2019-07-25

京アニ事件ニセ科学容認するメディア社会が生み出した

京アニ事件、あれ、青葉真司容疑者は明らかに統合失調症だよね。

統合失調症は、人口の約1%が生涯の間に一回はかかる、非常に患者が多い病気日本全体で100万人近くいる。遺伝環境の影響は確かにあるが、可能性のある遺伝環境要因を全部取り除いても、発症率は大きくは下がらない。つまり、予防はできない。

定期的な投薬で症状を寛解させるしかない。これも個人差が多く、投薬ですぐになおって一生再発しない人もいれば、投薬すれば症状は緩和されるものの薬止めたらすぐ再発とかいうケースもある。

だが、薬を飲めば多くの人が一時的に症状はよくなる(良くならない人もいる)。

厄介なのは個人差が大きく、原因も治療法もとにかくハッキリしない病気だってこと。理解するのに科学リテラシー要求される疾患。

遺伝環境の影響はあるが、完全に遺伝環境けが原因ではない。遺伝環境があると発症率が何倍・何十倍になるとかいう報告はあるんだけど、「これがそろったらほぼ確実に統合失調症になる」みたいな原因もない。以前、統合失調症は「遺伝にあまり影響しない」と書いたら、「あまり」って書いてて影響することはあるということをにおわせてるのに、「遺伝関係するぞ!!!嘘をつくな!!!」みたいに粘着されたことがある。

薬で多くが寛解すると書いたら、これも「多く」って書いてあるのが読めないのか、「寛解する奴の比率はそんなに多くないぞ!嘘をつくな!!!」と粘着されたこともある。症状で薬を飲まなくなってしまう人の比率が非常に多い病気なので、薬を飲んだことが確認できた場合に症状がどれだけ寛解するか、の話をしているのか、薬飲まなくなってしま場合も含めてどれだけ症状が寛解するのかという話をしているのかで、全然意味が違う。

青葉真司容疑者が定期的に投薬治療を受けていれば、あん凄惨事件は起こさなかったかどうか…は分からない。分からないし、医者は「分からない」としか答えたくないだろう。だが、その可能性は相当に高い。おそらく、適切な投薬治療管理下にさえあれば、95%ぐらいの確率で、あの事件は防げたのではないか、と個人的には思っている。だが、この国の行政システム医療システムは、統合失調症患者に投薬治療を施すサービスがとにかく弱い。彼は生活保護などの経済的サービス享受できたが、せっかく薬があるのに、投薬治療サービスを国は彼に提供できなかった。そして、事件が起きた。

今回の事件で、ちゃん統合失調症患者に投薬治療を届けるような仕組みが出来上がればいいが、これも95%ぐらいの確度で、日本真逆の方向に進むだろう。「真面目な青年が突然アニメゲーム豹変」とか「幼少期の家庭環境が悪くて豹変」「被害者被害者遺族の感情」というストーリーが大好きで、ちゃんとした科学的な原因分析をしないメディアの食い物にされ、全く有効でない対策しかとられないだろう。そして、統合失調症患者を丸ごと悪者にする自己責任論が跋扈して、「あん凄惨事件を引き起こす人間に、タダで薬をあげて甘やかすとは何事か!」みたいな意見が通り、統合失調症患者に薬は届けられなくなるのではないか…と思っている。

そして、5年後~10年後に、第二の京アニ事件がきっと起きて、またメディア非科学的なストーリーを垂れ流して、世論統合失調症患者全体に敵意を向ける…その繰り返しになるのが目に見える。

  • 障害と事件は無関係って当事者団体が声明文発表してなかったっけ?

    • 「無関係」の意味が違う。統合失調症患者が犯罪を犯す確率は、統合失調症の患者でない者と比べて統計的優位な差はない。統計的には、統合失調症患者だから凄惨な事件を起こしやす...

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