト(それにつけ込まれる隠れコスト)があるから、 「入れ替えないガ...

  • 長期的には株式のリターンに対してインフレは「中立」だと考えられる インフレに備えるなら現金ではなく株式で持つべきという言説はよく聞くが、インフレの懸念を織り込んで株価...

  • ヤマゲン、割といいかげんなこと言うし、学術的にはおかしいとされていることも言うからな。

  • ドルコスト平均法は新NISAが重要なマス層~アッパーマス層の普通の人間は20代以降の資産形成期のキャッシュフローからちまちま積み立てていくことになるので、一括投資の場合のリス...

  • 多くの大して市場のお勉強する気のないボンクラにとって気休めは重要だけどね だいたい失敗する人は気が休まらなくて辞めちゃうんだから

  • >低成長の国だからといって株式のリターンも低いわけではない 上場廃止株でも同じことが言えるか?FXと変わらない

    • その通り! オルカンも上場廃止になる!!!NISAで破産!!! 政府の陰謀!!!

  • >5.「ハイリスク・ハイリターン」の原則は為替取引やコモディティなどのゼロサムゲームには通用しない CAPM理論的にそうなるのか?それともCAPM理論が適用できない、または、間違え...

  • 「金融マンの金はバイ菌の菌」 も挙げといてよ。

  • 間違っているかもしれんが、ワイの意見を書くね。 1. 行動ファイナンスは個人の振る舞いを説明するもので、企業の株価や利回りを予想するものでない。そりゃ、国力と株価のアンマッ...

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