2023-08-27

なんでラーメン屋ダメで酒メーカー地名等で商標登録していいの?

AFURIの件で、「地名商標として権利取れるのはおかしいだろ」という声をよく見かける。

これはある意味正しい考え方で、商標法の規定としても「その商品産地、販売地・・又はその役務提供場所・・・

普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができないとされている。

 

(これは逆に、その商品の産地と広く認識されていない地名であれば商標登録できる可能性がワンチャンあることを意味する。

 ラーメンとしての「阿夫利/AFURI」は、ラーメンの産地として当時広く認識されているわけではなかった事情から権利取得できていると思われる。)

 

自分が腑に落ちないのは、ラーメン屋も酒蔵も、地名を押さえるような商標登録やめろ!」ならわかるけど

ラーメン屋はやめろ!(酒蔵の商標出願はスルー)」な論調なのはなぜか?という部分。

 

商標ルールでは、「外観(見た目)・称呼(読み)・観念意味合い)」の3要素で、登録商標製品類似関係判断する。

まり酒蔵側の「雨降・あふり」が登録になると、他の酒蔵は「あふり」という読みをする単語商品に表示することに一定の制約ができてしまう。

これはお前らの言ってる地名を独占することとどう違うの?

 

その辺を考えずに酒蔵をスルーして、ラーメン屋だけ叩いているブクマカ視野が狭いので、

からでも両方叩く内容か、どちらも叩かないような内容にブコメ書き換えたほうがいいよ。

 

以下、想定問答

Q.ラーメン屋がお門違いの清酒メーカー差し止めを求めるのは権利濫用なんじゃないの?

A.今後日本でも酒を販売する計画があるとのことだけど、ラーメン屋側は少なくとも海外では実際に酒を販売してる実績はあり

 使用意志ゼロではないことは証明できると思われる。

 「トロール」と呼ばれる全く分野に関係ない人が権利だけ持ってるのとは事情が違うはずだよ。

 

Q.酒蔵は地域のことを考えて権利行使しないか権利持っていいんだよ

A.一私企業に過ぎない酒蔵がいつ方針を変えるかなんて誰もわからないよ。

 本件でも、酒蔵のオーナーが別の本業を持っている会社チェンジしたので。

 

Q.ラーメン屋側も自分が出す商品以外まで権利取る必要はないだろうが!

A.自分商品だけじゃなく、類似商品サービスまで広げて権利を取得するのは普通のことだよ。

全然違う会社に「八海山」ってサイダー出されたり居酒屋出店されたりしたら、絶対八海山酒造の製品だと誤認する人出るやろ?

 

Q.予定があるにしても、今出してない製品商標権を取れるのはおかしいやろ!

A.発表後や発売後に取ろうとすると、悪意を持った第三者に先に商標権を取得される恐れがあるので、

製品発表前に出願して、商標権が取れたことを確認できてから発表や発売をするのは普通のことだよ。

(これは今回の問題で、酒蔵側のコンプライアンスケアが不十分だった部分)

アップルみたいな大企業だって、新製品名前を発表前にいかにバレずに商標出願するか苦心してるし、

年商標バレする東映の新しいライダープリキュアも、発表前に商標出願することで第三者の悪意の取得を防ぐ工夫の結果なので。

 

そもそも商標権が取れるかどうかわからない段階で製品発売しなきゃいけないルールだったら、誰も独自名前をつけないようになって産業が阻害されるよ。

そのために不使用取消審判請求制度があるよ。

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