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パッと見、ボラティリティの小鬼に言及している人がいなさそうなので書いとく。
長期投資(※ここ重要!)でオルカンやS&P500を勧められる理由は、ボラティリティの小鬼を調子づかせない範囲でそれなりのリターンを得られる可能性が高いからなんやで。
あの連中、たかだかNASDAQ100ぐらいでも小鬼じゃなくて中鬼になるからなあ。
ボラティリティの小鬼について、ネット上で分かりやすいのは↓のページの「リスクが資産をむしばむの図」かなあ。
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2017/01/post-ddd0.html
リスク資産って、原理的にはボラティリティ/リスク分の価格の上下変動を繰り返すことで資産が目減りするのよ。
例えば、インフレを考慮しないと仮定すると、平均期待リターンが0%の無リスク資産は目減りしないけど、平均期待リターンが0%のリスク資産は目減りしていく。
で、ボラティリティ/リスクが大きいリスク資産であるほど、目減りする分量が大きくなっちゃうわけ。
この、価格の上下変動の繰り返しによって資産が目減りする現象を、「バイ・アンド・ホールド時代の終焉」という本ではボラティリティの小鬼と呼んでいる。
加えてワイは、ボラティリティ/リスクが大きくなるほど目減りする分量が大きくなることを「中鬼になった」とか「大鬼に化けた」と言っている。
現実のリスク資産が増えていく(ことが多い)理由は、目減りする分量を上回る期待リターンが得られるからだ。
とはいえ、信託報酬率や総経費率は低い方が良いのと同じく、ボラティリティの小鬼の影響だって小さい方が良いわけだ。
じゃあどうすればよいのか?
アセットアロケーションやポートフォリオを工夫して、ボラティリティ/リスクを小さくしつつもそれなりにリターンが得られるようにすればOK。
ボラティリティ/リスクを小さくする唯一の方法は分散投資やね。
「ここ100年ぐらいは金や債券よりも株式のリターンが高かった。今しばらく(今後20~30年ぐらい)はこの傾向が続くのではないだろうか?」という立場をとるならば、例えば株式100%でいくなら「株式の中で分散させる」ことでボラティリティ/リスクが小さくなる。もう少し安全に行きたいなら、株式に債券・REIT・金などを加えて「アセットクラスを分散させる」ことでボラティリティ/リスクがより小さくなる。
いわゆる「教科書的なインデックス投資」は両方を組み合わせている。
株式については全世界株式に分散させるし、アセットクラスも最低でも「株式と債券」に分散している。
(「株式と債券」は主にアメリカ国内向けのアイデア。米国債は低リスクなのにインフレをしのげる程度のリターンが得られるからね。日本では低金利すぎてインカムゲインとしての国内債券が息をしていない上に、今後の金利上昇見込みでキャピタルゲインとしての国内債券もダメダメで、加えて外国債券は為替リスクが高くてリターンに見合ってないので、泣く泣く債券の代わりに預貯金や個人向け国債を選択する人が多い)
「株式の分散」という文脈では、オルカンのような全世界株式が本流で、実のところS&P500やCRSP US Total Market Indexは傍流。
オルカンに比べればS&P500は集中投資の側で、そこには「なんやかんや言うても、ワイが資産運用し続けるだろう今後20~30年ぐらいは、アメリカはんも好調ちゃいます?」という暗黙の市場判断がある。
それで、「アメリカはんも好調ちゃいます?」というインデックス投資家でも、十中八九S&P500やCRSP US Total Market Indexを勧めるのは、やっぱりボラティリティの小鬼がちらつくからなのよ。
たかだかNASDAQ100でも、長期投資ではボラティリティ/リスクが大きすぎて小鬼から中鬼になっちゃう。
NASDAQ100やFANG+のようなおやんちゃなインデックスは、短~中期ぐらいの視点で売買して市場のうねり取りに使うのが正しい。長期投資向けにガチホするのはNG。
だから、長期投資前提のインデックス投資家の場合、NASDAQ100やFANG+を持ち出す際にはコア・サテライト戦略みたいに「最低でも2階建て」の方針を打ち出すはずだ。
1階ではS&P500やCRSP US Total Market IndexのETFをガチホしつつ、2階以上の部分でセクターETFやおやんちゃなETFで短~中期投資する――みたいな感じだよね。
ところでインデックス投資による長期投資における期待リターンは「20~30年ぐらいかけて、運用資産を1.5~2.0倍にする」ぐらいのマターリ進行なので、なんやかんや言うても必要な種銭が多いのは事実。
だから10~20代ぐらいの時期は、貯蓄やインデックス投資は少額にとどめつつ、人的資本に投資して稼げるようになった方がよいと、おっちゃんは思うよ。
人的資本への投資に時間を集中させるためにも、株式投資するならほったらかし投資が可能なオルカンないしS&P500でのインデックス投資にとどめておくのが無難やね。
