今流行りの、真田様(Twitter @sanada_jp)が描かれている同人女の感情シリーズの漫画、実に面白い。立場の異なる様々な同人女の心境をそれぞれの視点で描いてくださっていて、共感することもあればそういう考え方もあるんだと気付かされることもあり、楽しませて頂いている。しかし、お陰で私という同人女は数年前の憎悪に近い感情を思い出したのでここに吐き出す。数年前、私が過ごしていたジャンルに突如綾城さんのような方が現れて、ジャンル全体の雰囲気が一変してしまったときの話である。
その方をここでは彩城さんと呼ぶ。彩城さんはいわゆる神絵師で、フォロワーは5桁、一つ絵をアップすればいいねが3桁は当たり前、という方だった。一枚絵はめちゃくちゃ綺麗だし、漫画も頻繁に描かれていた。質が高いだけでなく筆も早くて数日に1回程度は作品をTwitterに上げていたと思う。そんな方が当時の自ジャンルに現れたのだ。自ジャンルはとあるソシャゲで、時期的には旬だったのかもしれないけど人口はそんなに多くないってなジャンル。あまり詳しく書くとバレそうで怖いのでこのへんにしておく。私も同人女の端くれとしてたまに作品を上げてフォロワー同士でいいねを押しあったり、新作イベのストーリーやガチャで一喜一憂したりととても楽しく過ごしていた。そんなところにある日突然彩城さんが舞い降りた。
RTで回ってきた作品の素晴らしに息を呑んだ。どこかの神絵師様が友人リクエストとかで気まぐれに描いたのかな?とそのときは解釈した。しかし度々RTで神作品が回ってくるものだから彩城さんのホーム画面を覗きにいくとなんとそのジャンルにハマったという。気づけば私の相互フォロワーたちも既に数名が彩城さんのフォロワーになっていた。私もフォローした。彩城さんのパワーはすごかった。先ほども書いたように高クオリティの作品を高スパンで上げるし、萌え語りも面白い。そのジャンルの新しいフォロワーとも、前ジャンルと思われるフォロワーとも直リプなり空リプなりしまくっていた。(本物の綾城さんはおけパ以外と絡んでるところはあんまり見たことないけれど、この彩城さんは周りと絡みまくるタイプだった。)
素敵な方がこんな弱小ジャンルにやってきてくださった!と始めはただただ嬉しく思っていた。しかし、ちょっとずつ異変が起き始める。周りの人たちが、彩城さんのCPに引っ張られていく。私はA×Bが好きだったのだけれど、彩城さんはB×A派だった。まあ私はA×Bといいつつも左右完全固定というわけではなく逆も摂取するので、彩城さんの作品も楽しく見させて頂いた。しかし周りはどうだ。A×B仲間だったはずが「最近はB×Aを見るようになってむしろそっちにハマってしまった」という人、全然違うカプだったはずがB×Aにハマった人…マイナーというほどではないけど少なくとも最大手ではなかったはずのB×Aが、見る見る大手に名乗りを上げてしまった。でも、それほど彩城さんの作品は魅力的だった。キャラや世界観の解釈にやや甘い部分はあったけれど(歴が浅いのだから仕方がない)、原作破壊というほどでもなく絶妙に独自の世界観が差し込まれていて、読んでいて心地が良かった。悔しいながらも「こういう人を神絵師様っていうんだなー」と、唐突に自ジャンルに彗星が如く現れた存在を尊敬するような達観して見ているような目線で見ていた。
しかしこの彩城さん、ジャンル移動が激しいタイプだったのである。(綾城さんを見ていても結構ジャンルを行ったり来たりしている印象があるけれど、神様たちってそういうものなのだろうか。)彩城さんにフォロワーがとても多いのも、神作品たちによって見た者のハートをがっちり掴むということもあるけれど、各ジャンルを渡り歩いて各界隈でのフォロワーたちをがっちりハートキャッチしてきた成果だったのだ。そして今回もまた、我がジャンルで創作してはいいねを総ナメにしていって一年弱くらいで去っていった。公式自体の勢いが縮小した影響もあるけれど、ほぼ同時期にジャンル移動する人が続出した。そのとき私は、「自ジャンルが破壊された」と感じた。残されたのは、B×A(元々私の逆カプ)の人口が微増し、ジャンル全体として人口が減少した気がする自ジャンルであった。公式縮小の影響もあるから彩城さんだけの責任ではもちろんないのだけれど、そのときはめちゃめちゃに彩城さんを恨んでしまった。一緒に活動してた相互さんたちはそのまま自ジャンルに残りながら彩城さんのツイッターはフォローし続けてる人、彩城さんの次ジャンルに引っ張られた人、色々いた。私は自ジャンルを破壊していった(と当時思っていた)彩城さんが別ジャンルで楽しそうに活動している様子など見たくないのでブロックした。
今ではさすがにその憎悪も落ち着いたし、その後私もしばらくしてジャンルを移ったのだけれど、もしも初めから彩城さんが現れなかったらどうなっていたのかなと今でも考えてしまう。彩城さんは別に何も悪くないし逆恨みなのもわかってるけど綾城さんを見ていたらそんなことを思い出してしまった。綾城さん、作者の真田様、勝手に名前をお借りしてお気持ちを吐いたご無礼をお許しください。