2021-02-27

ナンパ師の講座を思いがけず受けた雑記

繁華街カフェで席を探していると、二十代と三十代くらいの男性二人組の隣の席が空いていたのでそこに腰を下ろした。

こういうところではよくマルチ勧誘に遭遇することができる。二人をひと目見た時点で、二十代の男性(Aとする)が何かを三十代の男性(Bとする)に教えていることがわかった。

これは絶対きな臭い話だぞ。野生の勘が働いて、いつもなら音楽を聞いているところだが、二人の話に耳を傾けてみた。だんだんと内容が聞こえてくる。最初恋愛マインドみたいな話なのかな、と思った。なぜならAは雰囲気イケメンで、Bは格好こそどうにかしようとしている感はあるが、だからこそ、その「どうにかしようとしている感」が出てしまっていて惜しい雰囲気だったからだ。ただ、この言葉が出てきた時点で違う、とわかった。

「個室搬送」つまり部屋なりホテルなり満喫なりなんなりに女性を連れ込む、ということだ。すげーな。荷物かよ。あまり耳馴染みのない単語に惹かれて実況ツイートし始めてしまった。

曰く、個室搬送するためには迷いを挟ませないためにもルートを必ず決めるべきとのこと。行く店、入るホテル、そこに向かう道。一瞬どこにしようか、と考えただけで、女性が我にかえり、成功率が下がる、とのこと。

その後は物理的な距離気持ち距離の詰め方の話をしていた。以下に簡単に要点とその例を順不同で箇条書する。

嫌悪感を抱かれないためにボディタッチのためのボディタッチをしない。

身長の低い子には「ちっちゃいんだね、顎載せられそう」などと言って実際に載せ、自然に近づく。

・主導権を握る。女性意見は聞かず、大枠の主張を通して、細かい二択のみ女性に選ばせて自分意志が通っている風に見せかける。

ホテルに行く、というところは女性が仮に「居酒屋に行きたい」と言っても譲らず、その道中のコンビニで「どっちの飲み物がいい?」と言って選ばせ、自分選択した、という意識を持たせる。

・強引に主張を通すのではなく、妹扱い、お姫様扱いをして上下関係を作る。上記のような主張を通りやすくする。

→足元に注意するように、など気遣う(振りをして下に扱う)

・和みの会話、恋愛の会話、性の会話で距離を詰める

和み︰狭い共通点から同族意識理解者のような立場を作る

恋愛︰失敗談で近づく。女性元彼を責めたら、それを受けつつ少しだけ元彼を上げる。そうすると女性が更に元彼悪口を言うので、そこで女性肯定する。一旦女性には元彼自分でこき下ろしてもらうと効果的。

性の会話︰どぎつい経験を話す。相手からもそう言った引き出せると、ガードを弱められる。

上記の三段話法は身構えさせないためになるべく区切りなくつなげる。

話題は3-4つ投げれば1個は共通項にできる。薄く知ってるだけで言葉尻で会話を合わせることは可能

・決めつけることで相手に「自分理解者かもしれない」と思わせることが大事。そのために、見た目などから女性系統理解して、その層に人気があること、フックにできそうなことの知識を持つ。

真剣相手の話を聞く必要はない。表面上の共感で十分。

聞けば聞くほど、どこかで聞いたスピリチュアル洗脳入り口か??という気持ちになった。バーナム効果の話もしていたし、総じて割とありふれた話であった。

要は「運命は作れる!」ということだ。以前中途半端な知り合いに言われた「お前は強がっているだけ。俺はわかってるよ」がどこからまれてきたのかを見た気がする。やめてくれ。

インスタントに寝られる女性を探しているから、インスタント理解(っぽい何か)で十分なのだろう。あの相手小馬鹿にした話法で女性が釣れるとしたら、多分男性側も女性を見下すようになるだろう。それらが行き着く先はミソジニーではないだろうか。なにも進んで地獄に行かなくても、と思う。なにより、そもそもそんなことができなさそうなくらいにBが真面目そうな顔をして話を聞いていたのがなんだか痛かった。この心理学入門にいくら払ったんだろう。

このあと二人は街に消えた。今度は実地で教えるらしい。お兄さん、その道は茨じゃないですかね、多分。そんなことを言えるほど優しくもないので黙っておく。

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