2017-03-10

籠池理事長に見る「保守派」の典型的思考

 ご存知の通り件の森友学園問題について籠池理事長youtube反論投稿した。

文字起こし大阪国有地払い下げ問題森友学園・籠池理事長YouTubeでの発言書き起こし(3月8日付)

http://www.tbsradio.jp/127093

 個人的に一番「こいつヤベエ…」と思ったのは北朝鮮からテポドンが発射されたのくだりで、金正恩はじめ北朝鮮指導者たちの行いを理由特に関係のない日本在住の北朝鮮ルーツもつ人たちを差別する気満々すぎてドン引きしたが、とりあえず本題でないのでおいておく。

 発言の中で注目したのは以下の箇所。

『どういうことなんでしょうか?ということはこの学園を潰したいということなんでしょう。いまいいきっかけだからいまのうちに、この日本の歴史伝統一生懸命旗を振っている、この塚本幼稚園を、そして国歌君が代を歌っているこの塚本幼稚園を、この素晴らしい子どもたちが礼儀作法をしっかりし、そして挨拶もしっかりし、声も元気よく、自分に自信をもってはつらつと話をし、そして勉強し、体操しているこの子どもたちを、潰そうとしているんじゃありませんか。』

『退園された方は、ご自身の子どもさんがわれわれの教育にあわなかった。あるいはついていけなかった。いや、それ以前に、ためにするために入ってこられた方やと思います。なにか撹乱を起こすために。保護者が機嫌よくきているのに、保護者の中に撹乱を起こすために入ってこられた。』

 うーん。被害妄想炸裂。

 しかし、この被害妄想はなにも籠池氏に特有のものではない。

 あるところに加害-被害関係があったとする。当然被害者加害者非難する。

 このとき加害者側に加害の認識がない(あるいは加害を否認しようとする強い欲求がある)場合加害者はなぜ自分が責められているのか理解できない。

 そこでこの「自分は悪くないはずなのになぜか責められている」という状況に置かれてしまった理由を考えると、導かれる答えは「(自称被害者側に悪意がある」だ。相手自分を貶めるために被害でっち上げ言いがかりをつけてきているのだ、という認識になる。

 ここで注目すべきは、このような認識を持つことによって加害-被害関係が逆転するということだ。

 本来加害者であったはずの側が言いがかり攻撃されている被害者となり、本来被害者であったはずの側が言いがかりをつけて攻撃する加害者となる。

 かくして加害者被害者意識でいっぱいになる……。

 このような思考は籠池氏に見られるだけではなく、日本の「保守派」に広く見られるものだ。その代表例が歴史問題だろう。

 日本慰安婦南京事件だと中国韓国から非難される。しか日本の「保守派」はそれらの問題捏造されたものであったり解決済みのものであったりするため日本は悪くないと信じている、ではなぜ日本非難されるのか。それは中国韓国日本攻撃することで国内の不満を逸らそうという意図があるからに違いない。これは歴史問題ではなく「反日問題なのだ……。

 かくして日本はかつての戦争犯罪真摯に向き合わない加害者ではなく、中国韓国から言いがかりをつけて攻撃される被害者となる。日本の「保守派」は「加害者である中国韓国に対して反発心でいっぱいだ。

 言うまでもなくこんなもの逆ギレとでもいうべきものであって、第三者から見れば馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。しかし、日本の「保守派」の中では大真面目に語られる理屈だ。

 籠池氏がこのような被害妄想思考の持ち主だから保守」に傾倒しているのか、それとも「保守」に傾倒した結果このような被害妄想思考が癖になってしまったのか、卵が先か鶏が先かはわからない。しかしこの被害妄想思考こそが日本の「保守派」に見られる典型的思考であることは確かだろう。

 最後に。

 一般に、加害者立場が弱く被害者立場が強い。

 だから、加害-被害関係を逆転させる被害妄想思考立場を逆転させるためのテクニックとしても使える。

 森友学園問題において安倍総理が答弁で「野党印象操作をしている」と繰り返したのはこれだろう。

 野党印象操作を言い立てることによって、総理野党卑劣印象操作攻撃被害者という立場を得られるのだ。

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