1. 行動ファイナンスは個人の振る舞いを説明するもので、企業の株価や利回りを予想するものでない。そりゃ、国力と株価のアンマッチなんてアラムコをみればわかるでしょ。
2. 外国債券と国内債券の利回りはその国の公定歩合にリスクプレミアムを加えたものになる。そして、それは通貨の流動性のある国ではアービトラージされることで為替によって無意味な差となる。ただし、これは金融危機のない場合に限る。
3. 株式はインフレに中立は厳密には嘘だと思うが、それでも通貨やモノに比べれば相対的には中立だとは思う。デフレ下では、株価がヤバいのは昨今の日本では周知の事実。
4. ドルコスト平均法は逆説的に言えば、投資に貪欲でなかった人にとっては機会損失を意味するからね。マクロで見たら受精した瞬間から投資しないのは不勉強だったというわけ。
5. ゼロサムは参加者のB/S を積分すると損も利益もないという話じゃなかったけ?分散してリスクを下げて時間をかけて儲けようというのは、努力というか、なんというか投資とは思えんよな。気持ちはわかる。
「ほったらかし投資」をはじめ山崎元氏の活動は多くの個人投資家のガイドになったが、数々の主張の中にはまだ一般的には受け入れられているとは言い難いものもある。
これらを列挙して追悼したい。順番は個人投資家の意思決定に影響を与えそうな順。
理屈上、株式には、低成長でもリスクフリー金利よりもかなり高いリターンがあっておかしくないし、マイナス成長でもそれは同じなのだ。
(中略)
直観的にはかなり受け入れがたい主張の筆頭。行動ファイナンス的には、その直観に抗って合理的に考えられる投資家が得をするのだろう。
外国為替市場では、通貨の交換比率と金利がセットで取引されているので、高金利の通貨をロング(買い持ち)しても、低金利の通貨をロングしても、母国通貨ベースで期待される利回りは基本的にはどちらが高いとも言えない
(中略)
外国債券は、国内債券と比べて期待リターンが高いとは言えないのに、そこそこの大きさの為替リスクがあるので、リスクに対するリターンの割が悪いから持たなくていい
米10年債利回りが4%という2024年の投資環境に刺さる主張。ただ為替の理論から本当に理解しようと思うと難しすぎて私は諦めた...
長期的には株式のリターンに対してインフレは「中立」だと考えられる
(中略)
インフレだから」あるいは「インフレに備えて」何か特別なことをしなければならないとか、何か有効なことが出来ると思わないようにしよう。
投資業界の作るマーケティングストーリーに踊らされることに山崎氏は警鐘を鳴らされていた。
ドルコスト平均法が投資として有効にリスク・リターンの関係を改善している(たとえば分散投資のように)と考えているとすると、それは「勘違い」なので、正しく理解しておきたい。
(中略)
ドルコスト平均法が、「ゆっくりリスクを取っているだけだ」ということと、「買った後のリスクは縮まないし、積み立て後半には、リスクが過大になっていないか注意が必要だ」という2点を押さえておいてほしい
ドルコスト平均法に説得されて積立投資を始めてみようと思った人にはショッキングな主張。ただ害もあまり大きくないと感じたのか、晩年の山崎氏はドルコスト平均法に対する態度をいくぶん軟化されていた印象。
「ハイリスク・ハイリターンの原則」と呼ばれるのは、リスクが大きな資産は平均的なリターンが大きくなるよう市場で価格が形成されるということなのだが、この対象になるのは、株式や債券、不動産への投資のように、生産活動にお金(≒資本)を提供する際の価格だ。
(中略)
市場で売り手と買い手が「ゼロサム・ゲーム的」に将来の価格を当てる競争をする構造のマーケットでは、「ハイリスク・ハイリターンの原則」は働かない。
山崎氏はプラスサムゲームを「投資」、ゼロサムゲームを「投機」と呼んで区別されていた。常々おっしゃっていた「投資はリスクプレミアムのコレクションである」という主張とも通じる本質的な教え。
みたいなデマが回っているので、この分野の素人だけど解説しておくよ。
※文中の数字は、公開されている最新の報告書 (2021年3月版) を使用。
元ネタは多分これだけど、大きな勘違いがあって、これは2025年6月28日満期の社債保有者の情報。
https://pbs.twimg.com/media/E_ftoK3UYAY5-YW?format=png&name=medium
社債でも保有上位に入っていて危ないんじゃない? と思うかもしれないけど、「2025年6月28日満期の社債」を少し多めに買ったから上位に浮上しているだけなので、全体としての割合は低い。そもそもGPIFが保有する恒大集団の社債は約59億円でしかない。
※なぜ「2025年6月28日満期の社債」という画面があるのかというと、債券 (社債含む) は種類 (募集ごと) に参照・集計することが多いため。これがせいぜい数種類しかない株式とちょっと違うところ。
