2023-10-28

鶏肉ザクロ煮が失敗したけど美味かった

家に死んだじいちゃんが残したザクロの木がある

今年は天候のせいかたくさんザクロの実がなった

しかし、うちの家族は誰もザクロを食わない

ザクロは一粒一粒に種が入っているので食うのがめちゃくちゃ面倒なのだ

一粒取って、口先のあたりで指で実を潰して液を飲んで、種を出すみたいなのを100粒連続でするのが嫌だから

ただ例年は木に二、三玉なれば多い方なのだけど、今年は10玉以上なっていて、何ならいまだ小さい玉が増え続けている

さすがに放っておくのはもったいないかと気まぐれに一玉とって、ジュースにした

厚い皮を剥いて、ボールに一粒一粒とる

赤い粒に付着した白い皮をなるべとり、水に浸して浮いてきた皮やカスを取り除き、ざるで水を流す

すり鉢に水気を切ったザクロの粒を入れてすりこぎでつぶし、小さな粒の中の果汁をもれなく押し出していく

最後はざるで濾して、ようやく小さな湯呑一杯分くらいのピンクの液体となった

風呂上がりに冷やしておいたザクロジュースを飲むと、これがまあ美味かった

甘さとすっぱさのバランス絶妙で、口に何の嫌味も残らない

ザクロ特有香りなどを感じるわけではないが、あまりにもすっきりとしたのみ心地で、風呂上りにぴったりだった

母にジュースにしてみたら美味かったよというと、母は5玉ほどを一生懸命剥いて、ミキサーで種とジュースに分離し、少し砂糖を入れて煮ていた

そのザクロジュースゼリーを作っていたが、これは失敗だった

正直美味しくはあったのだが、ザクロ自体香りやコクなど強い個性があるわけではないので、清涼飲料水を固めたみたいな味のゼリーになってしまっていた

ゼリーにするには砂糖を入れないと甘さが足りないと思うが、そのせいでザクロスッキリとした持ち味が失われている」というのが私の感想で、母も苦労して作った割には個性のない味だと同意していた

余りにも料理するには手の込む食材だと難儀していたのだが、ネット鶏肉ザクロ煮というアルメニア料理があると知り、作ってみた

簡単に言うと、皮付きの鳥のもも肉を塩コショウよく焼いて、鶏油を取り出し、その鶏油玉ねぎクミンを炒め、そこに鶏肉を戻して、ザクロの実と白ワインをくわえて煮込むというもの

仕上げに生のディルパクチーをちぎってのせて、生のザクロの実をひとまみかけて完成

大体調理に1時間半くらいかかった

味付けは塩コショウクミンだけというシンプルさながら出来上がったソースは絶品だった

甘酸っぱいカレーソースと言ってしまえばそれまでだが、口当たりがよく、何口でも食べたくなる

クミンの複雑な香りがあり、鶏油のコクがあり、それでいてザクロスッキリとした風味がクセをなくしている

バターチキンカレーからバター唐辛子トマトニンニクショウガヨーグルトも抜いているようなレシピなのに、「このソースってバターチキンカレーの味に負けてなくないか?」と思った

何なら辛みもないのでより口に運びやす

甘みも酸味もちょうどいいのでご飯にかけても不自然さはなく美味い

生のディルパクチーの青臭い香り薬味として機能しているのは、料理自体に甘さがあり、スパイスクミンしか使っていないから生のふたつのハーブ香りを足しても香りが複雑になり過ぎないからだろう

ゲテモノかなと思って調理したが、材料選択無駄のないレシピの完成度を感じる結果となった

しかし、私自身の調理でいくつか失敗だったなと思う点がある

まずはザクロの粒をそのまま使ってしまった点だ

煮込めば中の種も柔らかくなり、種の苦みがスパイスのように感じさえするとレシピでは紹介されていたが、アルメニアとはザクロの種類が違うからか、火の加減を間違えたからか、ザクロの種は食すのに邪魔になるくらいの硬さになってしまった

これは次回はザクロの粒を絞ってジュースにしてから料理に使うことで改善できると思う

二個目の失敗点は高めの地鶏を使ってしまたことだ

食ってわかったが、この料理鶏肉を柔らかくした方が美味い

硬くて味の濃い地鶏より柔らかいブロイラーの方がたぶん美味くなると思った

三点目の失敗は鶏肉を煮る際にあまり煮汁に浸っていなかった点だ

これは火加減の間違いともかかわるかもしれないが、ソースの味があまり鶏肉自体には染み入っていなかった

煮込む際に鶏肉が鍋の下の方に行くように調整すべきだったし、その方が鶏肉自体も柔らかくなっただろう

今回は一枚肉をそのまま使ったが、一口大にした方が火も味も入りやすいかもしれない

ハーブ白ワインや何よりザクロはまだ残っているので明日にでもまた作り直してみようと思う

秋口の定番にしてもいいなと感じるほどの料理だった

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