はてなキーワード: コンストラクションとは
東電は、平成20(2008)年2月ごろに有識者の意見を求めたところ、「福島県沖海溝沿いで大地震が発生することは否定できないので、波源として考慮すべきであると考える」との意見が出されたことを受けて、遅くとも平成20(2008)年5月下旬から6月上旬ごろまでに、地震本部の長期評価に基づき、福島第一原発2号機付近でO.P.+9.3m、福島第一原発5号機付近でO.P.+10.2m、敷地南部でO.P.+15.7mといった想定波高の数値を得た。しかし、武藤副本部長ほかは、津波到来の緊急性は低いと考えた[74]。
この文章より東京電力は2008年頃には第一原発に15.7mクラスの津波が到来する事がわかっていた事がわかった。
さて、今回の考察では、この報告を受け入れたとして東電が堤防のかさ上げ工事をした場合3.11に間に合ったのかどうかを検討したい。
東京電力ホールディングスは、廃炉作業中の福島第1原子力発電所に最大で海抜16mの高さの防潮堤を新設する。日本海溝で巨大地震が発生した場合、建設中や設置済みの防潮堤を越える津波が来襲する恐れがあるためだ。2021年度に着工し、23年度の完成を予定している。
出典元 日経コンストラクション 福島第1原発に最大16mの防潮堤、完成目前の堤防越える津波予測で 2020.09.24
この記事より少なくとも2年程度の工期と1年程度の準備期間が必要な事が読み取れる。
さて、本題だ。
そこから設計+予算取得+施工計画を1年かかるとして2009年4月から工事を開始したと想定する。
最低でも2009年4月頃に工事開始していれば少なくとも1Fの津波被害は防げていた可能性が高い。
しかし、公開資料では実際に堤防にどのぐらいの工期がかかるかが、わからなかった為24ヶ月の設定したがもっと短いかもしれない。
現状、土木の分野ではインフラを減らす決断をする、せざるを得ない自治体が増えているらしい。老朽化したインフラが多い自治体は点検でトンネルや橋の危険性が判明しても直す金も、直す人も足りていない。
だがそういう決断、マイナスばかりではないようで、将来まで破綻しないインフラのためどこの橋を直すかを国が決めて、どう効率的に直すかを専門家が出て来て決めているようだ。
住民は今後毎日100メートル迂回する必要があるが、どこでも通ることができるけど命がけみたいなことは孫の世代までなくなる、そんな話らしい。
元増田のソフトランディングの話、土木の分野ではまだまだ建前だけかもしれないけど考えてる人が見えないところでいるんだなあと、たまたま機会があって読んだ日経コンストラクションで思いました。
NATM工法に関して妙な誤解が流れている様なので書いておく。
開削は既設管を移設する必要以外にも覆工、かさ上げと開削部の周辺を大量に占有しないといけないので、
都市部で採用するのが本当に大変な工法。「ここからここまで開く」なら平地でも排水が難しい都市部なら「ここからここまで開削の為にかさ上げ工事して、ここからここまで距離とる(道路なら工事期間利用停止)」となってしまう。昔は都市部だからって距離取らないでやって水流れ込んだり踏み抜いたりで事故が発生したりした。
シールドでも本坑から大空間への拡幅工事を行うとき、同じ工事を行うために、先進抗となる部分の違いでしかない。先進抗での分割掘削ならば補助工法によって安定的に地山形成しながら進めるため、むしろ危険性は少ないとも見積もれる。
(もちろん海底下の浅いところに沈下が使えずシールド通さないといけないみたいな特殊な条件なら別だが。そんなところはそもそも大空間を施工しない)
しかし事故が起きた。二度も前あったじゃないか!というのはさすがにどうかと思う。
14年立坑の工事での横からの土砂流入による陥没はプロセスが違うし対策も違う。おそらく周辺地盤の改良ミスだろうが、埋め戻しを優先してしまったので確認が難しい。
(この点においてJVに現場周辺の調査より先に埋め戻しをJVに指示した市の対応は拙速かつ問題ではある。国交省から警告書を部長名でだされる理由がある)
いずれにしろこれは監督者としての市の問題ではあるが、工法の選択レベルの問題ではない。というかこれは工法の様々なパラメーターの問題の可能性の方がはるかに高い。
日刊建設工業新聞に載った記事は公開期限を過ぎているようなので、日経コンストラクションの方を引くが、
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntnews/15/111600596/
かぶり2mも、傾斜を下げた先受け鋼管によるAGF工法も、先進抗も、通常の対策としては特におかしくはない。
ただ記事中にもあるように、初期設計時より先受け鋼管の長さを切って上部長が減っていたのは、改良地盤の連続性が減っていた(波打っていた)可能性があり、そこで上部層にたまりの様にあった可能性がある火山灰層で構成された帯水部が岩盤上部にスパイクのように風化により切り込んでいて、そこから抜けてきたというのはシナリオの一つとしては考えられる。
その場合は過圧密な地層が主体だったのが逆に災いしたのかもしれない。
*AGF工法というのは前方にある程度の間隔で傾斜をつけて挿入した先受け鋼管を通して改良材を加圧注入し、鋼管が重複する部分をつくることで連続的な地山改良効果を得るものなので、長さを減らすと硬化が及ぶ厚さも同時に減る。しかし抗の安定性自体は側面ロックボルトの変更で対応できるので地盤が急に傾斜していなければ問題ないし、傾斜してるだけならば挿入時にリークがあって変位計測にも出るのでそこからの支保工の変更などで対応可能なため、変更した設計自体は通常なら問題があるとは言えない。今回は先受け鋼管の一部にSAAという傾斜計のチェインを入れた変位計測システム(TN-Monitor)を運用していた様なので、その場合ならわかったはず。
いずれにせよ、地中工事は現代でも、どの工法であってもどの区間であっても、適切と思われていたガイドラインによって施工しても、未だにミス以外のカバーできない問題が出現する世界であって、それは都市部では更に顕著であるということは言える。コスト的に現実的なラインに収めつつ確実性をあげるには、施工場所の工事履歴を完全に活用できるようなデータ基盤が必要となるだろう。浅地下の埋設管からの影響も、そこでの工事状況から推定できることもたくさんあるので、調査費用の削減の為にも路盤情報システムの整備が進むことを期待している。