GPIFが保有する恒大集団の株式は約28億円、社債は上で書いたように約59億円で、これを合わせてもGPIFの保有する資産の0.005%弱。仮に恒大集団が倒産して資産が全く残らず株も債券も紙くずになった場合、影響はゼロではないけどほぼ無いと言って差し支えない。(これが直接影響して年金の原資が無くなったり、将来の年金が減らされるということは無いので心配は要らない。)
新興国株式・債券は先進国のそれと比べると高リターンだから。もちろんリスクもそれなりに高めなので国・銘柄単位で分散投資してリスクコントロールしつつ、程々の利益を上げている。(全体の25%が鉄板の国内債券、25%が外国債券なので、かなり手堅い運用。)
ちなみに中国以外の新興国、たとえば韓国も投資対象になってるよ。
以下は今年3月のGPIF報告書から抜粋・整形したもの。債券の後ろに付いているのが満期日で、"28JUN25" の数量 16,912(,000) が先ほどの画像にある Position の数字に合致していることが分かる。
種別 | No. | 銘柄コード | 銘柄名 | 数量 | 時価総額(円) |
外国株式 | 661 | KYG2119W1069 | CHINA EVERGRANDE GROUP | 13,283,000.00 | 2,794,158,107 |
外国債券 | 2072 | XS1982040641 | CHINA EVERGRANDE GROUP 10.5PCT 11APR24 | 15,631,000.00 | 1,626,686,580 |
外国債券 | 2073 | XS2106834299 | CHINA EVERGRANDE GROUP 11.5PCT 22JAN23 | 10,114,000.00 | 1,075,041,389 |
外国債券 | 2074 | XS1627599498 | CHINA EVERGRANDE GROUP 7.5PCT 28JUN23 | 16,340,000.00 | 1,591,910,882 |
外国債券 | 2075 | XS1580431143 | CHINA EVERGRANDE GROUP 8.25PCT 23MAR22 | 402,000.00 | 42,382,261 |
外国債券 | 2076 | XS1627599654 | CHINA EVERGRANDE GROUP 8.75PCT 28JUN25 | 16,912,000.00 | 1,527,167,672 |
外国債券 | 2077 | XS1982036961 | CHINA EVERGRANDE GROUP 9.5PCT 11APR22 | 402,000.00 | 44,625,178 |
Source: https://www.gpif.go.jp/operation/last-years-results.html (2020年度の運用状況) - https://www.gpif.go.jp/operation/unyoujoukyou_2020_15.xlsx (保有全銘柄(2020年度末)[EXCEL:1.4MB])
年末,友人と集まってこの話をした.
たいして珍しくもないありふれた話だとは思うが.
自分の父は,最近になって日本株の投信をかなりの額,買ったらしい.それも大手証券の電話での勧誘に応じてだ.バカ高い手数料を払い,これまで日経平均以下のパフォーマンスしか残してない投信を,これだけ日経平均が上がった時期にだ.数年前,インデックス投資を勧めた時には,日経平均は大きく振れるから怖いと言っていた父がなぜこの時期そんなものに手を出したのか不思議だったが,勧誘してきた証券会社の今年の超強気の日経平均予想が根拠らしい.父は実は前にも,日本企業の豪ドル建社債(円安で儲かった)や,途上国の企業にロング・ショート両建てで投資するファンド(損した)を買っていた.よく言われる話だが,大手証券の営業って,客が取れるリスクとか,金融理論的にベストと考えられる運用(リスクに応じて,内外国債,内外株に分散投資)なんて一切考えずに,とにかく手数料が高いものを回転することしか考えてないんだなあというのを実感した.
友人Aの親は土地持ちだが,最近,某大手不動の勧誘で,土地を担保にアパートと貸家を建てたらしい.27年で投資分が回収できるらしいが,ほとんど家賃が下がらないという前提での試算とのこと.静岡の都市部でも田舎でもない場所だが,今後凄いスピードで人口減少が進む中で,まず損をするだろう.彼の家は相当資産あるらしいので,大したダメージではないかもしれないが.
このまま2,000万円寝かせるのも癪だから、
「20年後の65歳まで複利で運用され、65歳で一括で受け取れる」
ないし
「65歳以降、年金的に受け取れる」金融商品を探しているが、あまりないんだな。
ワンルームマンションとかの不動産投資だって、毎年分配金が出ちゃう。
唯一、終身生命保険がそれに近い性格の金融商品だが、建てつけが「生命保険」だから、
でこの前健診結果を出したら、「メタボですから、余分な保険料支払が必要です」と言われた。
だから、20年間分配金が出ず、20年後に元本+複利効果の分配金が出るような投信とかがあれば
非常にありがたいんだが、誰かそういう商品、知らないか?