以下の記事が発端となってノベルゼロのことが多少の話題になっている。
ラノベコンテストで「異世界転生NG」の縛り広がる ネット民「これは朗報」と歓迎 | キャリコネニュース
だが、どうも事情をよく知らないまま反応している人が多いようだ。
かくいう私も浅学非才の身ではあるが、せめて最低限の解説をしておきたい。
強大な敵に対し強く在りたい。逆境を打開したい。
「大人の男で硬派気取りかよ…」といった話は措いて、このようにコンセプトのはっきりしたレーベルが、コンセプトに応じたコンテストを開催しただけである、ということは念頭に置いていただきたい。
また、ノベルゼロの編集を担当していると思われるメディアファクトリーは、少年向けのラノベレーベル(MF文庫J)やWeb小説書籍化単行本レーベル(MFブックス)も抱えており、ノベルゼロのコンセプトはそれらとの住み分けの結果にすぎない。
話の対象を安易に拡大して「そっかーライトノベル業界も異世界転生に飽き飽きしてるのかー」などと言えるようなものではない。
NOVEL 0がついにコンテストを開催します! 成人男性を主人公にした、「今の大人が読みたい!」と思う小説を広く募集いたします! 題材は「異世界転生」以外であればなんでもあり! 時代も舞台も内容もオールジャンルOKです!
「新人賞」であれば、そのレギュレーションがレーベルの精神性を表しているとみなされることも多いが、「コンテスト」ならばその限りではなく、むしろ募集ジャンルの制限はつきものである。
また、「大人が読みたい小説を成人男性・異世界転生以外に限定してしまうのはいかがなものか」という声もあるが、今回の募集内容はあくまでこのコンテストに限ったものだと受け取ったほうがよい。
たとえば今後、ノベルゼロから異世界転生ファンタジーが刊行されたとしても、私は驚かない(ちなみに転生でない異世界ファンタジーは創刊当初から刊行されている)。
さらに付け加えれば、ノベルゼロにはこれまで「新人賞」がなかったので、「異世界転生がたくさん応募されてきたから制限したのだろう」といったものも邪推である。
今回の「大人が読みたいエンタメ小説コンテスト」はカクヨムとの共催、以前に「異世界転生禁止」したことで話題になった文学フリマ短編小説賞は「小説家になろう」との共催である。
小説投稿サイト内で開催されるコンテストは近年増えているが、それらは「既に投稿されている作品にコンテスト用のタグを付けるだけで応募完了」という形式であることが多い。
そのため、ある程度の制限を設けなければ、そのサイトで流行しているジャンル――たとえば異世界転生系――に偏ってしまうことは否めないだろう。
また繰り返しになるが、これらは「場」となるノベルゼロ・文学フリマのコンセプトに応じて募集の内容を変えているだけであり、決して「業界全体の傾向」として語ることができるような話ではない。
実際、異世界転生ありのコンテストも、やはり多く開催されているのである。
各ライトノベルレーベルは現在でも異世界転生以外の作品を潤沢に供給している。
https://dengekibunko.jp/newreleases/
http://www.fujimishobo.co.jp/novel/fantasia.php
http://sneakerbunko.jp/release/index.php
http://dengekitaisho.jp/special/
http://sneakerbunko.jp/special/rookieaward2017win/index.php
そもそも昔から、何かが流行するたびに新人賞にそのフォロワーが大挙してやってくる、といった話はよくされるものであり、そうした際にもわざわざ規約で禁止するようなことにはなっていない。
異世界転生に飽き飽きしているというなら、あんな記事に乗っかって文句を垂れるだけでなく、異世界転生以外のラノベを買え! たくさん出てるから!
異世界転生と異世界転移は違うらしいから このコンテストに応募できるという説がある http://anond.hatelabo.jp/20170521114514
そもそも「ノベルゼロ」は「ライトノベル」レーベルを自称してるの?
お前それノベルゼロのサイト見た後で同じこと言えんの? 自称してようがしてまいがライトノベルとして扱われるべきなのは確定的に明らか
これは売れない